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スペースオペラっぽい話  作者: jammer平
俺は宇宙の配達屋?
2/10

第2話

第二話完成です。

読んでいただければ幸いです。

シルヴァ厚生年金会館。


 死の惑星ロルヴァの衛星軌道上にある都市「衛星都市シルヴァ」の中央区に建設された、銀河連邦シルヴァ自治区が運営している多目的会館で会議室やホールを有料で一般解放しており、会議や講演、一般のサークル活動等やアイドルのコンサートにも使用されている。


 依頼の通信があった次の日。

ヤマダ何でもカンパニーの三人は社用車であるワンボックスカーで早朝のシルヴァ中央区を走っていた。


 中央区は主に行政機関や大手企業の建物で占められており、天井は第3商業区と同じ様に人工太陽の明かりがあるが、第3商業区の金属製の天井と違い青空の立体映像を映している。

 勿論、日没の時間になれば夕日になり、日が沈めば星空が演出される。

 道路も整備されて、凹凸の部分など感じることは無く、空気清浄機能も高級住宅街並みに強化されており、澄んだ空気を感じられる。

 そんな整備された道路を走るワンボックスカーは元々は白かったであろう車体も使い古されて塗装はかなり剥げ、後で塗ったであろう耐熱性塗装のグレーが迷彩模様の様な見た目に仕上げていた。

 周りの電動モーターの静かな駆動音と比べて、あからさまに響いている化石燃料エンジンの重低音と車体後部に設置されているマフラーからの若干白い排気ガスが見た目と相まってこの車を目立たせている。


 エンジンの重低音を身体に感じながら、ワンボックスカーに設置されている後部シートに座っている赤毛をボブカットにした女性、アン・シャーリーが身を乗り出し、運転席であくびを噛み殺しているボサボサ頭に薄汚れたツナギ姿のイケメン中年、ケン・ヤマダに声を掛けた。


「社長さん、この車って条令違反なんじゃないですかね?」


 ここシルヴァは都市と言っても規模は違うが宇宙ステーションの作りになっているので、密閉された空間で空気を汚す行為はシルヴァ自治区の条令で禁止されており、罰金の対象となる。

行政の目の届かない荒れた場所はその限りではない。


「いやいや、こんな1台の排気ガス位じゃ中央区の空気清浄機能には何の影響も無いし、そもそも化石燃料エンジンを知っている人間なんて中央区にいないよ」

と呑気に答えながらまたあくびを噛み殺す。


「なんじゃ、昨夜は遅かったのか?」

助手席に座っている、モヒカンに白衣の初老の男性、ジョージ・バージニは問い掛ける。


「いやぁ、昨夜は中佐に話を聞きに行ったら軍曹に捕まってね、そのまま練習に付き合ったりとヘトヘトなんだよねぇ」

と力無く三度目のあくびを噛み殺していた。


 そんな話をしていると、煉瓦模様の外壁を持つ4階建ての大きな建物、シルヴァ厚生年金会館が見えてくる。

 100台は駐車できる少し大き目の駐車場の空いてるスペースに慣れた動きでバックで入れて、本当に今時珍しいアナログキーでドアに鍵を掛けて歩き出す。


 シルヴァ厚生年金会館の50メートル四方で天井高20メートル半ばの3階と4階の半分を占めている大ホールは政治家の講演会や決起集会、アイドルのコンサート等の多岐にわたる使用に対応するために様々な機能とその設備の為の操作室が設けられている。


 現在は客席等の機能を使わないただ広い空間になっており、奥には一段高いステージにマイクスタンドが立っているだけである。


 その場にはビジネススーツを着こんだ老若男女と、ラフな格好に怪しげな気配を纏った老若男女の微妙な組み合わせにより何とも言えない雰囲気に包まれていた。

 完全に怪しげな気配の連中に属する三人は必然とラフな格好が集まっている方へと足を向ける。


「お?ケンじゃないか!」

歩いているとすぐに野太い声が掛けられる。


 三人が声の主を見ると、そこには2メートル位の身長をもつ筋肉ダルマと形容するしかないスキンヘッドの男が立っていた。

 デニムのジーンズに薄手のシャツ、その上に合成革のジャケットの前をはだけて着ていた。


「お~チャッピーじゃないか、ご無沙汰ご無沙汰」

とケンも軽く手を上げて答える。


 アンはチャッピーと呼ばれた男の雰囲気に圧されてケンの背中に隠れてしまう。

「社長さんのお知り合いですか?」

恐る恐るケンに聞いてくる。


「シャーリーちゃんは初めてかな?このごっつい男は、流しの惑星間武装タクシーをしているチャッピーだよ。んでチャッピー、こっちの子がうちの会社の紅一点のアン・シャーリーちゃんだ」

