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スペースオペラっぽい話  作者: jammer平
俺は宇宙の配達屋?
7/10

第7話

遅くなって申し訳ありません(^_^;)

山場に入ってきました!

読んでくださると嬉しいです。

惑星ニードルス宙域。


 エノレサレス自治区を抜けた『ぶっとびタートル号』は、この宙域を通過しキャナダ自治区の惑星サンドレアスを目指していた。


「問題の宙域に入ったな」


 場違いな白衣が目立つジョージが、コンソールを操作し、レーダーによる警戒を強化している。


「消息不明になった宇宙船って沈んじゃったんでしょうか?」


 落ち着きが無いように、ちょっと太めの太股の上で空になった珈琲パックを両手で弄りながら、アンがケンに聞いてくる。


「そうだな、多分ほとん…」


「社長さん!救難信号をキャッチしました!結構近いです!」

問い掛けに答えようと口を開いたケンの言葉は、アンの固い声で中断させられた。


「座標を送ってくれ!」

モニターで座標を確認したケンは、ペダルを踏み込み船を加速させる。


 救難信号を発信されている座標の場所には、赤いメタリックカラーで塗られた横になった円柱状の宇宙船が所々に穴が空いた状態で漂っていた。


「チャッピー…」

ケンは数日前に会話した筋肉ダルマを思い出しながら呟く。


「これ、チャッピーさんの船…どうして?」

アンも目の前の惨状に自分の両手を握る。


「感傷には浸ってられないようじゃ。重力振動感知!距離は500!数は3つ、40秒後にジャンプアウトするぞ!」

ジョージがコンソールを慌ただしく操作しながら叫ぶ。


「shit!近いな、釣られたようだ!」

ケンが舌打ちしながら操縦捍を握り締める。


「ジャンプアウト確認!ぐぬぅ…。エネルギー反応より、駆逐艦級二隻、重巡洋艦級一隻じゃ」

あまりの戦力差にジョージが呻き声を上げる。


 ジャンプは正確な情報を有していれば、その精度は飛躍的に上がる。

 救難信号を受けて、救助に来る宇宙船が到着するタイミングを計って準備をしていたと思われる精度での近距離ジャンプは、重巡洋艦級の主砲の射程範囲内に入っている。


 ジョージの検索により、駆逐艦のデータがモニターに表示される。


 ヒュルダイカ重工製120メートル級駆逐艦『コナタ』。

角張った細い船体に半球型のブリッジ、後部は重力制御機関の為に大きく膨らんでいる形をしている。

 対艦砲1門、ミサイル発射菅1門、対空砲2門で、最高速度、旋回能力、攻撃力は第一線級には及ばない、数を揃える為だけの戦闘艦である。

 尖った船首に直線的に伸びた船体に2連型主砲2門が見てとれる、重巡洋艦のデータに関しては不明と表示されている。


「重巡洋艦のデータは無いのか?」


