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深を射す 46(最終章)


 自由研究の話題なんてどこかへ行ってしまうのは織り込み済みだった。どうせ貴史や美里がそんな真面目な話だけで終わらせるわけがない。もちろん場所を考えると大声で騒ぐことが許されないのは、高校生の常識として理解はしている。ということでここは美術館地下一階の図書館。さっそく貴史が、もう一冊ひっぱり出してきた画集を広げてかくかくしかじか講釈している。殊勝に美里も拝聴している様子だった。

「この前な、金沢にひっぱられて、水口たちのとこへ会いに行ったんだ」

 開いたページには少し明るめの画調で橙色の格子模様が果てしなく続いている絵が載っていた。話の内容を接ぎ穂して考えるに、どうやら現代美術の有名な作品らしい。

「金沢くんと? でもなんで水口くんと?」

 相槌を打ったのは美里の方だ。上総も初耳だったので黙って聞き入った。

「ほら、水口、医者になるための学校に行ってるって話知ってるだろ? で、そこでな、たまたま金沢の好きな画家の展覧会が行われてるってことで俺も一緒に来いと誘われたわけ。せっかく行くなら水口にも声かけねばもったいないだろ?」

「あのさ、それもっと早く、私にも教えてくれたってよかったのに」

 かなり不服そうに美里が呟いた。目つきがかなりきつい。

「展覧会だけだぞ? それも美術館でやるんじゃなくて、どっかの家の部屋で見せてもらう感じだったんだぞ。それだけなんだぞ。そんなつまらんとこに誘ってどうする」

「だってすいくんがいるってことは、彰子ちゃんもいるってことじゃない? 彰子ちゃんと会って話をすることだってできたじゃないの。こずえも誘ってせっかくなら」

「やめろやめろ、やっぱし野郎だけで行って正解だったってよおくわかった。立村、そのわけ、大体わかるだろ」

 促される。よくわかる。頷いた。さらに美里が納得行かない顔で今度は上総に食い下がる。

「ちょっとちょっと、どういうこと? ねえ立村くんまでなんで貴史と同じ考えなわけ?」

「同じというわけじゃないけど、やはり女子を連れて行く場面じゃないと思う」

 考えつつ、言葉を選びつつ、

「まず、羽飛は絵の勉強のため、出かけただけであってそれ以外の目的は水口に会うことくらいだろ?」

「それはわかってるけど、でも一日中芸術論かましているわけじゃないんでしょ?」

 手元の美術館パンフレットを開いて何度も机を叩いた。あまりやりすぎるとまた、チェックが入るだろう。美里に釣られて声を大きくしないように心がけた。

「清坂氏にはぴんとこないかもしれないけど、男子同士で顔を合わせる時、変な意味ではなく同性でないとわからない話題が出てくること、多いんだ。そうだろ、羽飛」

 満足げに腕を組み頷く貴史。ちらっと目線だけ送り上総は続けた。

「女子がいても不思議はないと思うかもしれないけど、やはり、どこかで遠慮するものはどうしてもあるんだよな」

「別に、エッチな話されても私、平気だよ」

「そういう意味じゃないって言ってるだろ。それこそ人生論とかいろいろ、結構固い話で盛り上がることもあって、正直あまり、女子には聞かれるのが照れくさいというかな。聞かれていたらまぜっかえされてしまいそうな内容のことも出てくることが多いんだ」

「私そんなこと、しないのに」

 さらに口を尖らす美里に、上総は畳み掛けた。

「羽飛だけなら問題なかったと思うけど、金沢や水口もいろいろ思うところがあるんじゃないかって気がするんだ。俺もあのふたりと語り合ったことはあまりないけど、将来の方向性がはっきりしているのは共通している連中だしさ。そうだろ、羽飛」

 腕を組んだまま、貴史は満足げに頷いた。

「立村、お前ひそかにテレパシー持ってねえの? ほーら美里、よっく聞いとけ。立村の言う通り男同士でねえと語れない熱い話題だってあるんだぞ。こういう時にはお前がいくらもの申したくても口を出すもんじゃねえの。いいか、東堂のことで美里、懲りてるだろ?」

 美里は黙った。かなり鋭い一撃だったようだ。すでに東堂がらみの問題では貴史がうまく割って入ったはずとは聞いていたのだが、美里に対してどういう処置をしたのかまでは聞いていない。やっぱり言う時は貴史も遠慮なく言うのだ。幼なじみだから遠慮もない。それ以上触れずに貴史は話を締めた。

