第8話
大変遅くなり申し訳ありませんm(__)m
しかも少し短いかもしれません。
読んでもらえたら嬉しいです。
『赦さん!赦さん!赦さんぞ!』
惑星ニードルス重力圏内を全速力で航行中、『ぶっとびタートル号』の通信からはオープン回線での怨みの叫びが響いてきた。
「まったく…チャッピーをはじめ、何人もの人間の命を奪っておいてunfairだな」
ケンが呆れたように呟いた。
「不味いぞケン!戦闘機にミサイルロックされた…しかもこの強い波長は対艦ミサイルじゃ!」
センサーを監視していたジョージが大声をあげた。
対艦ミサイルは通常の戦闘機用ミサイルと違い、分厚い装甲等で守られている戦艦を確実に仕留める為に、破壊力のみを追究した戦闘機用大型ミサイルである。
勿論至近弾でもダメージを与えられるように、周辺に反重力現象を引き起こすとても危険な代物で、反連邦時代には無かった新兵器である。
「奴さん、そんなモノまで積んでるのか?」
ケンは焦りながらも、惑星ニードルスの重力圏内を加速させる。
「社長さん、先程の武器でミサイルを迎撃出来ないんですか?」
アンが慌ててケンに問い掛けた。
「あれ、一回だけの兵器なんだよね。出来たところで効果範囲からはthroughできないから成果は期待できないけど」
ケンが慌ただしく動きながらも器用に肩を竦める。
『でゅふ~!マリオやめるのだ!そんな事したら我等の報酬が無くなるではないか!』
さすがの甘い彗星も、モニターの向こう側で慌ててマリオを止めている。
『五月蝿いデブ!ルアージの仇だ!』
『デ…デブブだと?』
と甘い彗星が脂肪を揺らして怒鳴ろうとした時、急激な変化が訪れる。
宇宙空間の闇を切り裂く、幾つもの光条が甘い彗星艦隊の駆逐艦に突き刺さる。
駆逐艦は空けられた穴が放電現象を起こした後に爆発し轟沈した。
戦闘レーダー外からの超長距離による艦砲射撃だと、この場にいる数名が理解する。
『でゅふ~?!』
『なんだと?!』
「niceなタイミング」
三者三様な声がモニターやスピーカー、艦内から聞こえてきた。
アンはケンに言葉を発するべく口を開きかけたが、モニターに表示される内容により、発する言葉を変更した。
「社長さん、『中佐』と言う方から通信が入ってます。」
どこかで聞いた事があると考えつつも、アンはケンに報告をする。
「よし、繋いでちょうだい」
『でゅふ~!マリオ、駆逐艦が一隻大破した!直ぐにこちらのフォローをするのだ!』
『チッ!分かったよ』
母艦が無くなれば死を待つしかない宇宙戦闘機であるマリオは渋々了承した。
オープン回線なのを忘れているのか、そんな慌てた甘い彗星とマリオのやりとりが流れているのを聞き流しながらアンはコンソールを操作する。
メインの余り大きくないモニターの画面が、縱二分割され甘い彗星の横にもう一人の人物が映し出された。
宇宙服ではなく、艦隊の司令官を表すアドミラルコートを着た、ボサボサの白髪に同じく白い口髭を蓄えた目付きの鋭い筋肉質の初老の男性である。
『ぐはははは!間に合ったようだな中尉?ジャンプできない我等をこんな所まで呼び出したんだ。暴れさせてもらうぞ?』
「助かります中佐」
白髪の男性『中佐』に苦笑いしながらもケンは答えた。
「やっと中佐の艦隊がレーダーで見えたぞ」
モニターから目を離さずにジョージがケンに告げる。
アンは気になって、自分の席のモニターに情報を表示させる。
駆逐艦級4隻、重巡洋艦級2隻、戦艦級1隻の艦隊で、艦船は全て旧ロルヴァ国製であり、ジョリー・ロジャーの表示もあり、髑髏のバックに何処かの紋章が描かれている。
アンは見たことがある紋章だなと思いつつ、読み進めて納得した。
A級賞金首、宇宙海賊『ロルヴァの亡霊』。
アンは旧ロルヴァ国旗を衛星都市シルヴァで何度か見たことがあるのを思い出した。
宇宙海賊『ロルヴァの亡霊』
