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すべては会議で明かされる  作者: 一ノ瀬紅
6章 会議室に全員集合
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3 - 更なる真実

「取り敢えず、本日の議題の本筋は終わったかな?少し話を戻すが、マーシャルがエミリオに渡した魔道具の話だが、どうして渡しておこうと思ったのだ?」

 エドモンドは、次にマーシャルに対して話しかけた。

「どうしてと言われても、念のためと思っただけですが」

「先程のジェラルドとマリオンの話を聞くと、オリヴィアに王の器ではないという事を皆に知らしめられればよいだけで、直接危害を加えようとは思っていなかったように聞こえたが、それでもその魔道具は必要だったと?」

 エドモンドは更に質問した。

「のらりくらりとはかわせませんね。今日父上の話しを聞いて、どうしてかと言うことは分かったのですが、先日オリヴィアに妖獣を獲るように勧めた時、なんとなくおかしいな?と思ったんですよ。突然妖獣を取って来いというのにも違和感がありました。ガルバラまでの移動手段を全て父上が手配するという事も違和感があったので、もしかして、その移動手段がポイントなのではと思ったのですよ。恐らく島まで何かを運びたい。でも、運ぶ理由が見つからない。あそこは表立っては妖獣が生息している島。そして、我々のようなある程度大人では、移動手段は鉄道や船ではなく、妖獣を使っての移動になってしまう。そこでオリヴィア達に頼んで島へ向かわせれば、船を出しても誰も疑いませんよね。そう考えて、もしかして私達が知らない危険がもう一つあるのではと考えて、あの魔道具をエミリオに渡しておいたのです。結局使って頂けたので、渡しておいてよかったと思っていますが」

 一度エミリオの顔に笑顔を向け、ニッコリとエドモンドに向かって笑った。

「中々の考察力だな、マーシャル。ま、そのお蔭で、オリヴィア達は無傷で帰還できたのだからよかったよ。ありがとう。エミリオもよくぞ窃盗団に立ち向かってくれた。その勇気に感謝する。ありがとう」

 エドモンドは、二人に向かって感謝を述べた。


「一つ伺ってもよいでしょうか?」

 ランドフルが恐る恐る声を上げた。

「皆様のお話を聞いて、王様の思惑や、ライナス様、マーシャル様のお考えなどは理解出来ました。それぞれオリヴィアに危険が及ばないように、セドリックや、エミリオに協力をお願いしていた事も分かりました。ジェラルド様やマリオン様の狙いはオリヴィア様なので、俺達に危害が及ぶことはまず無いと思っています。しかし、窃盗団の方に関しては俺達も遭遇する可能性はあったのではないかと思うのですが、何故事前に教えて頂けなかったのでしょうか?」

 大人たちに失礼にならないように、言葉を選びながら質問をした。

「そうだな。危険が及ぶかもしれないのに何故?と考えるのは当然の事だ」

 エドモンドは頷いて続きを話した。

「何も言わなかったのは、先程も説明したように、極力今回の事件を表に出したくなかったからだ。とは言っても、ランドルフ。君が言うように、君たちにも危険が及ぶ可能性はあった。そこで君たちには、念のため護衛を付けさせて貰っていたのだよ」

 宰相のアルフォンスに「彼をここに」と伝え、アルフォンスは会議室の外へ出て行った。暫くすると、一人の男がアルフォンスと共に会議室へ入ってきた。ランドルフを含め、オリヴィア達の知らない男性だ。制服を見ると国王騎士であることが分かる。アルフォンスが国王の隣まで彼を連れて行く。

「紹介しよう。彼は、ベネディクト・エルナンデス。国王騎士の一人だ。窃盗団を捕らえた国王騎士以外に、彼も実はガルバラ島に行ってもらい、ランドルフ達の護衛を担当して貰っていたのだ」

 エドモンドは、ランドルフ達に説明するように話した。

「この方が、俺達の護衛をしてくださったのですか?全く分かりませんでした」

 ランドフルは呟いた。

「そもそもの目的は、窃盗団に遭遇した場合の護衛だからな。近くに待機していたと言うよりは、進む方向に奴らがいないかどうかを先に確認しておいてくれたという表現の方が近いな。だから、あまり気配は感じなかったのではないかと思う。と言う訳で、君たちの危険を考慮していなかった訳ではないのだ。そこは理解しておいて貰いたい。それと、今敢えて彼を紹介させて貰ったのは、ランドルフ、君が騎士を目指していると聞いていたからなのだ。彼の特性は『鳥獣』だ」