「まあな、水口情報によると奈良岡のねーさんも元気そうだし、夏休み中には菱本先生もクラス会やりたがっているし、なんか企画は立てる。その時で美里、いいだろ?」

「わかった、悪かったわね。男の水入らずを邪魔してばっかりで!」

 完全にご機嫌を損ねた美里は、むっとしたまま両手をこぶしにして頬杖をついた。

「それにしてもさっきから気になってるんだけど」

 大きな瞳をぎょろっとさせ、上総に尋ねてきた。

「立村くんってさっきからずいぶん、私と貴史の顔見て、楽しそうにしてるよね。それ、なんで?」


 何にも考えていなかった。ただなんとなくふたりの話題に聞き入り、時折相槌を打つだけだった。美里の質問は思いっきり不意打ちだった。

「そう見えるか?」

 美里だけではなく貴史も大きく共感の頷きを返してきた。

「俺も美里の意見に賛成。いつもだったら早く終わってくれねえかって顔して退屈そうに指弾いたりしてるだろ。それか窓ばっかりみているか」

「そんな失礼なことしたつもりはないけど」

 心外だ。親にそういう振る舞いは許されざるものとして躾られてきたから、当然だ。 

 なのに貴史も美里とも大きく首を振る。

「なんとなくそういう感じってのは、あったよね。貴史もわかる? 立村くんって愛想よく話を聞いてくれていると思わせておいて、実はみんな聞き流してるってこと多いよね」

「そういうこと。目はこっち向いてるけど、幽体離脱して気持ちが外をゆうらゆうらしているってのが、一番近いか」

「ふたりともものすごく、俺に失礼なこと言っているって意識あるのかな」

 軽く反撃すると、またふたり、シンクロするように首を振る。

「失礼じゃないよ。それ、褒めてるんだよ。褒めてるって言い方が変なら認めてるってこと」

「悪く取るんじゃねえよ。要はお前、俺たちの話、ずいぶん楽しそうに聞いてて、こちらとしてはすげえいい気分だなって、それだけ伝えたかっただけじゃねえの? 美里、そうだろ?」

 最初はかちんときた言葉だったけど、なんとなく貴史たちの和やかな説明に納得させられてしまった。その通りかもしれない、そう思えた。

「いや、清坂氏が怒った顔して俺に話し掛けてきたから、何かつっかかりたいのかなと用心しただけだよ」

「そっちの方が物凄く失礼だと思うけど!」

 言葉とは反対に、美里の顔に浮かんでいたむっすりしたものは消えていた。


 ──でも、そうかもしれないな。

 すぐに次の話へ進んでいる貴史と美里を交互に眺めやりつつ、心穏やかに聞いていられるのは事実だった。美里の指摘はまったくごもっともと言うしかない。

 中学時代からずっとトリオで行動することが多かったけれども、卒業式を迎えるまでは今の心持で過ごしたことは殆どなかったような気がする。出会いの頃は三年以上前で記憶も曖昧だけど、それでもまだ糊のきいた緊張感がどこかかしらに隠れていたようだった。

 物心ついてからいつも感じてきたことだし、そういうものだと思っていた。

 むしろ「なくなった」時の肩の軽さを知らなかった。

 中学二年の夏休み中もこの美術館で、貴史と美里はふたりの世界でひたすらわけのわからない美術作品を指差したり笑ったり駆け回ったりと忙しくしていた。二年前の上総はそのふたりについていけず、疎外感を味わっていたはずだった。あの頃と比べてふたりの性格が変わったわけではないのに、なぜ今の自分はかもし出される空気にほっとしていられるのだろう。自分でもわからなかった。ただこのままでいたい、そう思った。

 ──それにしても、あいつは来るんだろうか。

 ふたりの会話が、上総の知らないテレビ番組の話題……とりあえず鈴蘭優でも「砂のマレイ」でもないことは理解した……にシフトした段階で上総は、ほんの少しだけ意識を外に向けた。このくらいの「幽体離脱」気分は許されるだろう。

 待ち人が現れたのは、それからまもなくだった。

「あれ、あいつじゃねえの?」

 上総が振り返った時、そいつはなぜか薄いジャケットを羽織って入り口に突っ立っていた。

 ──暑いだろうに、その格好だと。なんてこんな暑苦しい格好してきたんだろう?

 呟いて気がついた。夏でもジャケットを手放さないのは、かつての自分が心がけてきたことのひとつだったから。


 霧島はすぐに上総を見つけたらしく、まずしゃちほこばった風に一礼した。急ぎ足でないのは余裕を見せたいからなのか。いかにも青大附中の生徒会副会長の顔をこしらえて、慇懃無礼な態度でもってまず美里に声をかけた。

「清坂先輩、御連絡をありがとうございます」

「ゆいちゃんに頼んでおいたこと、聞いてくれた?」

 何か尋ねたのだろうか。上総が口を開けかけるとすぐ霧島が遮った。

「必要最低限のことは確かに」

「そうなの、けどね、霧島くん」

 少し気の張った言葉をぶつけようとしていたようだ。美里のこういう発言が飛び出してしまうと、また場が荒れないとも限らない。瞬時に上総は立ち上がった。今の段階では美里には黙っていてもらわないと困るからだ。

