無能力で異世界1
1.転移
「どこ?」
知らない天井、白いローブを纏った老若男女の歓喜の声、城のような雰囲気の内装。これって、、夢か。それにしても、リアルな夢だなー。クラスメイトもいる。あっ、そうだ、授業を受けていたんだ。でも本当に、ラノベで急に転移したみたいな気分でちょっとわくわくする。
「転移者様方急にお呼び立てして申し訳ありません。まだ混乱されているようですが、このお方はこの国、マラの王、マラ・オラ様でございます。」
眼鏡をかけた白髪、美形のThe参謀って感じの男が喋る。すると、今度は豪勢な服装をした、いかにも王という人が一歩前に出てきた。
「早速ですが、私はあなた方、転移者殿にこの世界を救って欲しいのであります。詳しい説明はこの国の参謀のカルーヴァ・アルンにお聞きください。それでは。」
と言って、イケメン参謀を見ると早々に去っていった。
うわー、本当に異世界転移にありがちな展開じゃん。確かに最近異世界転移系にハマってずっと読みふけてたからって、とうとう夢にまで出てくるとは、でもこれはこれでいいかも。これで俺は勇者的なポジションだったり、特殊な最強能力を持っていたり、雑魚って勘違いされて捨てられて、そっから、無双生活みたいな。どうせ目が覚めても授業してんならちょっとでも長く楽しみたい。目覚めんな俺。
幸か不幸かこれが夢として覚めるこたは無かった。
2.無能
「ちょっと待ってよ。」「意味わかんない。」「転移者って?」「キター」「アニメ展開やん」「。。。。。」
この状況に、混乱するもの、察したもの、呆然なもの。皆各々のリアクションをとっている。夢だとわかっている俺は客観的にここはスタイリッシュにまとめ上げ、転移者をまとめる勇者に。こう言うシナリオね。了解です。
「あのっ、」
しかし上がった声は俺の声では無かった。
「みんな落ち着いて、先生、しっかりして下さい。」
「そうね、皆いますか?周りで確認してください。」
ざわざわ、、
さすがクラスのTop of 陽キャ、学級委員長を務める龍田光一。夢でも陽キャは陽キャだな。あれ?俺、主人公だよな?いくらなんでも俺の夢だぞ。捨てられるタイプなのか?まぁいい。様子でも見て、、
「少し落ち着かれましたか?」
イケメン参謀が皆に声をかけてきた。すると先生は
「これはどういうことですか?何が起こってるんですか?」
「取り乱してしまうのはしょうがないことですが、さっきお話ししたように転生者様方にはこの世界を救って欲しいのです。」
「転移者様?」
「我々は、異世界から召喚された方々を転移者とお呼びしております。」
「それでも納得できません。異世界とかそんなのアニメの中だけの話じゃないんですか?」
「仰っている”アニメ”は分かりませんが、現実でございます。」
「でも、他の世界だって言うのなら、今話が通じているのはどう説明するのですか?」
「我々が言葉を理解できるように魔法をかけさせていただきました。」
「魔法って、、」
テンプレのやり取りが行われ、まだ先生は反論があるようだが、魔法と言われ、これ以上話しても意味がないと思ったのだろう。黙ってしまった。これを見たイケメン参謀は手を前に出した。
「話だけでは信じられないでしょうから、実際にお見せしましょう。」
手に小さな光の球が集まったと思えば、それが火の玉になった。
いいね、いいね。それにしても夢か?うんー。現実なわけないしなーw。まぁ、今は楽しむか!いつ覚めるか分からんし。火の玉を見た先生は戸惑いながらも納得したようで詳しい話を聞いている。
「それでは、転移者様方の能力について調べていきたいと思います。」
と言って、鑑定のようなことをしているのだろうか?一人ずつ手に触れていった。俺は最後かな。
......
「それでは、手を失礼します。」
俺の番だ。
「えっ、、。」
キタキタ。俺の能力はなんですか。レベルアップ的な、それとも純粋に勇者的な。
「無いです、、、。」
「えっ、。」
「貴方には能力がありません。」
この内容だとあるあるすぎる展開ですが、最初の作品なので描いてみようかなと思いました。指摘などありましたら、ぜひ描いて頂きたいです!よろしくお願いします!!