二話 〜ラルアは優牙の家に住む事になった!〜
俺は巴 優牙。故あって俺は死に、オタクならば一度は夢見た異世界転生を遂げた。本当は魔王退治が俺の使命だったのだが魔王が居なかったので、俺は魔王になる事を決意したのだ。そんな俺は現在12歳。本来なら魔王退治に行くお年頃だ。だが、魔王になるので魔法の練習や武術の特訓をしている。そして今日はお使いに行く事になったから現在進行形でお使い中。後は玉ねぎとじゃがいもだけだった筈。この先にある八百屋で買うだけっと。お、あったあった、さっさと戻りたいから早く買お。…ん?何か聞こえる。この裏路地からかな?「…め…て…」
「お前が使えないから悪いんだろ!」
中年位の男が5〜6歳位の女の子に暴行を加えている、か…犯罪だな。日本ならかなり重い罪だ。女の子が可哀相だし助けるけどこいつ(中年位の男)ってぶっ飛ばしても大丈夫な人かな?不安だなー格好もなんだか豪華だし。貴族だったらおじさん(助けてくれた村人の方)に迷惑かかるし。
「…たす…けて…誰か…」
「助けなんて来ないぜ?裏路地なんだし誰も通らねーよ」
あー…ムカつくからぶっ飛ばし決定っすわ。んじゃ習得した魔法でも試すか。
「あのー…そこのおじさん」
「あ?こっちは取り込み中何だよ、邪魔すんな!」
はあ…俺ってまだ弱いんだよなー。ファイアーボール位の魔法でも詠唱が必要だし。ま、やるか。
「火よ我が命に従え!」
「待て待て!魔法なんて聞いてない!」
「そりゃ言ってないもんね。[ファイアーボール]!」
あ、おじさん生きてる?うん。気を失っているだけだな。さて、さっきの女の子は?
「大丈夫?君、結構殴られてたけど。」
「あ、はい大丈夫です!助けて下さりありがとうございます!」おお。礼儀正しい!偉い娘だなあ。あ、フード取れそう。
「あ!フードが…」
「え…?」
俺が驚いたのもその筈だよ。何せ頭に狐の耳が生えてるんだから。しかも灰色!よくよく見たら尻尾生えてる!こっちも同じく灰色の。ふさふさすっげー
「また、やっちゃった…」
…?俺、何かやったか?すっごい怯えてる。ケモミミ見ただけなのに。…あ、分かった気がする。確かこの国、亜人は待遇悪いんだっけ?通常は奴隷などにされる筈。慰めるか。
「大丈夫。俺は酷い事なんてしないよ?安心してよ」
「そうなんですか?」
「ああ。何もしない。」
ん?今日の風やけに強いな。この娘大丈夫か…な…
「あ、うあ」
俺は戸惑う事しか出来なかった。どうやら彼女はマントだけを着ていた様で風でマントが飛ばされた。意味が分かるか?つまり、今この娘は全裸だ。5〜6歳頃の女の子の裸を見てしまった。これは…強制わいせつ罪に値する。裏路地で良かった…そうだ。ずっと黙ってるけどあの娘は?
「どうしたんですか?お顔を真っ赤にして」
はい?平然としてる?普通、叫んだり顔が真っ赤になる筈なんだが。
「だって君、今裸だよ?」
「慣れました。ご主人様の前では普通の事なので。」
「とにかく!俺が気になるからこの服着て!」
もうね。急いで上着投げた。あの娘はちゃんと着てくれたみたいだ。でもどうしよう。このままだと、あいつみたいな奴にまた奴隷にされてしまう。そうだ。
「君、俺の家に来ない?」
「え…?つまり貴方の奴隷になる、という事ですか?」
「違う違う!家族って意味。」
俺に奴隷なんて趣味は無い!可哀相だしさ。
「…良いのですか?こんな私が?」
「もっちろん!亜人の娘なら逆に大歓迎だよ!」
「何故ですか?魔物と人の混合種ですよ?」
「可愛いし。魔物じゃ無いから別にね」
マジの本音ぶちまけた気がする。前世でも冒険とかのゲームなら亜人大好きっ子だったし。あのもふもふ感たまんねぇ。いくら混合種でも人間に近いしさ。
「善は急げって言うでしょ?さっさと行こー!」
「…知りませんよ?そんな言葉」
「…え?」
そっかことわざ無いよね。忘れてたけどこの娘は灰色の毛並みに金色の目を持っている娘。あ、名前なんだろ?