「霧島、これ」

 自分の小さな鞄を片手で引っ張り出し、一歩霧島に近づき、腹に押し付けた。

「はあ」

「話は外に行ってからにする」

 きっぱり言い放ち、改めて貴史と美里に片手を挙げた。

「また後で連絡するよ。自由研究のことはまた改めて相談するけど」

 言葉を切り、今度は貴史を見据えた。美里には今の段階で話すべきことをすべて伝えきった。あとは貴史だけだ。

「羽飛、悪いけどやりたいこととかテーマはふたりで決めてもらえないか。今日の段階でできれば」

「おいおいどうしたよお前」

 霧島に対してはほぼ初対面に近い貴史だけに、かなり用心深く様子を伺っているようだった。だが今のところはどうでもいい。まずは伝えるべきことだけ忘れないようにしたい。

「決めてもらえれば俺はそれに従うから。また、明日な」

 最後に美里にも視線だけ向け、上総は隣で突っ立っている霧島の脇をそのまますり抜けた。


 階段を昇ろうとしたところで、追いかけてきた霧島に呼び止められた。

「なんなんですか、いきなり人に荷物を押し付けるとは」

 またかたくなな口調でもって霧島が、上総の鞄を無理やり押し付けようとした。

「僕を荷物持ちにするつもりですか」

「そういうつもりじゃないけど、今日はとりあえず俺の言う通りにしてもらえないか。まず外に出よう」

 上総は受け取らず背後の霧島にも振り返らず階段を昇り、出口に向かった。

「何考えてるんですか」

 ぶつぶつ呟く霧島の声を聞きながら、上総は改めて覚悟を決めた。

 ──今、俺が本条先輩の立場だとしたらどうするか、だよな。


 昼過ぎということでだいぶ人が増えてきたようだった。クーラーの聞いた薄暗い美術館エントランスから出るとすぐ、じんわり身体から汗が噴き出したようだった。

 この日初めて上総は霧島に振り返った。

「いきなり呼び出して悪かった」

「何様のおつもりですか。よりによって清坂先輩を使うとは。しかもあの無能な姉などに伝言させるとは。もし間違って伝わったらどうするつもりだったのですか。姉の馬鹿さ加減はよくご存知でしょう。市立美術館をもし市立博物館と言い間違えていたら僕はとんだ無駄足を踏むはめになったのですよ」

 甲高い声でまくし立てる霧島の顔を観察した。

 ──動揺はしているようだな。

 霧島とこの二ヶ月ほど接して来てよくわかった。何か予想のつかない出来事が起こりパニックを起こすと霧島は舌鋒鋭く攻撃してごまかそうとする。もしくは冷静沈着なふりをして頬だけひきつらせつつ意味不明な発言をするかのどちらかだ。限りなく杉本梨南に似ている。

 ──どちらにしてもきちんと話はしないとな。

 上総はタイミングを待った。こういうタイプは切り出し方をしくじるとぱたっと心を閉じてしまう。自分もそうだからよくわかる。

「まずはついて来い。それからだ」

「なんですか偉そうに。申し忘れておりましたが立村先輩、先日、関崎先輩と直にお話しましたが」

 ぱたと足が留まる。そういえば昨日、関崎もそんな話をしていたような気がする。

「そうか」

 険悪なぶつかり合いにはならなかったらしい、そんな感じだったはずだ。

「俺の言った通りだっただろう。関崎はいい奴だ」

「確かに立村先輩よりは賢い方ですね。公立中学上がりには思えません」

 一歩ずつ前に進む。肩を並べたくない。横顔を覗かれたくない。

「そうか」

 機械的に答えた。さらにトーン高く霧島は続け、追いかけてくる。

「物事に対して何事にも全力投球されるタイプの方とは前回お話しした時も感じてましたが、あれなら上級生受けもするでしょうね」

 自分からみて先輩にも関わらず「上級生受け」と言う始末。

 ──こういうところが天羽たちのいらだつところなのかもしれないな。

 本人が意識してやっていることではないからなおさらたちが悪い。

 人を見下すようなその言い方は、現段階ではきちんとした肩書があるから認められているけれども、仮に野に下りて平の生徒に戻った瞬間しっぺ返しを食らうだろう。現に、元評議委員長だった上総は中学三年後期でその惨めさをたっぷり味わった。