 小艦隊は沈黙しているものの、射程圏内の為、いきなり逃げることも出来ずに、ケンはどうしたものかと思案しながらジョージに声を掛ける。


「市場に出ている船ではないようじゃ。見た目の特徴的には、中央のCMWの流れを組んでるようじゃが…」


 ケンの問い掛けに光学センサーで表示されている重巡洋艦を見ていたジョージが、また呻き声を上げる。


「ぐぬぅぅ…。船体にジョリー・ロジャーを確認。宇宙海賊じゃ…、黒地に赤く染め抜いたケーキを食べてる髑髏。データベースに照合」

 ジョージがコンソールを打ち続ける。


「照合確認。B級賞金首、宇宙海賊『甘い彗星』じゃ」


「かかカカカ海賊ですか?」


 生まれ育ったジャポネ自治区やシルヴァ自治区では、ほとんど話題にならない宇宙海賊の存在に、アンは緊張の為に声が上擦ってしまう。


 俗に賞金首と言われている、賞金を懸けられた犯罪者にはS~Fのランクがあり、犯罪の種類や賞金額の目安となっており、賞金稼ぎ達は人数や装備等を揃えて挑む。

 賞金稼ぎは銀河連邦では登録制であるが、色々と条件はあるものの、一般人でも倒すことができれば賞金が出る。

 B級犯罪者は上から3番目のランクであり、重犯罪者や、実力のある宇宙海賊等が登録されている。


「中佐が言ってたのはこいつの事か…」

ケンが納得したように呟く。


「目の前の艦隊より映像通信が入ってます!」

アンは何の事か質問しようとしたが、通信が入りタイミングを逃す。


「よし、繋いで」

ケンの返事を受け、アンはコンソールを操作した。


 メインモニターには、脂ぎったブロンドヘアがかなり後退した額、口許を出している黒い仮面を着けているが、有り余った脂肪がはみ出ていて汗が流れている、脂肪ではち切れんばかりの宇宙服を着た男が映っている。


『でゅふふふふ、俺様はこの艦隊旗艦「パンナコッタ」艦長、宇宙海賊「甘い彗星」様だ。大人しく投降すれば命だけは助けてやろう』


 仮面からはみ出た脂肪を揺らして、何とも言えない不快な笑い声を出しながら、若干頭の悪そうな降伏勧告をしてくる。

 横で「うぇ~」と呻いてるアンを横目に、ケンはモニターの向こう側に声を掛ける。


「いやはや、B級賞金の大物海賊がこんな辺鄙な宙域で追い剥ぎですか?」


『でゅふふふふ、何も知らない道化が偉そうにほざくな』

大判タオルで汗を拭きながら甘い彗星は笑みを崩さない。


「ピーター・ハインズ氏だろ?」


 からかうような口調でケンがシルヴァ自治区区議会議員の名前を出す。

 甘い彗星はスーっと笑みが消える。


『どうやら、ただの道化では無いようだな』

相変わらず脂肪を揺らしながら、押し殺した声を出す。


「いやいや、簡単に想像できるでしょ。かの議員の黒い噂、ノンジャンプシップを動員した物資輸送、普段使われる事の無い航路での海賊の待ち伏せ。これが繋がらないと考える方が難しいでしょ」

