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第10話 清楚なサキュバスの町

フェアリーの町で祭りを成功させた一人と一匹。

次はサキュバスの町を目指す。

トーマは道中期待に胸を膨らませているようだが…

「あれですぞー!見えた!サキュバスの町ですぞー!


「見えてるよ…お前より前にいるんだから、さっさと追いついてこいよ…」


「歩くの早いんですぞ!もう足が棒になっちゃう!責任取れ!賠償の日の近い!」


お前は休みすぎなんだよ、足が棒くらい長かったらもう少し早いのにな。

僕はちゃんとゆっくり歩いてるよ。失礼な。


しばらくしてサキュバスの町に到着した。

入り口のサキュバスに観光ですと言うとすんなり通してくれた、助かる。


「なんかサキュバスってイケイケどんどんなイメージだったのに雰囲気が違いますな。」


イケイケどんどん?


確かに妖艶な町を想像していたが…普通の田舎町だ。


「残念でしたな、トーマ君、君は希望を失ったわけですぞ」


確かに、期待していたところはある。

僕だって男だ、しっかり性欲はあるんだ。

色々な町で男女の関係を避けてきたのは未練が残るから、町から出にくくなるのを避ける為だ。


お金を対価にするのなら話は別、実は楽しみにしていたんだけど…


チラホラと見えるサキュバスは美人揃いでスタイルも抜群だが露出が多いわけでは無い、どちらかと言うと露出が少ない方だ。


少し情報収集だ、諦めきれないとかじゃないからね、本当に。


「カフェがありますぞ!休む場所!あそこが良いと思うな!」

カフェに入るとコーヒーの良い香りと落ち着いた音楽、整理整頓された店内、良い店だ。


「いらっしゃい、あら、可愛い子達だね」

席は自由で良いそうなのでマスターに近いカウンター席に座った。


「ミルクを頂きますぞ!喉が乾いてしまったみたい、可哀想に」


「僕はメニューを見せて下さい。」


「はいよ、コーヒーがオススメだよ、軽食もあるから好きに選んで下さいね。」

マスターは黒髪で長身、胸は大きいが下品ではない、雰囲気も相まって知的なイメージを受ける。


コーヒー、ジュース、紅茶にサンドイッチ、ラブジュース…なんだこの急に頭が悪そうなドリンクは…


「あの、このラブジュースって…」


「ピーチとアップルのミックスジュースだよ、昔は媚薬とかも入れてたんだけどね、なんかごめんね」


「トーマに媚薬なんか飲ませたら溶けて無くなりますぞ。」

意味は分からないけど馬鹿にしてるのは分かる、意味が分からなくて怒りの感情は湧かないけど。

僕はアイスコーヒーをお願いした。


「なんかこの町、聞いてた町と違うような気がするんですけど…」


「最近少なくなってきたけどやっぱりそっち目的だったのかい?それなら今はやってないよ、残念だったね」


「いえ、色々な町を周るのが目的なので…でも聞いてた雰囲気と違うなーって」


「素直じゃないねぇ…まあ可愛らしくて良いじゃないか、良いよ、暇だし教えてあげるよ。」

数年前までは歓楽街として賑わっていたが、急に帝国の兵士が来て全員帝国に移住して死ぬまで働けと言われたらしい。


この土地を捨てるのは無理だと抵抗したところ、危うく武力制圧されるところだった。

結局帝国に店を出し、町の半分の成人したサキュバスを派遣するという約束で手打ちとなった。


成人前のサキュバスは不安定な為、若いうちに性の旨みを知ってしまうと狂ってしまうらしい。


サキュバスにとっては男性の精力はデザートのようなモノで普通に食事してれば生きていけるとも言っていた。

一年交代で半分ずつ入れ替わり、なんとか保っているという話だ。


「帝国ってワガママ放題のゴミですぞ…滅びればいいのに」


帝国か…エルフの国のフィリアちゃんという女の子を思い出す…今でも生きているだろうか、心が痛む。


「でも帝国での扱いはそんなに酷くは無いんだけどね、そりゃあ暴力紛いの事をしてくる客もいるけどそんなの昔からいたし、帝国軍が定期的に見回りに来るから馬鹿な事するヤツも少ないよ。」


まあそうだろうな、一応帝国からしてもサキュバス全員がストライキ起こして逃げ出すのは避けたいだろうし。


「その代わりにこの町は帝国軍に守られてるから平和なもんさ、後ろ盾は必要だからね。たまに悪い客に当たって壊れちまう女の子もいるけど仕方のない事さ…この町が歓楽街といわれていた時からたまにあったからね…」


マスターは少し寂しそうな目をしながらタバコに火をつけた。

すると急に入り口が開き、髪の毛がボサボサの美少女が息を荒げて入ってきた。


「店長ぉー、遅れましたぁ!ごめんなさいぃ」


「いいよ、どうせ客も少なくて暇だからさ」


マスターはいつもの事だと言わんばかりにタバコをふかした。

「それよりアンタ…客の前だよ、服くらいちゃんと着な…」


そこにはスカートを履き忘れた、いや、下着も履き忘れた少女が立っていた…


僕は動揺を隠し、アイスコーヒーを啜った。

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