「僕の見立てでは関崎先輩、確実に上級生たちの庇護を得て、生徒会長に昇り詰めますね」

「生徒会長、か」

 いや、それはないだろう。いくら関崎を見込んだとはいえ、それはオーバーな表現に思えた。能力うんぬんの問題ではなく、附属上がりの連中が公立上がりの関崎を受け入れるとは到底思えない。天羽や難波だけではない、仮に評議委員長、「委員」クラスならそれなりに任命されても違和感はないだろう。しかし生徒会長となると今度は附属生たちのプライドが許さないのではないだろうか。

 ──単に、霧島は自分が生徒会関係者だからその枠でしか見られないだけなんだろうな。

 視野が狭いだけなのかもしれない。上総は聞き流した。ひっかかってしまう澱は、霧島が明らかに上総よりも関崎を高く評価しているということだけだった。

「俺の話した通りだろう」

 同じことを繰り返し、次の一手を待つ。

「立村先輩、ですが正直、あの人には難点がありますね」

「公立上がりということか」

 やはりわかっているのだろうか。用心深く問うと、

「いえ、先輩受けはするでしょうが、後輩受けはしないタイプではないかと判断しました」

「後輩受けか」

 少しひっかかる表現だが、さっきひっかかった澱のようなものがするっと取れたのを感じてしまう。やはりまだ、顔を見られたくない。足早に目的地へと急いだ。しっかりと霧島も着いてくるが、息が上がっているのが言葉の切れ切れ加減で伝わってくる。

「その、通りです。関崎先輩は確かに有能でしょうが、結局のところ誰かに使われるだけではないでしょうか。そういう印象を受けました。この前のような藤沖先輩がらみの事件においてもそうです。あれは藤沖先輩が手を回し、関崎先輩の正義感に火を点けたからであって、失礼ながらご自分の意志で行動したものとはどうしても思えませんでした。その点、うちの生徒会長である佐賀先輩の方が自主的に指示を出し行動をされてます」

 ──本当は佐川の指示に従っているのもしれないが。

 この辺は飲み込んでおく。

「もちろん、関崎先輩派につけば僕も安泰でしょう。僕なりに高校進学以降どの派閥につくべきかはよくよく考えております。なにせ僕は先輩に恵まれなかったものですからね。しかしそんなことは高校に進学すれば言ってられなくなるでしょう。僕も高校では生徒会でそれなりに権力を握りたい気持ちはあります」

 ──そこまで言っていいのか。この調子だと仮に青大附中の生徒会改選で会長になり損ねたら確実に一波乱起きるな。

 別のところで心配する。一年前の杉本梨南の件で心身ともにぼろぼろとなった上総には、耐え難いことである。二度目は勘弁してほしい。

 どちらにしても霧島は野心家であるということだけよく理解した。そうか、そうか。生徒会に拘りたいわけだ。

  ──だが、霧島、本当にこのままの性格で高校に入学したら、恐ろしいことになるぞ。まずは杉本の現状をよくよく見ろ。杉本も自業自得と言われればそれまでだが、仮に何事もなければ評議委員長か生徒会長に任命されていたかもしれないのに、あの毒舌で身ぐるみはがれたようなものなんだし。女子同士は言葉だけの嫌がらせですんだけど、男子は怖いぞ。腕力で片がつく世界なのに。それもまさか、気づかないでいるのか?

 本当だったらすべてこの台詞を霧島にぶつけたい。

 「先輩に恵まれていない」霧島に。

 たぶん、上総以外にそのことを伝えようとする相手はいないと思う。仮に霧島をかばったとしたら、たぶんその場で村八分になるだろう。王子様を思わせる端正な外見でもって、女子たちからはアイドル扱いされるかもしれないが、男子の政治世界での鉄則を破る奴には制裁が与えられるはずだ。そんな危険な賭けに出たいと思う奴は、まずいない。

 今の霧島に伝えねばならないメッセージはたくさんありすぎる。

 姉に対する言動の酷さも、渋谷名美子への残酷な言葉の数々も。

 王子様仮面の奥でがたがた震えるしょぼくれた中学生の顔も。

 「尊敬する先輩なんかいない」と言いながら、なぜか上総にはわけのわからない理由をくっつけて絡んでくる。「敬意」ではないだろうが、ほんの一言上総が美里に伝言を頼み呼び出しただけで、わざわざきっちりしたジャケットを羽織ってやってくる始末だ。

 言葉とは裏腹に、かまってほしいという全身からの叫びが汗と一緒に飛び散っているようだった。それを見出すことができたのは、今のところ上総しかいない。

「ですので、僕はやはり、じっくり観察しつつ時を伺うつもりです。まあ、まず最初に中学の生徒会長としての仕事が待っておりますのでそこから考えるとして、その間に少しずつでも高校の先輩たちとコンタクトを取らせていただこうと思っております。ですが、あまり目立つ方ですと僕の言動が筒抜けになる可能性もありますし、尊敬のできない愚かな先輩と繋がってしまえばまた、今回の渋谷先輩のように余計なことを押し付けられる可能性もあります。ということで現在僕は」

