選ばれなかった女 【チュチュ視点】
短いです。
なんだか想定通りとはいえザインがモテモテで腹が立ってきたのかもしれませんね。
で、その嫉妬パワーが新作に還元されるわけなのです(暗黒微笑)
アタシはチュチュ。ハルピュイアの女ネ。
まあ女ってのもおかしな話ヨ。そもそもアタシの種族、女しかナイ。
どんな種でも同じハルピュイアの女しか産まナイ。
だから他種族の男狩ル。
違タ、攫ウ。
…違うヨ、そダ、番にスル。
だから強い男求めて世界中を旅スルヨ。
アタシ達ハルピュイアどんな種族よりも自由。どこにでも飛んでイケル。だから本当は番なんていらないシ、気に入タ男をチョト襲う…ナイ、強力して貰うだけでイイ。
アタシ達は大体3~5人集マテ群れで旅スル。捕まタ男も共有ネ。独り占めスルは幼い証拠だと笑われるネ?
…でもアタシ、アタシは強い男。この世界で一番強い男とズト番いたい思たネ!
その切っ掛けは今から10年前、アタシも姉妹と旅してタ。やと自分でマトモに飛べるようになタのが嬉しくテ、姉妹から離れてしまタ。そしてモンスターに襲われたネ。アタシ、死に物狂いで逃げテ、姉妹と完全にはぐれてしまタ。
そこをジョニー達に拾テ貰タ。
最初はアタシとても怖かったネ。私達はハルピュイアは嫌われ者。どんな種族からデモ男攫うから嫌われるネ。旅の途中モ、何度も殺されかけたヨ。
でもジョニー達違っタ。
とてもアタシに優しかタ。
アタシとても嬉しかタ。
アタシ家族にしてくれる言ウ。
アタシ、姉妹以外に家族できタ。
アタシ、生まれて初めて痛い以外で泣いたネ。
だから恩返しに群れの頭のジョニーの子供産むことにしタ。
でもフラれタ。
ジョニーは娘と同じくらいの女は抱くの嫌、言っタ。
それに自分よりも強いノ、ウルフ言っタ。確かにそうネ。
私決めタ。ウルフと番にナル。
でもまたフラれてしまタ。
ウルフ、マル以外の女興味なかタ。とても残念ネ。
マルに飽きる思テ粘ったけド駄目だタ。子供まで生まれてしまタ!
そんなある日の事ネ。
とんでもなく強い男、現れタ!ウルフより強イ!しかも滅茶苦茶ネ!
しかも珍しいものイパイ持ってるネ。しかも食べ物もイパイ出せる。これならアタシ2、30人は子供産んでも余裕で育てられル!こんな男、他にナイ!絶対アタシと番って貰ウ!
…でもフラれてしまタ。しかも、相手はあの新入りネ!? とても悔シイ!
確かにユキムシ、強いネ。アタシも男で強い女と番いタイ思ったら迷わず選んだかもネ。
そればかりか、連れの半獣人のキナいう女ト、目の前で番う約束までしたネ!
アタシだてホントの家族なりたいネ!悔しいネ!とても悔シイ!
だかラ、アタシ今度ばかりハ折れずに粘たネ!
「明日!明日の夜ならどうネ?! 明後日でもイイヨ!」
「…折れない心。良いねと言いたいところだが…ちょっとなあ」
「ナ、何故ダ!? アタシ、ハルピュイアだから嫌カ? そ、それナラ!アタシの羽根毟っても構わないネ!!?! どうヨ!?」
アタシは禁じ手を切ったネ。とにかく必死だタ。男に向かて"羽根を毟っていい"とハ、ハルピュイアにとって命よりも重イ言葉。それは恋愛などしてはいけナイ種族のアタシ達が唯一持つ愛の言葉ネ。あなたの傍を決して離れナイ。自由種族たるアタシ達にトテ、その束縛は死と同義!あなたの為に死ぬ言ってるいうコト。
ザインがそんな意味を知らないとは思たがつい口に出してしまタ。
でも、きっとアタシの気持ち伝わったネ。
「俺にそんな猟奇的な趣味はないっ!!しっかし困ったなあ…それに俺は別にアンタの事が嫌いなんかじゃあないぜ? むしろ興味があるくらいだ。なんで空を自由に飛べるのか?とか、その綺麗な羽根とかにもさ」
ドキッしたネ!この男、何故急に口説きだしたカ?!
「…問題ないやろ。1番のあのキナいう娘の恨みさえ買わなければなあ? そうじゃろ?」
「う~ん。ちょっとこれ以上キナにお願いするのは俺も辛いからなあ、えーと君名前は?」
「チュ…チュチュ」
「そっか。気持ちは嬉しいんだが、キナの気持ちを汲んでやりたい。その、できれば彼女と相談してくれないか」
そう言ってザインはユキムシと建物の奥へ消えていったネ。
コレ…ザインは許可したいう事カ?
………ヨッシャアアアアアアア!!!!ネ!!
あ、でもまだラスボスがいたヨ。
アタシの事、とても怖い目で見てるネ。あ、笑タ。…怖いネ。
結果的には許しは出たネ。そしてザインと番うこともできタ。うん。も他の男はイラナイ、用済みネ。まあただ家族だけは仕方ないから引き続き守てヤル。
アタシ、ザインに選ばれなかった女。
でも違うヨ?
私は"選んだ女"ネ。
世界中どこにでも言って好きな男を選べるハルピュイアのアタシ、でも全ての男の中からザインを選んダネ。ハルピュイアとしては笑われるかもしれナイ。
…一生、愛を捧げる番の男とシテ、ネ。




