ファースト・コンタクト(エルフ?編) 【ザイン視点】
【勝手に解説】ステータス編⑤
【技術力】
指先の器用さや自身が持つ知識の力。
-1~3
頭が悪く、不器用。0は野生の動物と変わらない。-1は思考すら持たない。
4~10
一般レベル。高い値ほど教養のある博識者。また器用で楽器の演奏なども熟せる。
11~19
優れた技術と知識を持った者。知識技巧の匠。人間国宝に指定されるレベル。
20以上
時代の節目に現れる比類なき本物の天才。世界の文明度を発展させることすら可能。
※100(極限)
神域の御業。スキルが無くてもアイテムを作成・合成したり、素手をあらゆるツールにできる。
【洞察力】
物事を深く鋭く見抜く力。 直感的に判断する能力。
-1~3
ハッキリ言って見る目が無い。0は見当外れ。-1はもはや盲目。
4~10
一般レベル。高い値ほどかなりの場数を踏んでいるベテラン。
11~19
優れた観察眼から相手のステータスすら見抜けるようになる。
20以上
完全鑑定。生物・非生物を問わず本人すら知りえない情報すら得ることが可能。
※100(極限)
悟りの境地。生物相手なら考えていることすら手に取る様に理解できる。
「…ふう。もう荒野を歩いて3日目か。流石にこの景色にも飽きてきたなぁ」
俺は手製の地図を眺めてそう呟く。歩けども、歩けども荒野。乾いた土と枯れた木々。遺跡が所々に点在し、かつて人々が生活していた名残りこそあれど、人は見えず。どうしたもんかね。
「ちょっと早いが昼飯にするか。ヨイショっと…」
俺は適当な岩場に腰を掛けると腰の【ストレージ】からパンを一斤と水の入ったボトルを取り出して貪り始める。
うん。美味い。最初はこんな美味いパンを久々に食ったと喜んでいたが、人間とは贅沢なもので、こんな美味いものでも飽きがくるものなのだ。俺は口の中のパンだったものを水で無理矢理流し込む。
「…プハァ。…せめてバターが有ればなぁ」
そうぼやいて右腕の腕輪を念を込めながら軽く擦る。すると目の前が光って、美しい褐色の肌を持つ少女がフワリと降り立った。
「は~い★ お呼びぃ~?」
「なあ、お前バターか何か持ってない?」
色黒天使は呆れた顔をして空中に胡坐をかいた。
「マ? そんな事でまた呼ぶとかあ。あーしを何だと思ってるわけぇ~?」
「まあ怒るなよ? ホラ」
俺は食べかけののパンを半分に割くと天使の顔の前に差し出した。
「…は~。だから何度も言ってるっしょ?あーし達は厳密にはエネルギー体みたいなもんでえ、地上には物理的には干渉できない、ってさあ。だからそのパンだって触ることすらできないよ~?」
「…ハハ。悪い悪ぃ、…ついやっちまうんだよなあ。何かお前にかまってると、 …俺の妹を思い出して…、な?」
俺は少し恥ずかしくなって差し出したパンを引っ込めて、自分の口の中に突っ込んだ。天使を見ると何故かそっぽを向いている。ヘソを曲げられてしまったか?
「…でさぁ、どうするのお?」
「んっ…何が?」
俺はパンを何とか飲み込んで答える。ていうかちょっと咽た。
「あても無く彷徨ってても人を見つけるのは難しいよお~? それにさあ~」
天使は周りを手をかざしながらキョロキョロと見回している。
「イヤ、そこら辺は考えていたぞ? …それよりもだ、お前に聞きたいのはコッチの方だ」
俺は自分のステータスボードを浮かべて見せる
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ザイン:男:44
山賊/レベル02
【攻撃力】10 【防御力】10 HP 20/20
【生命力】10 【敏捷性】10
【魔 力】10 【精神力】10 MP:魔法未収得
【技術力】10 【洞察力】10
【注意力】10 【魅 力】10
スキル:(強奪)【極値】【転職】
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「ん? 何かMONDAIでも★」
「何で俺が山賊なんだよっ?! おかしいだろスタート職業が山賊とかさぁ」
天使が二ヒヒと笑いながら俺の肩にとまる。
「最初期のクラスは自動的に適性のあるクラスが選ばれるんだよね~★ というかもうレベル上がってるぢゃん!も~、あんっ… オ、オニーサン、才能アルヨー」
「あん…? それに何だその変な中国語風言語は」
天使は手をパタパタさせながら俺から離れる。
「で、でもさあ~、山賊ってこの【シットランド】じゃあ一番ポピュラーな職業なんだよねぇ?確か人口の3割近くが山賊でえ、一割ちょっとが盗賊系だったかなあ?」
「ふたりにひとりがならず者かよ。ホントにオワコンしてんなあ、この世界。…どっかの世紀末も真っ青だぜ」
俺は溜息をつきながらステータスボードを消した。
「しかしだなあ、それでも俺は能力値オール10なんだぜ?もっとこう、戦士とか魔法使いとかになれなかったもんかねえ? 【転職】のスキルを試しちゃあみたが山賊一択だったからな。何コレ、まさかの縛りプレイか?」
「アハハ!もしかして魔法使ってみたかったっスか?残念~!ザインは確かに大抵のクラスに転職できるほどのステータス条件を満たしてるんだけどなぁ~★ 魔法使いになるには、先ず"魔法"そのものを覚えなきゃなれないしぃ? 盗賊なら実際に"他人の所有物を盗む"となれるっていうか勝手に転職しちゃう感じかなあ。それに"戦士"ってクラスはこの世界じゃあ正確には存在しないしね~★ みんな曲がりなりにも武器を手に取って、命懸けて戦ってるんだからさ~?もうそれだけで立派な戦士っしょ!」
俺は手を顎に当てて考え込む。うーむ、ままならないものだなあ…しかしだな、何故に俺の山賊としてのレベルが上がったのか?
