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誘拐犯をぶっ飛ばそう

「くっ!動き辛い…」

「こんな事が起こるなんて想定してませんからね!仕方のない事です!」


私達は、ステータスと魔力の恩恵で超人的な身体能力を持っている。


それをフルに活かし、出店をジャンプで飛び越えて、誘拐犯の元へ走る。


そして、思いっきり助走をつけてジャンプし、ライダーキックを放つ。


「その子を離しなさい!!」

「ぐえっ!?」


誘拐犯の1人がくの字に折れ曲がり、吹っ飛んでいく。


……手加減はしたから、多分生きてる。


「な、なんだこのおん―――がっ!?」

「祭りの裏でこんなことを…許してはおけませんね」


鞘と鍔を糸で縛り、抜けないようにした刀で後頭部を殴って気絶させるかずちゃん。


かずちゃんのことだから、『フッ…峰打ちです』なんて、言うかと思ったけれど……割と普通だね。


「クソッ!やっちまえ!!」

「ん?あら、そんな物持ってたの」


激昂した誘拐犯達が銃を取り出し、私達に向けてきた。


それをその子に向けられてたら、ちょっと不味かったけど…私達に向けてくれるなら好都合!


「死ね!」

「ん?なにかした?」

「なっ!?」


《鋼の体》を発動しているから、銃なんて簡単に弾ける。


意気揚々と銃を取り出して、それで勝った気でいた誘拐犯は、信じられないものを見たような表情をしている。


「こ、こいつ等覚醒者だ!」

「クソッタレ!ずらかるぞ!」

「させないわよ」

「がっ!?」「ぐはっ!?」


それほど数がいなかったこともあり、すぐに制圧は成功し、女の子誘拐を阻止することが出来た。


女の子の方を向くと、私のもとに駆け寄ってきて、抱き着いてきた。


「助けて!」

「もう大丈夫よ。悪い人はお姉さん達がやっつけたわ」

「お母さんが!お母さんが!!」

「……神林さん、ちょっと良いですか?」


かずちゃんが、真剣な表情で私を呼び、耳打ちをしてくる。


「この子、多分私達の手に負えないと思います」

「というと?」

「こんな子供が、1人でこんな所に居るなんておかしくないですか?」

「母親とはぐれたんじゃない」

「いえ、多分違います。それにこいつ等……なんかおかしいです。咲島さんに連絡しましょう」


……まあ、この仙台でのこういう不祥事は、咲島さんに放り投げた方がいいかも知れない。


それに、あの咲島さんがこんな連中を放置するとは思えないし。


そう考えると、確かにおかしいわね?


「これから、あなたを守ってくれる人に連絡するわ。それまでは、私の近くを離れないでね?」

「うん…」


怯える女の子を抱き上げ、かずちゃんに連絡を任せる。


電話をしてから数分経つと、黒い車が2台やって来て、数人の女性が降りてきた。


「あなた達ね。子供を保護してくれたのは」

「はい。えっと、この子はどうすれば…」

「我々が保護します。それと、この子の母親は?」

「それが……攫われそうになっていたのは、この子だけなんです」

「なんですって!?」


到着した女性に事情を説明すると、血相を変えて慌て始めた。


切羽詰まった様子で電話する人や、『どうするんだ』と相談する人達。


「と、とりあえず、我々で子供を保護します。後のことはお任せください」

「えっと……」

「さあ、おいで。あなたを安全なところへ連れて行ってあげるお姉さんよ。ママから聞いてない?」

「……お姉さん達が、『はなかん』って人?」

「そうよ。私達が『花冠』。悪い人たちはすぐにお巡りさんが捕まえてくれるから、あなたついておいで」

「うん…」


そう言って、彼女らは子供を車に乗せ、安全なところへ連れて行った。


「……この男達は?」

「我々が連行します。誘拐事件を防いで頂き、感謝いたします」


残った『花冠』のメンバーが男達を車に乗せ、何処かへ連れて行った。


そして、取り残される私達。


理解が追いつかず、ぼーっとしているとかずちゃんが私の着物の裾を引く。


「ん!」

「え?ここで?」

「抱きしめるくらいなら、いいじゃないですか。んん!」


ずっと私に抱きしめられていた女の子に嫉妬したのか、私に甘えてくるかずちゃん。


仕方なく抱きしめてあげると、それはもう嬉しそうな表情をして、スリスリと顔を擦り付けてきた。


……ついさっきまで、男を刀で殴り倒していた女の子とは思えない変わりようね。


「結局何なのかしらね?さっきの」

「さあ?ですが、なにか嫌な予感がします」

「厄介事に首を突っ込んでしまったような、嫌な予感かしら?」

「そうです。何も起こらないといいんですけど……」

「ソレを世間ではフラグって言うのよ。な~んにも気にせず、夏祭りを楽しみましょう」

「そうですね!じゃあ、私りんご飴が食べたいです!」

「良いわね。買いに行きましょう」


あの女の子や、誘拐犯がどうなったかは気になる。


だけど、これ以上そういう事に首を突っ込まない為にも、私達は祭りの会場に戻り、出店巡りを再開した。

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