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魔王、死す


 この世界の神が結構なクズっていうのは、この魔界じゃ周知の事実だ。


 魔界を支配する古今東西変わらない不変ルール、弱肉強食。


 これに泣かされたことのない奴がほぼいないってことからもそんなのわかりきってるというのに、現在魔界で五柱しかいないとされる魔王の一人とか言われてる俺ですらそうなんだから、それはきっと間違いない。



「魔王ルーダス、覚悟」


 おまけに目の前に俺の命を狙う神の御使いこと勇者様とやらがいるんだから、やっぱ神とやらはクソだ。


「どっから出てきたんだよ、お前」


 羽虫のごとく唐突に出現した金ピカに、呆れ声しか出せない。


「どうでもいいことだ」


 全然どうでもよくないんだけどな、こっちとしては。


 こっちは地上行きを神の恩寵(おんちょう)とやらで阻まれてるってのに、神の御使い様は出入り自由ときたもんだ。全くもって理不尽だ。舌打ちの一つもしなければやってられない。


 正直、心底面倒な上に中々のピンチである。


 伝承によれば、勇者様とやらは対魔王特攻性能を持っているはず。正面からやり合いたくない相手だ。


 どうやり過ごすか。


 溜め息交じりの恨み節を胸に逃走を検討するが、やたらと眩しい金ピカの剣がぬらりと赤く濡れていることに気付き、ドクンッと鼓動が跳ね上がった。


「お前、そっちから来たよな」


 早鐘を打つ胸を左手で鷲掴(わしづか)みながら、俺は残りの右手で左方を指差す。


「隣にいた奴、どうした?」


 問いかけながらも、言葉尻に殺意が溢れ出るのを自覚していた。


「魔王の手下など、殺したに決まってる」


 だというのに、さも当たり前とクソの使い様は表情も変えなかった。


「そっか。お前、殺すわ」


 冷静な思考を挟む余地もなく、俺は冷たい怒りに煮えたぎる魔力をクソ虫に放っていた。




  ※※※




「クソが……」


 胸から生えた剣を引き抜いて、俺は毒づいた。


 正面には炭クズと成り果てた元金ピカ、現黒炭。


 何とかクソの使いをブチ殺すことには成功したものの、こっちも致命傷となればまったくもって釣り合いが取れたもんじゃない。

 自由気ままに暴れまわり、魔王殺したいだけ自分勝手バカと違って、こっちは自分のためだけの命ではないのだ。


「こんなとこで死んでられるかよ、クソッタレ」


 一向に再生が始まらない傷を何とか治療しようと大気の魔素を集めようとするものの、死んだ金ピカと同じ輝きを放つ傷口の何かが傷口に魔素を集中しようとするのを阻害する。


「……厄介なもん使いやがって」


 焦燥が身を焦がす。

 神の加護だか何だか知らないそれは、俺達魔族には効果覿面(てきめん)だ。


「死んでたまるか」


 付き従う部下や眷属、そして仲間の姿が脳裏を(よぎ)る。


「死んでられるか」


 思い浮かべるほどに、想いは強くなる。


「クソ……」


 だというのに、冷静な判断は言っていた。



 ――俺はもう、助からない。



「畜生っ!」


 身も心も震える恐怖に頭が支配される。


 死。


 それはこの魔界ではどこにでもありふれてる、当たり前すぎる現象。

 遠くない未来に、それが自分に訪れたとしても驚きはなかった。


 だとしても、早い。まだ早すぎる。


 今じゃまだ、俺達ゴート族はこの魔界で生き残れない。


 焦りだけが胸中を満たす。それでも考える。



 俺は死ぬ。



 どうも、それはもう避けられない運命らしい。


 なら、死が避けられないなら。それでも、俺が死んでも、ゴート族が生き残るための方法を。


 焦りに焦る中、答えとも言えない一つの術に思い至る。



 それは光明というにはあまりにも儚い可能性。

 当然のことながら未だ試したことも、成功例を聞いたこともない一つの術法。

 それでも、現状思い至る唯一の先へと続く可能性のある道。



 だから、(わら)にも(すが)りつく思いで、俺はその術法に残されたありったけの魔力を託した。


【応援よろしくお願いします!】


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 面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちで大丈夫です!


 ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


 何卒よろしくお願いいたします。



 また本日昼と夜に、もう2,3本投稿予定です。よければご覧いただけると嬉しいです。

 

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