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スペースオペラっぽい話  作者: jammer平
俺は宇宙の配達屋?
4/10

第4話

今回は若干短いですが、その分速く出来ました!

読んで貰えると嬉しいです。

 衛星都市シルヴァを出港し1時間。


 治安が比較的良い自治区内で特に問題があるはずもなく、ヤマダ何でもカンパニーの宇宙船「ぶっとびタートル号」は順調に航海をしていた。


 ブリッジでは宇宙服姿の三人の男女がのんびりとしている。

 身体にフィットした宇宙服が女性らしい曲線を描いている人物、バイザーを上げたヘルメットからだとそばかす目立つのではないか心配しているアン・シャーリーが残りの二人に向かって二つの人工珈琲のパックを軽く押して手を離す。

 パックはゆっくりと二人にそれぞれ向かって進んでいく。


 航行に重力制御機関を使っているとはいえ、艦内を1Gにするほどの余裕はこの船にはない。

 元々今は存在しない国家であるロルヴァの軍事工房が、初の重力制御機関実験機として制作された宇宙船なので、居住性は考慮されていなかった。


 銀河連邦との開戦で艦船不足となった為に、急遽輸送艦として配属されていた。

そもそも、現在の艦船で艦内を1Gにしているのは軍艦か、若しくは大出力を有している大型客船位である。


 現在も宇宙服の上に白衣を纏っている初老の男性、ヘルメットの上がっているバイザーの下にははミラーシェードが覗いている、ジョージ・バージニがセンサー類のモニターに顔を向けつつもパックを難なく受けとる。


「シャーリーさん、いつもすまないねぇ」

と年寄りっぽく冗談で言っているが、元軍人だけあって年齢からは想像できない筋肉質な身体を有している。


 ブリッジの前方中央にある操縦席に座っている長身の、細いながらも筋肉質な身体に少々タレ目気味だが整った顔立ちの黒い瞳の男性、ケン・ヤマダが身体ごと振り向いてパックを両手を使い笑顔でキャッチする。


「シャーリーちゃん、Thank You!」

航路を設定していれば半ば自動で操縦されるので、このように身体ごと動いたとしても問題はない。


 最初の頃はビックリして慌てていたアンではあるが、さすがに何度もやられて、ジョージに仕組みを聞いた後では落ち着いている。


 アンは自分のパックに口をつけながら、宇宙服に標準装備されているマグネット補助で歩きながら、自分の席であるケンの左側の席で、敷いてある様に見えていたが実は紐で固定されている私物の赤いクッションに、少々気にしている大き目のお尻を沈ませシートベルトを締めた。


 パックの珈琲を飲みながら、コンソールを操作していたジョージから特に緊張感がある訳ではない感じの声を掛けてくる。


「ケンよ、ワザワザ近寄って並走しようとしてる船がおるぞ。60メートル級のクルーザーじゃな」


「ほい、了解」

こちらも気にしてる様には感じない声で返事をする。


 ブリッジの強化ガラスの右手の向こうに、赤のメタリックカラーで塗られた、横にした円柱型の宇宙船が見えてきた。


「社長さん、そのクルーザーから映像通信が入ってます」

二人の会話を聞く限り、緊急では無さそうと感じているアンもケンに声を掛ける。


「ほいほい了解、繋いでもらえるかな?」


「はい、メインモニターに映します」


 アンは慣れた手付きでコンソールを操作すると、正面キャノピー上部に設置されているモニターに、宇宙服からでもわかる程の筋肉の盛り上りが見えるスキンヘッドの厳つい男の笑顔が映し出される。


