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あなたの声が聴きたい。

作者: 冬山七

今なら分かります。

あなたの事が好きでした。

  僕が中学生2年生の時、違う小学校から来た女子とはじめて同じクラスになった。


 初めてみた時の彼女にことはあまりよく覚えていない。だが、彼女は違う学区の小学校から来たせいか友達は少ないと、笑って誤魔化していたのだけは印象的で覚えている。

でもそれは冗談ではなかったのだろう。事実、同じクラスになるまで彼女のことをを知らなかった。

 

 新学期恒例の自己紹介をして行く中、僕はその女子の透き通るような綺麗な声初めて聞いた時から魅了されてたのだ。


(仲良くなりたい!)


 そう思った僕はあの手この手で近づいた。彼女は声を褒めると照れながらも受け入れてくれていたようだった。他の友達を誘って何人かでどこかに出かけることもあった。

  彼女は優しく、慕われていたから生徒会にも入った。友達としてそんな彼女の近くにいられるのが嬉しかった。


  彼女に対して、好意に近い想いを抱くにはそう時間はかからなかった。

 でも、初恋もちゃんとしてこなかった僕にはそれが「恋」というものなのか判別が出来なかった。だから彼女がバレンタインにチョコをくれた時もどう反応したら良いのかわからず、お礼とホワイトデーお返ししか出来なかった。


 そのまま告白をする事も出来ず中学を卒業したが、近況報告みたいな連絡だけはしていた。

 彼女が高校の部活動で「放送部」に入ったと聞いて、彼女の美しい声を褒め続けた事が無駄ではなかったのだと、思えた。


  連絡はしていても中学を卒業してから2人で会おうとは誘えず、恋か尊敬か分からないこの気持ちだけは燻り続けていた。

  会いたい

  顔を見たい

  声を聞きたい

ーーーーでも、会えないまま時間だけは流れ続けた


  大学に入ると連絡も途切れ途切れになっていた。

  風の噂で彼女が県のスピーチコンテストで賞を取り、アメリカ留学までしたと聞いた。


 彼女は自分の声を最大限生かし様々な賞を取り、世界へと羽ばたいていた。

  しかし、僕はそれも知らずに都内のそこそこ名の通った大学に入ったくらいで喜んでいた。


 馬鹿馬鹿しいことだ。彼女は優しいから連絡すればこれまで通り相手をしてくれるだろ。


でも、それじゃダメなんだ。


  彼女は世界から必要とされるような素晴らしい人間へとなるだろう。

  何一つ取り柄のない僕などの存在価値はもう彼女にとって何一つないだろう。だから僕が最後に出来ることは一つだけだ。


(遠近法の遥か彼方で小さくとも何かが、あなたの中に残る事が出来たなら幸せです。

ああ、彼女に素晴らしき人生を。)

そう願う僕の頬を雫が伝った……


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