「えっ」

 ランドフル驚きの声を上げた。

「先日オリヴィアから、『鳥獣』出身の騎士の情報を知りたいと聞いてな。詳しい話を聞くと、君が騎士を目指していたという。折角だから誰か紹介しようと思っていたので、君の人となりを見ておいてもらう意味も込めて、彼を護衛に任命したのだ。今紹介したのは、ただ、流れ的にそうしただけで、本当は別の場を設けて紹介する予定だったのだがな。本日折角知り会えたのだから、今後聞きたいことがあれば、彼に尋ねてみなさい。きっと学ぶこともあるだろう」

 エドモンドはニッコリ笑って、ランドルフに話しかけた。

「よろしくおねがいします。ランドルフ。今回の護衛で少しばかり貴方の人となりを拝見しましたが、正義感の強い方く決断力もあると感じました。使役した妖獣も騎士でよく使われている速さが特徴のものですし、今後どのような騎士になりたいのかなどの希望にもよりますが、十分騎士になる資質はあるように思えます。本当に騎士になりたければ、来月から始まる研修の合間にでも私のところに来てください。相談に乗ります」

 騎士らしく背筋を伸ばしてベネディクトは、ランドルフに向かって話し、最後に一礼した。

「あ、ありがとうございます!是非伺います!」

 ランドルフはキラキラして瞳でそう答えた。

「これで皆言い足りないことはないか?」

 エドモンドが会議を終わらせる為に、最終確認をした。


「念のため一つ確認させて頂いてもよろしいかしら?」

 突然話に入ってきたのは、女王ナターシャだ。

「特に重要事項ではないので、答えづらいようであれば結構ですが、今回の出来事はもう少し思惑があるのではないかしら?と思って。このまま話を続けてもよろしいかしら?」

 ナターシャが、エドモンドに向かって質問した。何を質問したいのか、想像が出来た彼は、苦笑いしながら先を促した。

「今回窃盗団を捕らえるために、何かしらカモフラージュさせる必要があるとなった時点で、もう少し色々考えたのでは無いかしら?カモフラージュにオリヴィアを利用することで、ライナスに傾倒している人物は、恐らく何かしらの動きを見せるのでは?一人ではないとしても、私たちやライナスが居ない島へ行くというのは、彼らからしてみれば絶好の好機ですものね。妹を大事に思っている兄達は、当然この状況で、事件が発生する可能性を考えて島へ赴く。息子たちの能力は贔屓目なしでも高いですから、恐らく現場を押さえることができる。尚且つ腕の立つ大人が同じ島に二人入れば、国王騎士が表立って動けない状況下で何か発生すれば役に立つのではと。それに、ライナスに傾倒している人達がライナスによって捕まえられれば、勿論彼らの鬱憤は、ライナス、その場に居ればオリヴィアにも向けられたかも知れない。最終的にはこの会議でそれは起きましたが、周りの理想像に囚われて身動き取れなくなってしまったオリヴィアに思いを吐き出させて、一つ成長させたかったのはと。違うかしら?」

 ナターシャがつらつらと思っていることを言葉にした。隣のエドモンドとアルフォンスはお互い顔を合わせて苦笑いだ。

「と、いうことは俺達も父上の計画の駒の一つだったということですか?」

 半分驚き、半分呆れた状態でライナスは質問した。

「あわよくば。と思っていたことは事実だ。ただ、そこは今回の本筋では無いから、もし計画と異なっても特に問題は無かった。大人は贅沢だからな。可能性があるものは出来るだけ詰め込んでおきたいものなのだよ。でもまさか、この会議室で自分が説明しなければならないはめになるとは想定外だが、結果としては概ね希望通り終わったから、私は良かったと思っている」

 既に開き直っているのか、笑顔でエドモンドに答えた。

「オリヴィア。貴方をとても大事に思っている家族と友人達が居ることは、この会議を通して良く分かったのではないかしら? 周囲の目を気にして、自分を見失ってしまうこともあることは理解できるけれど、もっと近くには、どんな貴方でも受け入れてくれる人達が沢山いることも理解して欲しいの。まずは自分が何をしたいのか考えて行動するようにしていかないとね。それと貴方の為に本気で怒ってくれる素敵な友人達を大事になさい」

 ナターシャは、優しい声で、オリヴィアに諭すように言った。

「はい。お母様」

 オリヴィアは、知性的で年齢よりも少し大人に見えるいつもの顔から、十六歳らしい素直な笑顔を見せて答えた。

「最後にナターシャに締めくくられてしまったが、他に言いたいことがある人間はいないな」

 エドモンドが最後に参加者全員を見回して確認した。

「それでは、本日の会議は、これまで」

 宰相アルフォンスのよく通る声で本日の会議の終わりを告げた。


これで6章は終わりです。

残りはエピローグとなります。

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