ケンがお互いを紹介する。


「おう!こんな可愛い娘がケンの会社に入るとはな!俺はチャッピーた!よろしくな!」

筋肉ダルマにスキンヘッドの厳つい男が白い歯を輝かせながら満面の笑顔で右手を差し出す。


「い、いや私全然可愛く無いですから…アン・シャーリーと言います。よ、よろしくお願いします」

とアンはビクビクしながら差し出された右手に握手を交わす。


「ふむ、宇宙船を持っていると言っても、惑星間タクシーまで呼んでいると言うのは、どういう依頼なんじゃろうな?」

ジョージが辺りを見回しながら誰とはなしに呟く。


 ホールのステージ上部に取り付けられた立体標示時計が銀河標準時間の09:00を標示したところで、ステージの奥から対光学兵器仕様と思われるフルフェイス防具を纏った二人に護衛されながら、一人の初老男性がマイクスタンドに歩いていく。


 少々後退した額を露にした白髪混じりのブロントヘアをオールバックにし、一流ブランドで仕立てたと思われるビジネススーツ、指にはいくつもの希少金属製の指輪が嵌められている彫りの深い顔立ちに笑顔を貼り付かせた男性、シルヴァにいてニュース等を見ていれば1日1回は話題になるシルヴァ自治区の区議会議員ピーター・ハインズ氏である。

 ピーター・ハインズ氏は自治区内での慈善活動も積極的に行っており、多くの支持者を獲得し、議会での発言力も小さくはない。


「この度は私の依頼の為にここまで足を運んでもらった事に感謝します!」

笑顔を貼り付かせたハインズ氏は胸に手を当てて、ちょっと大袈裟なジェスチャーを交えて話始める。


(ああ、ニュースの為の撮影もしているのね)

 アンはそんな事を考えながら自分の爪を見てネイルが崩れてないか確認しながら話を聞いていた。


 ハインズ氏は悲しげな表情になりながら、

「今、ニュースでも流れているので知っている人もいるでしょうが、惑星サンドレアスにて未曾有の大災害が発生し、住民達がシェルター等に避難しています。付近の自治区も手を尽くしている中、微力ながら我々も協力する事が議会で決定しました!」

ハインズ氏は拳を振り上げて話を続ける。


「そこでここに集まって頂いた宇宙船を所持している会社や自営業の方に食料や日用雑貨等の生活必需品や、医師等の救助を行う者を乗せて頂き惑星サンドレアスへ急いで向かって欲しい!」


「報酬は船の大きさや積み荷等で変わるが、速く届けて貰えれば追加報酬も約束しよう!詳しくは受付のパンフレットを参照してください」

ハインズ氏は最後にホール内を見回しながら力強く言葉を発する。


「同じ銀河連邦に所属している我々が同胞の危機的状況を助け合い、惑星サンドレアスの苦境を少しでも軽くしてくれる為にこの依頼を受けてくれると私は信じています!」

ハインズ氏はその場で一礼して、来るときと同様に護衛されながら退場していく。


 ホールの出入り口横にはいつの間に設置されたのか職員と思われるスーツ姿の男女が座っている受付机が20位並んでいました。

 受付手前には先程話題に上がっていた報酬に関するパンフレットが受付と同じ様なスーツ姿の男女が配布していた。


(これがニュースに流れる事で、シルヴァ自治区区議会がかなりの予算を投じて惑星サンドレアスへの援助を行っているってシルヴァ住民と周辺の自治区へアピールするのも兼ねてるわけね)

 アンは早速パンフレットを貰いに小走りで向かい、順番待ちをしながらハインズ氏の思惑を考える。


 渡されたパンフレットは飾り気の無い電子チップになっており、自分が持っている現金支払いから通信機能まで備わっている掌サイズの端末に差し込み起動、立体的に標示される味気無い文章を読みながら、ケンとジョージの居る所まで戻ってくる。


「社長さん、これ中々すごい報酬ですよ?前金が1万クレジットで…」

と顔を上げて言葉を続けようとしたアンだが、考え込んで自分の無精髭を撫でているケンの姿に戸惑ってしまう。


宇宙に出るのはもう少し先です(^_^;)

誤字脱字変な文章があれば教えてくださると嬉しいです。

次回更新はまた一週間後位になると思います。

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