反連邦国家ロルヴァと銀河連邦との戦争末期、戦場後方に存在している銀河連邦の大規模な補給艦隊に対する、前線を迂回して殲滅する作戦の為に編成された、護衛艦隊をも粉砕出来るようにロルヴァ軍の最精鋭の軍人と最先端の装備で編成させた艦隊であった。
前線を迂回移動している最中に、惑星ロルヴァに対する連邦軍のジャンプアウトからの全面攻撃により、ロルヴァ国家が消滅した事を知った艦隊司令官であるドレイク・マルダ中佐は銀河連邦へは投降せず、艦隊をまとめて姿を消したのだった。
艦隊の艦船は旧ロルヴァ軍製でコピージャンプドライブを装備していないものの、その余剰スペースに現行の戦闘艦よりも高出力で大型なメインエンジンと重力制御機関に換装し、主砲や電子装備等へその有り余った出力を回している為、レーダー外からの超長距離射撃等が可能となっていた。
甘い彗星側も相手が何者かを知ったらしく、
『でゅふ?ロルヴァの亡霊だと?何故にこんなところまで?』
未だに繋がっている回線からは狼狽えながらも的確な指示を出している甘い彗星が映っている。
甘い彗星の艦隊は回避運動を行いながら、ロルヴァの亡霊艦隊へと反撃を試みる。
射程圏ギリギリなのと、相手艦隊の技量の差により当たる気配は無い。
B級賞金首になるだけはあり、ロルヴァの亡霊の反撃も、先程の不意討ちと違い、当たる事はあるものの致命的なダメージを受けていないように見える。
戦闘がドッグファイトから艦隊戦へと移った事で、警戒し距離をとりながら戦況を見守る事になった『ぶっとびタートル号』。
「甘い彗星の重巡洋艦、何度か直撃を受けているがダメージを受けてるように見えないな…」
ジョージは各センサー等から得られる情報をモニターで確認しながら呟く。
「中佐の艦隊の主砲で?いくら距離があるとはいえ、あの出力を装甲だけで弾けるとは思えないな」
ケンも手元のモニターに情報を呼び出した。
「噂に聞く、エネルギーフィールドを搭載した実験艦なのかもしれんな?」
「え?何ですか、エネルギーフィールドって?」
ジョージの呟きに、落ち着きを取り戻したアンが問い掛けた。
「船の装甲の上に、更に何かしらのエネルギーによる装甲を展開する装置じゃな。流石に論文も転がってない技術なので詳しくは知らんが」
「そんな技術があるんですね」
アンはジョージの説明に何となく理解して頷いた。
「大方、遺跡から発掘されたオリジナルジャンプシップに搭載されていた技術じゃないのかな?」
ケンが自分の考えを口にする。
「ケン!惑星ニードルスより高エネルギーがこちらに向かってくるぞ!あと4秒後…」
騎兵隊の出現で一息ついて会話していても、警戒は怠らなかったジョージの言葉は最後まで続かなかった。
艦内を激しい衝撃で揺さぶられアンの悲鳴と各警報が響き、ブリッジ内は緊急ランプにより真っ赤になっていた。
モニターに映っている二人の宇宙海賊も驚きは隠せないようだった。
『…ゅふ?!今度は…事…とい…んだ!』
『何…今のエ…ルギー砲は?中尉は…事か?』
モニターは途切れ途切れの後に煙を吹いて何も映らなくなった。
「損害は?!」
ケンも流石に慌ててジョージに確認を急ぐ。
「メインエンジン沈黙!それによってニードルスの重力に引っ張られておる!」
「あの惑星って無人だって言ってたじゃないですか?!」
アンが通信機等を一生懸命操作していたが、反応が無かった。
「そうだったんだがな~。ひとつ分かっていることは…」
ケンが右手で操縦捍を動かしながら、左手でコンソールを操作しながらアンに顔を向ける。
アンは最悪の結果しか想像出来ずに首を横に振りまくる。
「このまま惑星ニードルスに降りるしか方法は無いんだな」
ケンは両手が塞がってるが、器用に肩を竦める。
「いやぁーーーーーーーーーーー!」
艦内にアンの悲鳴が響き渡った。
なんか勢いで書いてしまったので誤字脱字があれば教えていただければ助かります。
次回は衝撃っぽい展開があると思います。
よろしくお願いいたしますm(__)m