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2.突撃まであと三十秒-いつもこの時は緊張するよね-

全48話予定です


今現在(3/8)今作含めて4作、ストックがあります

現在R18表現を除く作業をして「なろう」での寄稿を目指しています


ツイッターでも数日に一度、更新を呟いています

https://twitter.com/JohnD_72


日曜~木曜は1話(18:00)ずつ、金曜と土曜は2話(18:00と19:00)をアップ予定です(例外あり)

「突撃まであと三十秒」


 現在、夜七時。


 戦線はアルカテイル市の市街地まで来ていた。ミラール市は同盟連合軍が押さえたものの、先の戦闘の際に帝国軍によって使用された核爆弾による核汚染で事実上使用出来ず、また市民についても同盟連合が人道的に配慮して治療に当たっているものの、既に約半数ほど亡くなっており、残された人々も核の後遺症に悩まされている。


 ――いつもこの時は緊張するよね。


 ゼロワンと呼ばれる機体に乗っているレイリアは、アドレナリンが出ているのを体感しながら[その時]を待っていた。


「戦闘準備」


 手に持っている武装をあらためる。初弾は既に装填済みだ。念のためにコッキングハンドルを半分引き、確かに装填されているのを確認して、立ち並ぶビルの一角に身を潜めてその時を待つ。


 隣のビルには同じ孤児院で暮らした仲の、その二人のうち一人がいる。ゼロスリーのコードネームで呼ばれるクリス・アンダーソンだ。


 もう一人は、というと、はるか後方でスナイパーライフルを握ってこちらを見ている。それがゼロツーと呼ばれるトリシャ・エカードだ。


「フラッシュバン用意、投げっ」


 ゼロスリーがフラッシュバンをゼロワンとの間の道に対して投げ入れる。ものすごい光と音がその辺り一帯を支配する。


 刹那、


「突入!」


 二体のレイドライバーは一斉に道に入っていった。続いて後方から戦車車両が続く。


 相手の反撃はフラッシュバンの影響か、全くなかった。その隙をついてこちらは的確に照準を合わせて引き金を引いていく。


 轟音と閃光がしばらく続いた。だがそれが止むと、しばらくして抜けたはずのビルから対物ライフルと思われる弾丸が二体の背中を狙ってくる。だが、まだ目がくらんでいるのだろう、まともには当たらない。


 だが[ビルから狙撃]というのが問題なのだ。


 敵はゲリラ戦を仕掛けてきた。それは、この街が戦場という事だ。だが、それ自体は問題ではない。


 問題なもの、それは[一般市民がいる場所での戦闘]という点である。


 それは、自分たちを狙っているのが敵軍なのか、それともゲリラ化した一般市民なのか、という事なのだ。一般市民に対する発砲は対外的に見ても出来れば避けたい。だが、自分たちに銃口を向ける者に対しては敵として撃たないといけない。


 それらが混ざっているのが問題なのだ。


「ゼロスリー、後ろ四時の方角から狙撃だよ」


「任せてください、ゼロワンは正面方向の車両及び狙撃手の排除を。ゼロツー、正面車両群への狙撃を継続してください」


 今回の作戦はクリスがカズの副官として作戦指揮を執っている。その話題の上官は、というと別行動中である。


 なので、今日は実質クリスが指示を出している。


 以前のクリスなら、対物兵器であるレイドライバーのマシンガンを、敵のスナイパーのような[対人]に向けて使用するのは難しかった。


 だが、先の戦闘のあとクリスは変わった。


 人に向けても躊躇する事なく引き金を引くようになったのだ。これには二人も最初は驚いていたが、直ぐに日常にとって代わっていった。


 ――一体、クリスに何があったんだろう。


 レイリアはそう思いながら戦闘していた。


 何が違うか? と問われれば何も変わっていない。いつもの優しいクリスなのは間違いないのだが、戦闘に対してドライになったというべきか。そういう意味ではレイリアたちに似てきたのだろう。


 ゼロスリー、ゼロワン共に狙撃があったビルに発砲する。次弾が飛んでこないところを見ると殺ったのだろう。周囲を警戒しながら再び前方の車両群に発砲する。今度は前方のビルの屋上からの狙撃である。その攻撃で悪い事にレイリアの機体のメインカメラに当たってしまった。


「ゴメン、直ぐにサブに切り替えるから……」


 次の言葉を言う前にゼロスリーがビルの形を変える。


「大丈夫ですか?」


 そう声をかけられ、


「うん、サブに変えたから大丈夫。まだやれるよ」


 と返すと、


「それじゃああと一息です。頑張りましょう」


 そう言ってマシンガンから前方に向けて弾をばら撒く。


 しばらくすると戦闘、と呼べるものは終息した。展開していた敵車両群は全滅、あとはビル群の敵掃討であるが、レイドライバーの頭部にはサーマル、つまり熱源探知機能がある。それを使用しながら、機械化歩兵とともに辺りを警戒していく。どうやらこの区画は落とせたようだ。


「今日はここに駐屯するよ、ゼロツーも合流して」


 という聞きなれた声がする。カズだ。この隊の隊長機を駆っている。


 ――そう言えば、カズだけフルネームを知らないんだよね。まぁ、機密事項が服を着て歩いている存在だから[教えて]と言っても教えてはくれないだろうけど。


 レイリアはそんな事を考えながら他の[仲間]と合流地点に向かう。


全48話予定です


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