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山賊の王  作者: 佐の輔
序章
16/35

カラーリングと魔法を早速使ってみよう! 【ザイン視点】

週末最後の投稿です。

明日からまた仕事ですね。頑張ろう。


あ、キナのステータスをまた変更しました。

序章はもう少しで終了です。


 地面に未だくすぶっているオニキスの破裂痕を眺めていた俺は口を開く。

「ビックリしたが…そのオニキスってのが思ったよりも危険な代物なのはわかったよ。ということは爺さんの財布に入ってるサイズを使えば…かなりの威力が出そうだな?」

「ご明察です、ザイン殿。このオニキスは儂らの里近くで狩ったブルー・クロウラーのオニキスで大きくても掌で包めるほどの大きさしかありませんがの。…しかし、使いようによってはこの皮袋を爆弾にすることもできるのです。恐らく人間ひとりの頭くらいは簡単に吹き飛ばせるでしょうなぁ」


 随分物騒な通貨だな。イヤ、問題はそのオニキスが今みたいに使われて出すエーテルとやらが輪をかけて厄介な存在であることだな。この世界にマトモな動物の類がほとんどいないのは、コイツが主な原因で動物どころか亜人や植物すらモンスター化させているようだからな。

 …ならば、そのエーテルとやらを取り除ければモンスターを本来の姿に戻せるのか?今後、試してみる価値はあるかもなあ。


「ところで、さっきからブルーだのグリーンだのモンスターの名前に付いてるけど何か意味があるのか? それとも単純にそういう名前なのか?」

「いいえ。ザイン様はこの世界?に来られてから日が浅いということでご存知ではないようですが、モンスターにはブルーとかレッドとか、その種族によって"カラーリング"が在るんですよ」

 キナが俺の質問に答えてくれたが、カラーリングとは…?


 俺の表情を読み取ってくれたのだろう。博識な老エルフ、ナットーがそれを補足する。

「カラーリングとはモンスターの識別等級のようなものでしてな、広く使われておりまする。まあ色の通りに何故か体色が赤かったり、青かったりするのが不思議なんですがの?」


 ナットー達の話を俺なりに解釈して纏めるとこうだ。


 モンスターには種族名に伴って"色の等級"と固有種なるものが存在しているそうだ。固有種には名称に色は付かないという。


 "ブルー"最弱色。モンスターとしては最も弱いと分類されるもので、中には人間に気付くと逃げ出すものすら存在する。食用に狩られることが多いとか。


 "グリーン"害意色。害のある意味とされるモンスター。基本的にはこの色がつくモンスターは人間種に対して総じて敵意を持ち、発見次第に襲い掛かってくるらしい。またブルーでは無毒なモンスターでもこの色では有毒種であることが多いのだとか。


 "イエロー"成長色。各種族の中位以上を指す色で、放置すればより上位の色へと変わる可能性があるとされる。モンスターによっては放置することは愚策であり、群れのリーダーであることが多いらしい。


 "オレンジ"強化色。上位のモンスターを指す色の等級。イエローから更に成長した個体であり、下位の等級には無いスキルを使用したり、魔法や状態異常に耐性を持ったりと厄介な存在であるという。


 "レッド"危険色。最も上位であり成長を遂げた色の等級。種族によっては要塞ひとつを個体で壊滅させる程の力を持つとされ、"レッド・ドラゴン"などは人々にとって恐怖の代名詞とされている。


 他にも特異な色の等級があるという。滅多に出遭うこともないらしいがな。


 "バイオレット"反逆色。モンスターと敵対する性質を持っており、モンスターによっては調教されて人間種や亜人種に使役されているという。ただし、過去には何らかの要因によって"レッド"に転じたというので、モンスターはやはり危険な存在であることには変わりないらしい。


 "ホワイト"神聖色。モンスターを超越した存在と言われる伝説の存在。実存しているのは【三柱(みはしら)】と呼ばれるもの達で、各土地の人間と協力関係にあり、女神達に代わって信仰の対象となっているともいう。各個体で超常の力を持つとされており、これらの存在に対して怒りを買うようなマネを冒すのは最大の禁忌とされている。


 そして最後に"ブラック"災厄色。時代の節目に現れるという最強最悪のモンスター。その姿は何故か漆黒に包まれているという。この世界の人間種と亜人種の3分の2がこの存在によって滅ぼされ、国や文明ですら失われてしまった原因だという。


 更に話を聞くとこの辺に生息しているモンスターは比較的弱いらしく、滅多なことでは強い色には遭遇しないとナットーやボンレスは語った。レッドが出たなどと噂が流れでもしたら近隣の集落どころか要塞に至っても、なりふり構わずになるべく遠くに逃げ出そうと騒ぎになると言っていた。


 モンスターねえ…まあ、あの第1発見のモンスターであるゴブリンは別としてキナ達と合流する前にはチラホラと存在は確認できたくらいで、まだ戦ったりした経験はないからな~。その辺はナットー達の助言を仰ぐとしよう。モンスターについてはオニキスといい、カラーリングといい、知らないことが多過ぎるしな…。


 まあ、モンスターの話はひとまず置いといてだ。…さて、俺のステータス見てみるか?


∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴

ザイン:男:44


山賊/レベル04


【攻撃力】10  【防御力】10  HP 20/20

【生命力】10  【敏捷性】10

【魔 力】10  【精神力】10  MP:20/10/5/0

【技術力】10  【洞察力】10    (20/10/5/0)

【注意力】10  【魅 力】10


スキル:(強奪)【極値】【転職】

∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵


 …地味にクラスのレベルが上がっていたのも気になるが。よっしゃ!MPがアンロックされているぞっ。コレならきっと魔法が使えるに違いないぜ。


「爺さん、早速試してみてもいいか? その、魔法を…」

「おお、そうですな。では定石通りに【炎】の"火の創成(クリエイト・ファイア)"から試しなさるか?」

 そう言って太めの薪を手渡してきた。なるほど…これに火を点けなさいってことか?


「まあ、気負うことをせぬことが肝心ですぞ。出来てあたり前、集中力も重要ですがな要は心の力。イメージこそが魔法の根幹なのです…人によって苦手な属性はありますから色々とお試しになるが良いかと思いますなぁ」

「うし…やってみるか」

 俺は薪を目の前に立てると、目を閉じて頭の中にイメージを浮かべる。薪が燃え尽きて灰になるイメージがいいかな…?


「"火の創成(クリエイト・ファイア)"」


「「「「………?」」」」

 恐る恐る目を開くと何故か皆の表情が変だ。何故だろう?


 薪は灰すら残さずに消え去っていた。アレ?なんでだ。しかし、コレはコレで俺が魔法を使えたという事実には変わりない…!

「よっしゃあ!魔法が使えたぜっ」

「…あの? ザイン様、一体私には何が起きたのかわからなかったのですが…? 一瞬、光ったような気がしたらその、薪が消え去っていたのですが…御爺様、これは魔法が失敗したからなのでしょうか?」


 キナの疑問にナットーが髭を弄りながら答える。

「いや、魔法は成功しておるよ。魔力になんの乱れもなかったからの。…ただ、アレはもはや"火の創成(クリエイト・ファイア)"では無いのは確かだがの。ザイン殿、過剰な魔力をつぎ込むことは可能ですが、それでは魔法の内容を超えてしまって失敗してしまうのですぞ。さすれば魔力に乱れも出ますし、場合によって魔法を使ったものに跳ね返ることすらある危険な行為。残りの使用回数はいかがですかな? 体調に変化や負担は掛かっておられぬかの?」

「え? あ、ああ。大丈夫だぞ? 下級ロー・マジックを1回分使っただけだし…」


 そう俺が答えると、ナットーが『属性スキルも無くこの威力とは信じられぬ』と呻いている。

 …スマン、俺は嘘をついていた。実は例の如く、俺のスキル【極値】によって能力値の【魔力】を最大の100に変えていた。そうすると魔法の使用回数を気にせずに使えたからだ。ステータスを再度確認しても俺のMPがオール∞になっていた。


∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴

ザイン:男:44


山賊/レベル04


【攻撃力】 01  【防御力】01  HP 2/2

【生命力】 01  【敏捷性】01

【魔 力】100  【精神力】01  MP:∞/∞/∞/∞

【技術力】 01  【洞察力】01    (∞/∞/∞/∞)

【注意力】 01  【魅 力】01


スキル:(強奪)【極値】【転職】

∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵



 ただし、本気の魔力は出力してないけどな。キナ達に合流する前にスキル【極値】を【魅力】以外の各能力値であらかた試したのだが、魔力を100パーセント解放すると何故か俺自身何か肉体に変化を感じたので、これでも何かと調整した結果なのだ。…まあ、自分の容姿すら変わっていたことですらキナ達に会うまでわからなかったくらいだし。


 俺は魔法が使えたことが嬉しくて次々と魔法を試した。【炎】【水】【風】【雷】【木】【土】【光】【闇】全て問題無く使えた。なんと言っても【魔力】限界値の100ですから。使えて当然ですけどねっ!

 だが、調子に乗り過ぎた。


「…ナットーさん。あの、ザイン様もう50回以上は魔法を使っているようなんですが。大丈夫なんでしょうか?」

「うむ…若いの。儂も、いや賢者ですらお主同様に戦慄しておるだろう。このような真似ができる方にお会いしたのは儂も初めての経験なのでな? 先程使われておったのは"氷の創成(クリエイト・アイス)"だのぉ。【炎】と【水】の応用なのだが、もはやあれは基礎の魔法とは呼べぬ高度な魔法。…短時間であれほどの魔法、イヤむしろ半分でも過剰な魔力の循環に耐えきれずに肉体が損傷してもおかしくないのだがの。ザイン殿、無理をなされるなっ!」


 その言葉で俺は正気に戻る。しまったなぁ、流石にやり過ぎてしまったか。楽しくて…つい。まあ、皆が寝てから色々と試してみるか?

「あと、一発試したら今日は止めるよ? さて、今度はどうするかな…っ!そうだ、最後に皆を驚かしてやろう…」


 今の俺ならば、大抵のことができるはずだ。よし、全ての属性をイメージするんだ。


 俺は皆の目の前で掌を上下に握り込む。俺の淡い光を発する手元をキナ達が喉を鳴らして凝視している。


「…よし、成功だ。皆見てくれ、コイツをどう思う?」


 キナ達は開かれた俺の掌を見て動きを止めていた。


 キナとボンレスは口を大きく広げ、エダマノは初めて瞼を全開にし、ナットーは涙すら流している。


「ヒヒーン!」


 俺の掌の上には文字通りのミニチュアサイズ(・・・)のミニチュア・ホースが鳴き声を上げていた。



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