 足を速めた。できればそこから先の言葉は聞きたくない。

「立村先輩から情報を頂くことで、高校進学以降の身の振り方を静かに考えられればベストでしょう。どうせ立村先輩は今のところ、野に下りているわけですし、さほど上級生の先輩たちから目をつけられているわけでもないですしね」

 ──確かにその通りだが。

 上総は深く溜息をついた。先が思いやられる。これはもう覚悟するしかない。徒歩五分、もう目的地にたどり着いた。美術館側のゲームセンターだ。

「霧島、悪いが二階の卓球台が空いているかどうか見てきてくれ」

 はっきり指示を出した。明らかに戸惑った顔の霧島が、立ち止まった上総の前に回りこんだ。

「どういうことですか?」

「卓球台を押さえてほしい。たぶん空いていると思うが、先に行ってくれ」

「そこまで僕をこき使うつもりですか」

 またヒステリックに叫びそうになる霧島を、上総は笑いをこらえつつもう一度命令した。

「卓球台の受付は一階だ、そこで聞いて予約を今すぐ、入れてくれ」


 本条先輩からもらったアドバイスを上総は記憶していた。

 ──お前の得意な卓球でもいい。とにかく思いっきり叩きのめして、その後でここのとんこつラーメンでもおごってやれば、大抵のいざこざは片付くものなんだぞ。

 霧島に対する対応について、聞いた当時は本条先輩の意図するところが全く理解できなかった。ただ「本条先輩だから」意味があるのだろうと聞き流していただけだった。

 ──そうだな、本条先輩も卓球だけは、俺に勝てなかった。

 素人卓球のレベルだし、ドライブマンとかカットマンとかそういう専門用語も全くわからない。ただ、他のスポーツと比較して自分には向いていることくらいは感じていた。部活に参加することを勧められたのも一度や二度ではないが、すべて断ってきた。運動部に所属なんてまっぴらだ。それならまだ、委員会活動や生徒会の方がはるかにましだ。

 ──あの本条先輩ですら、俺には勝てなかったということは。

 仮に霧島が、卓球の才能を隠し持っていることでもなければ、まず七割方の力で上総は勝つことができるだろう。卓球部に入っていたという話は聞いたことがない。運動能力は先日のボーリングでもそれなりに感じたが可もなく不可もなくといったレベルのようだ。運動音痴ではないけれども、ずば抜けた能力もない、ということだ。

 ──俺が確実に勝つことのできるものは、まず卓球だけだ。

 英語能力はおそらく学年トップの霧島相手だと、少々心もとない。

 だが卓球だけなら、奴を負かすことができる。

 つまり負かすことができれば、

 ──思い切り叩きのめして、その後でとんこつラーメン、か。

 自分ではやり方がなんとなく汚いようにも感じるが、あの本条先輩が教えてくれた言葉だ。まずはそれに頼ってみようと決めていた。

 おそらく霧島は、なんらかの理由付けでもって、上総にちょっかいを出す権利を欲しがっているのだろう。上総なりに観察して出した結論としては、覚悟を決めて霧島の面倒を見るしかなかろうというところだった。天羽や難波にはどう説明すべきか、これから考えねばならないのだが少し頭をひねればなんとかなるだろう。とにかく、霧島が高校に入学してくるまでには不必要なトラブルが……杉本梨南のように言いがかりや濡れ衣まで着せられてしまう可能性大なのだから…… 起こらないように、手を回す必要がある。

 かつて本条先輩が早い段階で上総を見つけ、評議委員会で浮かないようにひいきしてくれた時と同じだろう。こうやって霧島と対話を重ねていくにつれてつくづく思う。

 ──本条先輩を、俺は死ぬほど困らせていたのかもな。

 「親の心子知らず」とはよく言うけれども、その言葉の意味が他人事ではなくよく理解できる。もっとも上総は母や菱本先生の気持ちを感じるつもりなどさらさらないが。

  ──本条先輩はきっと、俺があんまりにも生意気なことばっかり言って顰蹙買っているのをどこかで見抜いていたんだろう。もし本条先輩が俺をかばってくれなかったら、たぶん学校でもまた嫌われ者扱いされていただろうし、早い段階で評議委員から外されていたに決まっている。結局本条先輩のくれたチャンスは生かせなかったけど、今でも俺には先輩の教えてくれたノウハウが残っている。ほら、今だってそうだ。直後には気づかなかった言葉が、霧島に役立つ寸前だ。