「レベルが上がる条件はクラスによって違うけどお~。戦闘特化のクラスならやっぱり戦闘回数に比例して上昇する傾向が強いかもだし。山賊なら"力尽くで相手から所有物を分捕ったり、襲いかかったりする"事で上昇するんじゃあないの?」
「ああ…そういう事か」
俺はバラバラになった釘バットとシワクチャ・ゴブリン達を思い出していた。
「…というかさあ~、そんな呑気にしてていいのお?もうすっかり囲まれちゃってるよ~★ …ずっと前か気づいてたでしょお?ほったらかしたまんまでぇ」
俺は耳をコリコリしながら頷く。
「勿論だ。ワザと敵を誘導してたんだよ? 恐らく目の先にある、あの洞穴が奴らの塒なんじゃあないかと思うんだが?半日前から釣ってたんだよなあ、そろそろ我慢できずに仕掛けてくるはずだが…」
「お、お願いしますっ!た、助けて下さいっ」
すると斜向かいの岩場の影から女が飛び出して来た。ボロボロの原始人顔負けの服?を身に着けている。
女は泣き出しそうな顔で地面にしゃがみ込むと、
「お願いです…私の祖父が身動きが取れなくなってしまいまして。どうか貴方様の御力を貸していただけませんか? どうか雨風を凌げるような、アチラの洞穴まで…」
そう言う彼女の足元には高齢と思われる男が倒れている。
…ベタ過ぎないか?ただまあ、こんな手を使うんだから少なからず善意を持つ人間も存在しうるであろうことが唯一の救いであろうか。
「ふむ… "鑑定"」
俺はスキル【極値】で【洞察力】は100に変える。こうすれば相手のステータスすら見ることが可能なのだ。
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キナ:女:17
踊り子/レベル01 属性:-・・・〇・・・+(中立)
【攻撃力】00 【防御力】00 HP 20/20
【生命力】07+3 【敏捷性】07+3
【魔 力】03 【精神力】05 MP:6/0/0/0
【技術力】09 【洞察力】05 (6/0/0/0)
【注意力】09 【魅 力】10+5
スキル:(ダンス)
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ナットー:男:70 状態異常:気絶
クラフトマン/レベル20 属性:-・・・±□・・+(秩序)
【攻撃力】00 【防御力】00 HP 3/6
【生命力】03 【敏捷性】02
【魔 力】09 【精神力】08 MP:07/2/5/0
【技術力】13 【洞察力】10 (18/9/5/0)
【注意力】05 【魅 力】08
スキル:【土木魔法】【建築学】
気絶:意識が覚醒しない限り、行動不能。
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「…はあ、山賊では無かったか。しかしやっとマトモ?な人間に出会えたな。特に気絶してる爺さんのクラスとスキル…興味深い。これが普通の出会いだったら迷うことなく助けてやってもいいんだがなあ~? ん、そういや天使。【属性】って何だ?俺のステータスには無かったが」
「ああ~それは"業"っスね~。直接的な善悪を推し量れるものではないんですけどお?いわゆー普段の行いとか、精神状態を値にしたもんなんスよね~。まあ平たく言うとマイナスなほど嫌な奴でケッコーだと思いますよぉ★」
成程、シンプルで解りやすいな。 ってー事はだ? 少なくともあの娘っ子と爺さんはまだダークサイドに堕ちてはいない可能性が高いかもだな。
…だが、俺が気になってる事は他にある。
「なあ、なんかアイツらの耳、妙に長くて尖ってないか?」
「ああ。ありゃ【エルフ】っすね★」
「エ、エルフだとっ?!」
異世界には欠かすことのできないパワーワードが俺の頭の中で炸裂する。
【ストレージ】
ザインが女神達から下賜されたマジックアイテム。
見た目はベルト付きの袋だが、生き物ではないと判断したならば、どんなものも触れた状態から収納できる。容量無尽蔵。時間経過無し。出し入れ自由。
【属性:中立】
9段階ある属性の中間に値する。多くの者がこの【中立】か前後の【混沌】または【秩序】の属性の者が多い。ただ荒廃したこの世界では前者の【混沌】の属性を持つ者が多い。
最低限の善悪の区別を持つ者を指す。ただ不変的なものではなく、対象によっては態度や考えを変えることはよくある。
【属性:秩序】
【中立】よりもプラスの属性。有象無象ではない自身またはグループの思考を持っている。道徳や規律を守ろうとする傾向がある者が多い。だが、それだけで善人という判断にはならない。