ザイン
【勝手に解説】ステータス編①
舞台となる【シットランド】にはゲームの様にステータスの概念があります。
ステータスボードは以下の様に表示されます。
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名前:性別:年齢
クラス/レベル××(20でピーク) 属性:-・・・±・・・+
【攻撃力】 ×× 【防御力】 ×× HP ××/××
【生命力】 ×× 【敏捷性】 ××
【魔 力】 ×× 【精神力】 ×× MP ×/×/×/×
【技術力】 ×× 【洞察力】 ×× (×/×/×/×)
【注意力】 ×× 【魅 力】 ××
スキル:×××
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クラス:その人物が就いている職業です。魔法使い等の戦闘職からクラフトマンといった生産系。山賊や盗賊といった犯罪者まで幅広く含まれます。
クラスにはレベルが存在し、20でピーク(極めると同義)となり、場合によってはその上級職に転職することが可能です。しかし、転職するには【転職】か【神官】スキルを持つ者や、クラスによっては特別なアイテムが必要です。
しかし中には生まれながらにして、上級職のクラスを持つ者も存在します。
属性:その人物の業です。マイナスの方から★(邪悪)・◆(醜悪)・▼(悪意)・■(混沌)・〇(中立)・□(秩序)・△(善意)・◇(有徳)・☆(光明)となります。単純に善と悪を判別するものではありませんが、犯罪を犯したり、罪のないものを傷付ける所業を平気でするものほど、マイナスの属性になります。
能力値:【攻撃力】【防御力】【生命力】【敏捷性】【魔力】【精神力】【技術力】【洞察力】【注意力】【魅力】の全10項目が存在しています。
各能力値については別途説明していきますが、常人のピークは10とされ、人間種の限界はおおよそ20とされています。値は最大でも100までとなっています。
【攻撃力】【防御力】以外で人間種の10以下を平凡値、11以上を超越値と呼称されています。
HPとMP:一般的なRPG同様の扱いのステータスです。ただし、【シットランド】の住民にとってステータスの存在は既知の存在ですが、HP・MPと言った呼称は一般的ではなく、体力や残りの魔法使用回数などと呼ばれています。
HPは【生命力】の倍の値となります。0で瀕死状態。-1で死亡扱いとなります。
MPはいわゆるW●Z式です。魔法にはランクが存在し、下級/中級/上級/超級となっています。各魔法の使用回数は、下級が【魔力】の値の倍。中級が同値。上級が半分の値。超級が20で割った値(不確定)となります。
スキル:使用できる特殊技能のカテゴリまたはパッシブです。()で表記されるスキルは自身が就くクラスから使用できるスキル。【】は生まれ持った・またはクラスのレベルが10以上で習得済みのスキルを指します。転職してもそのスキルは残ります。
「ここが、地獄かい? 思ってたのとは違うなあ」
女神の前に召喚された男が開口一番にそんな事を言い放つ。
「申し訳ありませんが、ここは地獄ではありません。そして貴方の言う地獄というセクションはかなり前に凍結されていますので」
そう言って優しい微笑を浮かべた女性が男の前に歩み寄る。
「アンタは?」
「貴方の異世界転生を担当するものです。名を名乗るほどの者ではありません」
男は訝しげな表情を浮かべながら女性の顔を眺める。
「…何か?」
「……うーん? イヤ、尋ねたいことはそりゃあ在るが、まずは先に要件から聞こう?」
男は視線を女性から逸らし、周囲をキョロキョロと伺う。
「フフッ。随分と落ち着いてらっしゃいますね? その方が私達としても助かりますが」
「…私達? アンタ以外にもこの空間に居るのかい?」
するとその刹那、今迄に感じたことのない風の流れと共に、女性の後ろ上方向から巨大な女の顔が男を除き込んでいるのに気づいた。
「お初にお目にかかります。異世界からの来訪者よ。私は創成の女神の一柱、ホーリーと申します」
「おおっ!? デッカイ彫刻かと思ってたぜ。まるでファンタジーの世界だな」
男は初めて驚いた表情を見せ、額に滲んだ汗を拭う。
するとそれが面白かったのか、目の前の女性がクスクスと笑い声を漏らす。
「驚かせて申し訳ありません。私の後ろに控える御方が貴方が転生される異世界【シットランド】を創造した【大女神ホーリー】様です。その世界は所謂、ゲームの世界観に酷似した部分があるので貴方が生前に存在していた世界とは仕様が異なります。ですが、先ずは色々とお話しする前に決めねばならない事がございます」
「決める事?」
俺の疑問に、目の前の真剣な表情になった異世界転生担当の女性が口を開く。
「先ずは貴方の新しい名前です」
「はあ?俺の新しい名前だと? しかし、俺には親から貰った… 親から、貰った立派な…名前が…」
思い出せない。自分にあるはずの名前が。
そんな俺を不憫に思ったのか女性は一瞬表情を歪める。
「貴方は既に亡くなっておられます。死期の前後の記憶と一部の記憶しか貴方は保持できていないのです。…死の間際の記憶はまだ鮮明ですか?お辛いのであれば任意で取り除くことが可能ですが」
「…イヤ、いい。 俺は死刑になった身の上だ。具体的にやらかした事はよく覚えていないんだが、碌な人間じゃあなかったはずだ。 …新しい名前か。悪いがこれといって思いつかないな、新しい人生なんて考えてなかったしな?適当に任せるよ。そうだ、ゲームなんだろ?ならデフォルトで頼むよ。あればの話だが」
すると彼女の後ろにそびえる大女神ホーリーが口を開いた。
「…では、新しい貴方の名は【ザイン】。…ザインという名などでは如何でしょう」
「………」
「…ザイン、ね。 悪くない。響きが気に入った」
☛貴方の名前は【大女神ホーリー】の名の下に【ザイン】と定められた。
この決定を覆すことは貴方の存在意義、及び魂の消滅を意味する。
「…!? アタマん中で声が響きやがった?!成程、こりゃあ益々ゲームの世界だな」
ザインは表情を歪めて女神と女性の方を見やる。
「では、お話を進めさせて頂きます。貴方の記憶に残っていた様に貴方は大罪を犯した魂を持つ方で間違いありません。そういう魂は本来、非常に重いペナルティを課せられた上で劣悪な環境に転生させられる神罰が下されるか、それでも反発するようであれば魂そのものを無に帰することもあり得ます」
「俺もその報いを受けて当然と、いう訳だ」
ザインは観念した様に頷き返す。
「はい。ですが、今回はそれらとは異なるのです。確かに貴方の罪は重い。しかし、神々の慈悲と貴方の減刑を懇願する声によって特別措置が執られる事となったのです。それこそが異世界【シットランド】に女神の使徒として転生し、その世界を救済すること!決して楽な道程ではありませんが、貴方の存在が滅びゆく世界を救える鍵になり得るかもしれないのです」
「そういう事か…それが俺に与えられる罰の代わりって訳か。…しかし、滅びいく世界とは…?」
ザインは腕を組んで目を閉じる。
女性は胸の前で手を組んでザインを見つめている。
「断るっ!!」
一瞬時が止まったかの様な空気に支配されていた。女性は呆気に取られた様な表情をまだ戻せていない。大女神ホーリーですらハッキリと驚愕の表情を表していた。
【シットランド】
主人公ザインが転生する異世界。【大女神ホーリー】が創造したとされる。
現在は非常に荒廃しており、文明も中世以前まで衰退している様子である。
女神の加護を失った人間達の生活は非常に苦しく、悲劇が絶えない。
このままではゆるやかに滅びを迎えてしまうだろう。