 しかたなさそうに霧島が受付へと向かった。ゆっくりと中に入り、結果を聞く。

「どうだった?」

 受付の女性に冷たく愛想笑いをしつつ、霧島は上総に答えた。

「誰もいないそうです」

「やはりな」

 予想通りだ。ここの卓球台は昼間よりも夕方以降の方が、人の入りが多いのだ。

「人気のないスポーツだからでしょう」

「そうでもないと思うが、まずラケットだけ借りるか」

 鞄をそのまま持たせ、上総は霧島より先にエレベーターの前に立った。ボタンを押して待った。霧島がまだぶつくさ言っている。

「何が楽しくて、卓球なんですか」

 ──俺が唯一、お前に勝つことのできるスポーツだからな。

 もちろん、これは口にできない。


 よく南雲や貴史を相手にストレス解消する場がここの卓球場だった。一階はゲームの電子音で溢れているけれども、二階に昇ると嘘のように静かになる。もともと卓球は防音がしっかりしていないとまずいスポーツなので、きっとそのあたりにも理由があるのだろう。

 体育館半分程度の小さな卓球場だが、クーラーがあまり利いていないこともあってずいぶん蒸している。この卓球場が人を集めるにはまず、

「もう少し涼しくならないんですか」

「お前はジャケットを脱いだ方がいい。どうせ下は半そでだろう?」

 冗談めかしていうと、霧島はなぜか素直に脱ぎ出した。口先だけ、行動は素直だ。

 上総も羽織りものを脱いだ後、ロッカーにしまいこんだ。

「卓球はやったことあるだろう?」

「ばかにしないでください。学校の体育でやりますよ」

「つまり、その程度だな」

 念のため確認した。

「そうですよ。立村先輩のように卓球しかできないわけでありませんしね」

 早口に、きんきん響く声で霧島は嫌味をひとつぶつけてきた。卓球しか球技大会の際は出番がない上総の立場をよく知っている。

「霧島、一試合する前に賭けをしないか」

 上総は霧島の立っている台の反対側に立ち、真正面から声をかけた。もちろんラケットとピンポンは持ったままだ。まだサービスしないので台に張り付く格好でいる。適度な距離がネットの向こうに広がっているようだった。誰もいない卓球場。 

 一番左端の台で上総は続けた。

「一度でも俺に勝てたら、例の本を返してやる」

「例の、本?」

 わからないわけがない。言葉にした後で絶句した様子だ。口元がわなないている。

「そうだ、あの本。いくらなんでも俺には年上趣味なんてない。早く手放したいんだ」

 ただ、と言葉を切った。霧島は言葉を発せずそのままじっと上総を見返していた。  

 やはり杉本梨南と同じ瞳だった。

 強そうに見せかけて、実はいつ壊れるかを恐れている眼差しだった。

 ──俺の読みは間違っていない。

 確信した。かつて上総自身が本条先輩の前でおどおどびくびくしていた頃の表情と、たぶん同じもののはずだ。卑屈なくせに強気でいようとするみっともない自分を、それでも本条先輩は受け入れてくれた。認めてくれた。

 本条先輩だけではない、貴史も美里もそうだ。いつも心安らげずおびえていた上総を、長い時間かけて待ちつづけてくれた。だから、ずっと穏やかに今、ふたりの想いを見守っていられる。自分にとって着いていけない芸術談義を繰り広げられても淋しさを感じずにいられる。まだまだ受け入れられない情けない自分がいて、杉本梨南のようにいつのまにか勝手に成長してしまい落ち込んでしまったりもするけれども、今なら次にどのような手を打つべきか考える余裕がある。明日はどちらにしても杉本梨南を捕まえてじっくり話をしたい、そのためにはどうすればいいのか? その手段を今は前向きに考えられる。

 ──うまくやり過ごしていく方法さえ知れば、きっと杉本も、霧島も今の俺のように少しは楽になるかもしれない。よけいなおせっかいかもしれないけれども、俺はそれを伝える時期に来たんだろうな。どうせ関崎みたいに賢くないし、羽飛みたいに後輩受けはよくないし、南雲みたいに女子受けはよくないけど、それでもこのふたりだけは、俺の言葉を受け取ってくれる可能性があるはずだ。それに。

 霧島自身も、上総の言葉を欲している。それだけは確認したかった。

 単刀直入に問えば、プライドが天まで届くほど高い霧島のこと、すぐにヒステリックにわめくに違いない。ならば、答えやすい問いをこしらえればよいことだ。

「何をおっしゃりたいのですか」

 霧島が意を決したという風に言葉を発した。

「一方的ではありませんか」

「そうだな、一方的な提案だけど」

 唇を少し噛みしめ、残りの言葉を告げた。

「たぶん俺に霧島が勝つことできるとすれば、三年以上かかるんじゃないかな。分かると思うけど、三年というのは、俺が留年せずに青大附高を卒業できる年の分だけど」

「三年間……」

 もう一度、霧島が呟いた。

「卒業まで、そんな自信があるんですか?」

「あるよ、今から球を送るからまずためしてみようか」

 一歩、台から離れた。台から離れたところで打たないとルール違反になってしまう。霧島を手でやはり離れるよう指示し、上総は白い球を手のひらにきちんと載せた。軽い球をふんわり浮かせ、やわらかくサービスした。霧島が打ち返しやすい球を送ったつもりだった。