 ケンは肩を竦める。


『でゅふふふふ、なるほど。確かにその通りだ。人員を運んできた小型船は撃沈させ、物資を積み込んだ輸送艦は我々への報酬を運んできていると言うわけだ』

 甘い彗星は肩と脂肪を揺らしながら笑う。


『もちろん、ここまで話しているのはお前達を生かしておく気はないと言うことだがな。せいぜい足掻いてみるんだな!でゅふ~』


「ケン!重巡洋艦から小型機がこちらに向かって来てるぞ!」

ジョージがレーダーに映った反応に声を上げる。


「shit!チャッピーをやった奴か!」


 ケンは左手で姿勢制御スラスターを全開にして、船体を180度回転させメインエンジンの出力を最大にする為にペダルを踏み抜く。

 アンは回転によるGと加速によるGで、歯を食いしばりながらも器用に叫ぶ。


「ケン、小型機のデータはタートル号のデータベースにあったぞ。元反銀河連邦国家トリュフの軍用宇宙戦闘機『ヨッスィー』じゃ」

ジョージはGに耐えてるはずであるが、声色に変化は無い。


「随分と旧式だな。人の事は言えないが」


 こちらも声色に変化の無いケンが、過去に数度見たことのある独特なシルエットの戦闘機を思い浮かべる。


『貴様達、連邦に属する連中を叩き潰す象徴となる機体だ!目に焼き付けておけ!』

突然、通信機から声が入った。


「外部からの~オープン回線です」

アンはGに耐えながら、上擦った声で報告をする。


「こりゃまた、余裕があるみたいだね」

ケンがオープン回線を開いて、戦闘機に声を掛けた。


『当たり前だ!武装のない輸送艦など、このマリオ・ワールドの敵になるはずがないからな』

勝利を確信した声で名乗りを上げる。


「マリオ・ワールドだと?トリュフ国のエースじゃないか?」

ケンは記憶の片隅にあった名前に驚きの声を隠せなかった。


「確か、トリュフ国の王女と婚約してたはず」

記憶のサルベージで、現状あまり役に立たない言葉が出る。


『その通りだ!しかし!ピィチ・トリュフは死んだ!連邦の屑どもの手によってな!俺は赦さない!ピィチが受けた痛みは連邦の住人の血によって晴らしてくれるわ!』

 運が悪い事にマリオ・ワールドの逆鱗に触れたようだった。


 ケンは船体の後部に取り付けられたカメラの映し出されていたモニターを見た。

 映像は30メートル級と思われる宇宙戦闘機がレーザー砲を撃ちながら接近しつつある。

 宇宙戦闘機は先端が丸みを帯びており、両脇にレーザー砲レンズが見えているので、動物の顔に見えなくもない。

 モニターから見える光景に違和感を感じながらも、ケンは『ぶっとびタートル号』を加速させた。


「ケン!前方に隕石、距離80!」


「あれを盾に距離を稼ぐ…か?」


 ケンは自分の考えに疑問をもつ。


(仮にも元エースパイロットが威嚇射撃で追い立てる?確か、マリオ・ワールドの戦術は…基本ツーマンセル!)


 目の前に隕石が迫った瞬間に、ケンは左手でコンソールを操作し、またもや姿勢制御スラスターを全開にして、大きく隕石から離れる角度をとり、メインエンジンを全開にした。


「ぬぎゅ~!」

アンが何とも言えない悲鳴を上げる。


 隕石を盾にギリギリで回避するコースに、隕石の陰からもう1機の宇宙戦闘機がレーダー砲を撃ちながら通過していく。


『なんだと?』

マリオの驚きの声が聞こえる。


「確かお前さんには双子の弟がいたっけな!お前さんが隠れて、通信でこちらを煽っていたんだな?」


 ケンがジョージに左手のコンソールで短いメッセージを送る。


『何故そこまでの事を知っている?!ルアージ、そいつを仕留めろ!』

マリオがオープン回線を切らないまま、弟に指示を出している。


 後ろから追撃している戦闘機から、今度は正確に『ぶっとびタートル号』目掛けてレーザー砲を撃ってくる。

 『ぶっとびタートル号』は横に回転しながら惑星ニードルスの重力圏内に入っていき、両脇にある貨物コンテナの後部パネルが吹き飛んでいった。





 元トリュフ軍宇宙戦闘機『ヨッスィー』に搭乗しているマリオ・ワールドは違和感を感じた。


『やったぜ兄さん!このまま止めを差す!』

通信機からは勝利を確信した弟の声が聞こえる。


(あの輸送艦、民間と言うより軍の横流し品か?エンジン周りの装甲があんなに簡単に吹き飛ぶか?)


 心に芽生えた不安はどんどんと大きくなってきた。

 コンソールを操作し、輸送艦の映像を拡大する。

吹き飛んたパネルの下地には無数の穴が開いてるように見えた。


『ダメだ!回避しろそれは…』

マリオの警告は最後まで続かなかった。





「遅いよ!」


 ケンは被弾した動きを装って、相手がこちらの射程圏内に入るのを狙っていた。

 操縦捍に取り付けられているトリガーを引く。

 コンテナ後部パネル下地にあった無数の穴から、ゴルフボール大の金属製の玉が、重力制御機関を利用した射出装置により勢いよく飛び出した。

 金属球は宇宙戦闘機に次々とめり込んでいく。

一瞬の後、金属球が次々と爆発していった。

 ヤマダ何でもカンパニーのメインメカニックであるジョージ・バージニがコツコツと作っていた、小型爆弾を散弾として後部に射出する、『ぶっとびタートル号』唯一無二の兵器、『ショットガン』であった。


『ルアージ!!よくも弟を…赦さん!』

怒気を孕んだ叫びが通信機から聞こえた。


「自分達の復讐に、関係無い民間人を相手にしているなんてbadな事をしている、お前さんが何言ってるのさ!」

戦闘は文章が長くなりますね(^_^;)

戦闘はまだ続きますよ!

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