『よう!ケン、お先に失礼するぜ!』


「おうチャッピー、安全運転しろよ。お前さんはジャポネ自治区ルートか?」


『まあな、乗客が居るのに危険な宙域はわざわざ通らないぜ。それに俺様の船なら一週間以内には間に合うからな』


 貨物スペースが無い分、輸送艦とは速度が違うからこその遠距離ルートらしい。


『それじゃ、また向こうでな!この仕事が終わったら飲みに行こうぜ!』


「はいよ、久し振りに朝までコースだな?またな~」


 チャッピーと呼ばれたスキンヘッドからの通信が終了すると同時に、隣の宇宙船が追い抜いていき徐々に小さくなっていく。


「クルーザーが加速に入ったな。中々の出力じゃな」

ジョージが感心したようにモニターを見ている。


「海賊までいかなくても、犯罪者に襲われることもあるらしいから、それなりの武装と出力は維持してるらしいよ」


 ケンは少し考えるように首をかしげながら

「シルヴァを出港して直ぐに見掛けた大型輸送艦を覚えてる?」

と左右の二人の顔を見る。


「なんじゃ?ホワイトスワロー運送会社の大型ジャンプシップ『クワトロ』の事か?」


「ジョージさんが言っていた、衛星都市シルヴァ唯一の350メートル級輸送艦で宇宙空母並みの大きさって船ですね?」

ジョージに続き、アンも思い出すようにケンに答えた。


「そう、それ。今回の依頼は惑星サンドレアスに救援物資や人材を派遣するだけだったら、ジャンプシップを何度も往復させるだけで事済むのに、何で俺らのようなノンジャンプシップの連中も駆り出されているのかって事なんだよな」

 やはりピーター・ハインズを信用しきれてないケンが疑問を口にする。


「確かにジャンプして物資や人材を降ろして、ジャンプで戻って補給してを2日位と考えると、そちらの方が断然早いのぉ」

 ジョージが大まかな時間を計算して、ケンの意見に同意する。


「え?でもシルヴァ自治区はこれだけ迅速に行動していますよと、ノンジャンプシップまでも動員したとニュースで流れるのは周辺の自治区や中央へのアピールとしては有りなのではないですか?」

 アンは自分の考えを口にした。


「なるほど、アピールとしての広告代位な感じで雇われてるって事か」

 ケンはアンの考えに理解を示す。


 センサー類を監視していたジョージがケンに声を掛ける。

「今、レーダーに映ったのじゃが、誰かレィヴィア自治区経由の航路に向かおうとしてる奴がおるな。登録船名『カイザード』、こりゃ探偵崩れのランコウ達だな」


「あいつの船だと積み荷は無理だから人材だろ?かなりの無茶をするなぁ」

 依れたスーツ姿でガニ股にオールバックの中年男性、ランコウを思い浮かべながらケンが呟く。


「奴等はあれでしたたかだから、勝算があるんじゃろ?」

 ジョージが背もたれに大きく伸びをして、珈琲のパックに口をつける。


「さて、そろそろエノレサレス自治区だな。何事も無いように神にでも祈るか?」

 ケンが胸の前で両手を合わせる真似をする。


「社長さん、この自治区でそんな事言ってたら刺されますよ?そもそも、その祈り方は違う宗教ですし」

 アンは冗談と解りつつも指摘しておく。


 ケンは軽く笑いながら珈琲パックを飲み干す。


 シルヴァ自治区は衛星都市シルヴァと惑星ロルヴァを含めた宙域の為、短時間で隣の自治区へと移動できる。

 エノレサレス自治区は聖域惑星エノレサレスを中心とした4つの惑星で構成されている。

エノレサレス以外の惑星3つにそれぞれ独自の宗教が根強く信仰されており、その各宗教の聖域がエノレサレスの為、小競り合いが絶えない。

 区議会は惑星エノレサレスに設けられてるものの、区議会議員は各宗教から同数ずつ選出され、議長は各宗教への調停役となっている。


 各宗教はそれぞれが武装しており、小競り合いの中には艦隊戦が起きる事もあるので治安はあまり良くなかった。


「何事も無ければ三日と言ったところかな?」


「まあそんなもんじゃろ」

ケンの独り言にジョージが律儀に答える。


「えっと、治安があまり良くないと言っても、早々に襲われる事なんて無いですよね?」

 アンが若干口許をヒクつかせながらケンに聞いてくる。


 しかし答えが返って来たのは、その向こうからだった。

「シャーリーさん、フラグがたったのぅ。航路上に3つのエネルギー反応有り、距離2千。エネルギー反応の大きさから言って、駆逐艦級2隻と軽巡洋艦級1隻じゃな。今、所属先を調べとる」


 軽口を叩くも、若干緊張した声でジョージがコンソールを操作する。

 ぶっとびタートル号のセンサー類は元軍用だけあって精度は民間船よりは良かったが、そこにジョージが改良を加えているので更に良くなっていた。


「ええ?せ、戦闘艦がなんで航路上に?!」

アンは自分が否定しようとした事が、肯定されるような状況に狼狽えてしまう。


「ありゃ?祈り方間違えたから神様怒ったかな?」

こちらは緊張した様子もなく、ケンは操縦捍を右手で握り直す。

次回は緊迫するお話!

…になるかなぁ?

がんばって書きますので、気長にお待ち下さい。

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