 下から掬うようにして、霧島が拾い上げ上総に球を返してきた。高い位置の、甘い球。まさにスマッシュお待ちしてますと言っているような、わかりやすい球だった。

 手加減はしなかった。

 回転をつけ、一気に斜め左の区画へと打ち込んだ。

霧島は手を出す間もなく、ぽかんとその球を見つめていた。床に転がった球を拾うことも忘れているようだった。本気のサーブを決めてしまったから、きっと手も足も出なかったに違いない。上総だって、ああいうサーブを決めるのは、球技大会決勝で卓球部所属者と当たった時だけに限られている。

「たぶん三年間、俺はあの本を預かる羽目になる。いやおうなく、俺はお前に構うことになる。お前がどんなに嫌がっても、俺はしつこく声をかけることになる。生徒会関係者や女子たちはえらく同情すると思うよ。迷惑がられているのに、俺の方から一方的に付きまとわれてるわけだしさ」

 暫くふたりとも、黙ったまま向かい合うだけだった。上総は霧島の反応を待った。


 あの写真集を返す返さないであれだけもめた理由を突き詰めた結果の答えだった。

 だったら、返さなければいい。返さない理由付けをすればよい。

 誰に言うでもない、霧島が納得する理由をだ。

 自分の本を三年間取り上げられ、返してほしければ買ってみろ、そう脅されたのならば悪役はあくまでも上総だろう。そして一番勝ち目のない卓球というスポーツで勝負されたのならば、あくどいのもやはり上総の方になる。本の内容および裏事情を一切話さなければ、上総が後輩を脅しているという名目でもって、霧島が上総に付き従わざるを得ないという設定が出来上がる。少なくとも、霧島自身が求めて上総にくっついているわけではない、そういう形になるし、そうすれば天羽や難波も納得するだろう。

 表向きだけでもそういう形にしておけば、上総が何かかしら霧島を呼び出してしかりつけたり文句を言ったりする時も違和感なく周囲からは見られるだろう。さすがに本条先輩との時みたいにホモ説なんぞは流布しないだろう。上総が馬鹿にされるのはいつものことだし、この案ならば霧島の高い鼻も折れずにすむだろう。

 もっとも卓球の腕以前の問題として、霧島には三年間で片のつく問題がどのくらいあるのか、それを考えるとさらに頭がいたくなるのだが……。


「立村先輩」

 声をかけてきたのは霧島だった。もうそこに、不安げな揺らぎの眼差しは見当たらなかった。かわりにしっかりした口調できびきびと答えた。

「わかりました。その賭け、乗りましょう。僕が三年間一度も立村先輩に勝てないなんてばかなことをおっしゃらないでいただきたいんですが、しかたありません。三年間のうちに必ず僕は、立村先輩に勝ちます。絶対に!」

 その後付け加えた。

「ただ、僕にまとわりついてこられるのでしたら最低限、僕にふさわしいレベルでいていただかないとこれから迷惑します。その点だけはよろしくお願いします。仮にも僕は、生徒会副会長ですから」

「たとえば、どういうレベルなんだろう」

 拾い上げた白い球を上総は指先でつまみつつ尋ねた。

 言われた意味がすぐにつかめなかった。

「立村先輩、僕にこれからしつこく付きまとうつもりでしたら条件があります」 

 霧島の声が、ふたりだけの卓球場に響き渡った。

「評議委員会に復帰してください。それから、関崎先輩や藤沖先輩と戦ってください」

 ──戦う? 復帰? 一体何考えてるんだ?

 戸惑い声が出なくなった上総に畳み掛けた。

「立場の問題です。僕から先輩に話しかけることができません」

 ささやき声のように一言洩れた。

 静かな室内だから、すべて上総の耳に届いた。

「でないと、僕が困ります」

「なんで」

 きっとした眼差しで霧島は答えた。

「僕はこれから三年間、立村先輩の弟分となるのですから当然です」

 自分の深い芯に当たる部分が、ずぶりと刺された。


 上総は確かに霧島の兄貴分になろうと心を決めていた。

 実質的に杉本梨南も妹分扱いをしているけれども、杉本本人から「私は立村先輩の妹分です」といった申告を受けたこともない。

「霧島、繰り返すけどそんなこと言ったらまた周りから」

 言いかけた上総を、突然テンション高くなった霧島に遮られた。

「いいんです。僕さえしっかりしていて、立村先輩が評議委員長に復帰していただければ丸くおさまります。それよりも、どうせ僕が三年間立村先輩に勝てないのならば卓球なんてやっていても無駄でしょう。それならばむしろ、場所を移動して今後の青大附中生徒会および、藤沖先輩や関崎先輩との事情についてもっと詳しく教えてください。僕は生徒会副会長として知っておかねばならないこともありますから。そうだ、あと自由研究についてただいまデータを集めているところなんですが、それについて二、三おうかがいしてよろしいですか?」