「聞くの忘れてたけど君って何て名前なの?」
「ラルアです!」
へえ。ラルアちゃんって言うんだ…可愛い!
「宜しくね、ラルアちゃんっ!」
「はい、それと貴方の名前は…?」
やばっ、言うの忘れてた。女の子に名前を聞く時は自分からって親父に言われたんだった。
「ゴメンゴメン!俺は巴 優牙だ!」
「トモエ、ユウガ?不思議なお名前ですね…どこの大陸から来たのですか?」
あ、そうか。日本の名前だから不思議なのか。名前って変えた方が良いのか?可笑しいし。
「日本って所から来たんだよっ!とっても良い国」
「ニホン?聞いた事の無い地名ですねぇ」
「やっぱりかぁ」
残念だなあ、地味にだが。自分の出身国だし。おじさんに相談して改名した方が良いな。
「ま、急いで帰ろ!」
「そうですね!では走りましょうか」
「よしっ勝つぞー!」
頑張って走らないと負けてしまう…!ただでさえ引きニートなのに。って、お?ラルアちゃんどこ行った?さっきまで一緒だったのに。もしかしたらさっきの貴族みたいなのに誘拐された⁉探さないと…って何か砂埃がこっちに向かって来るんだが。怖っ
「ゆーうーがーさーまー!」
はい?あれはラルアちゃんなのか?あんなにヤバい娘ではない筈。だが俺の名前知ってるし…
「遅いですよ!ユーガさま?」
首を傾げる動作可愛い!いや、そうじゃなくて速すぎるよね?
「あの…ラルアちゃん…。今の速度は…?」
「まだ本気じゃありませんよ?」
「…はい?」
え、ちょっと待って?考える時間を下さい。えっと…まず俺が1秒位目を話している隙にラルアちゃんがどこかに行っちゃった。それで探してたら前から砂埃がこっちへ向かって来た。よく見たらラルアちゃんで今に至る。…全然分からん。
「亜人だったらこの速度は普通ですけど…」
「…人間では驚きの範囲内だよ?」
「………え?」
暫く沈黙が続いた。もしかして、いや絶対に。ラルアちゃん世間知らずだ…預かるとしたら世間の事は教えておかないと。まず正すとしたら裸が普通だと言うこと。これを直さないと人生…いや、亜生最大の恥だ!
「ラルアちゃん。歩いて帰ろうか」
「はい…」
まあ、何事もなく家には帰って来れた。漫画とかだったら途中で追ってが来るのになぁ…あ、俺何とも出来ないわ。来なくて良かった。
「エルアおじさーん、ただいまー」
「おう、おかえり…おお⁉」
あーやっぱ?おじさん驚くよね…亜人ちゃんを急に連れて来たら。亜人って忌み嫌われてるらしいし。
「初めまして。今日からお世話になるラルアです。宜しくお願いします」
「おい、優牙。話がある、ちょっと来い」
うおっ剣幕否めねぇ。おじさん怖っ。
「はーい。今行きまーす」
うう怖いなぁ。おじさんって怒ると怖いんだよ…てゆーかおじさんの態度が大違い何だけど⁉俺が魔王になるとか言ったからか⁉ま、いっか。そして俺はそのまま屋根裏に連行された。
「何で[ミゼリーフォックス]の亜人がここに居るんだよ⁉」
「どう言う事?ミゼリーフォックスって」
単語の意味だけで考えたら不幸の狐って事か…
「あいつがここに居たら不幸が降り掛かって来るんだぞ⁉」
「でも奴隷で可哀相で…主人に殴られてたし…だから…」
おじさんが珍しく怖いな。普段は優しいのに…いくら不幸だからってこんな嫌う事ないよな?可愛いし。…はあ、頑張って説得するしかない、か…うぅ怖いよ。
「ね、ねえ、おじさん!あの娘って預かっちゃダメ?」
…できるだけキラキラうるうる笑顔で!とにかく説得を…
「分かったよ。その代わり、あいつはお前が世話しろよ?」
「…ペットじゃ無いよ…おじさん?でもありがとう!」
良かったー…ラルアちゃんと一緒に暮らせる…またあんな奴と一緒は嫌だよな。おじさんってやっぱり優しいな。
《ラルアは優牙の家に住む事になった!》
三話へ続く
さて…破天荒なラルアちゃん登場の回でしたーあの破天荒さがまた可愛いラルアちゃんです(^q^)これから二人の関係はどうなって行くのでしょうか?次回の三話を待ってて下さいね!
byゆりらるら