 いったい何が起こったというのだろうか。とにかく上総の目に見えるのは、霧島がひたすら舞い上がっている様子だけだった。なぜこんなにはしゃいでいるのか見当がつかない。ばれたらどうするんだろうか。これだけ気を遣ったというのにそっちには興味を示さず、「立村上総の弟分になる」ということにのみ過剰な執着を持っているようだった。

「では、申し訳ありませんがこのラケットを回収いたします。もうここ出ましょう。こんな不毛な場所で時間をつぶすのはもったいないです。立村先輩はむしろ、杉本先輩の今後についてとかそちらの方にご興味がおありなのではないですか? 僕はそれなりに情報を持っておりますので、まず場所を替えましょう。どこがいいですか。先輩の御宅はどこですか?」

 口を挟む間もない。聞かれたことにだけ返事をするので精一杯だった。

「あ、ああ、品山だ、遠いよ」

「自転車ならばどこでもいけます。立村先輩、せっかくですので先輩の御宅で内密の話をさせていただいてよろしいですか? もちろん、飲み物食べ物は僕が調達していきます。先輩、いかがでしょうか。人に見られないところでの話なら、先輩のご自宅が一番です」

 ──こいつ、俺の家に押しかけるつもりなのかよ……。


 文句を一言言おうとした時、霧島が振り返った。ロッカーから荷物を取り出している最中だった。

「立村先輩、行き方なんですが自転車だとどのくらいかかりますか」

「だいたい一時間くらいかな」

 投げやりに答えようとし、ふと霧島の顔に視線が留まった。

「霧島」

「なんですか?」

 霧島の端正なつくりの目鼻立ちが、満面の笑顔で覆われていた。

 さっきは細い針で刺さっただけだが、今度は正真正銘、心の奥の芯をナイフで貫かれた。

 ──霧島が、顔を崩すくらい笑ってるんだけどさ、そんなに嬉しいのか? 本当に、俺の弟分になれることが嬉しいものなのか?

 問いたくとも答えてもらえそうにない設問を、やはり心で問い掛ける。

 ──本当に俺でいいのか? 嫌われ者の俺で本当に? しつこいようだけど、選択の危険ありだぞ。

 何度も確認してみる。繰り返すたびに心の奥底で震える感情がいとおしくなる。もしそうならば、霧島は上総によってこの満面たる笑顔を得ることができたわけだ。

 それを引き出すことができるなら、やたらと手間のかかる弟・妹のふたりをこれからも面倒見ていくのも悪くはないように思えた。

 霧島にぐりぐりと突き刺された心の「芯」を、次は上総がやり返す番だ。これから先霧島をどう育てていくか、上総にしかわからない傷を見つけていくか、全くわからないけれどもせめて、本条先輩がしてくれた程度には返したいと思う。今までたったひとり、プライドだけで守られてきたひとりの後輩の道を、少しでも歩きやすい場所へと誘いたい。


 ──本条先輩。

 上総はそっとどこかの本条先輩に呼びかけた。

 ──先輩が俺を気に入ってくれたのはどうしてですか。どうして俺を評価してくれたんですか。

 中学の頃からの問いかけに、本条先輩は答えてくれたことなど殆どなかった。

 でも、今ならほんの少しだけ理解できたような気がした。性格とかそういったものではなく、素直に慕われることが嬉しい、本当はそれだけだったんかもしれないと。

  ──つい一時間前まで、勝手に慕われることなんて重たいだけだと思っていたのに、なんでだろう、今はこんなに懐かれることが気持ちよくてならない。笑顔を向けられることが嬉しい、それだけなのに、本当にあとは性格についても考え方についても腹立つこと一杯あるのに、俺に懐いてくれているというだけで、許せてしまうのはなんでなんだろう。

 答えはたぶん、まだ見つからない。でも今は、それでよかった。


「霧島、わかった、俺の家に今から連れていく」

 上総は霧島の背に近づき声をかけた。慌てて笑顔を隠そうとし、こけている霧島をあえて見ないふりして流した。

 いやでもこれからは上総が見守りつづけることになるのだ。照れ隠ししている相手を見逃してもたいしたことではない。 


──終──





 

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