12 - オリビアの妖獣
「残りはオリヴィアの妖獣だけね。どの辺りにいるのかしら?」
フィオナがオリヴィアの隣に立って聞いた。
「そうね。ここからだと西を居るみたいね。羅針盤の色は、”橙”よ」
羅針盤を見たオリヴィアが答えた。
「遂にオリヴィアも妖獣に会えるんだね。どんな妖獣なんだろうね」
エミリオが、オリヴィアに優しい微笑みを向けた。
「楽しみであるけど、ちょっと緊張するわね」
「オリヴィアの妖獣もきっと素敵なんだろうね。楽しみだね」
「日が傾く前には終えたほうがいい。早めに次の場所に向かおう」
セドリックの呼声に、オリヴィア以外は各自の妖獣に乗り込み、オリヴィアは先程と同じくセドリックの妖獣に乗り込んだ。
「それじゃ~出発しよう!」
セドリックの声で皆上空へ飛びだった。
山頂から西向かって山を降りるように飛び立って暫く進んでいくと、なだらかな一面の森の景色に一部ぽっかりと穴があいて、そこがキラキラと光輝いていたのが見て取れた。
「オリフィア。方向からすると、あの光っている辺りだと思うが、羅針盤は何色になった?」
セドリックが前に乗っているオリヴィアに聞いた。
「羅針盤は、“赤”に変わったわ!セドリック」
オリヴィアが後ろに振り向いてそう言った。
「じゃ、あの森の辺りに向かって降りてみよう!皆、オリヴィアの妖獣はこの辺みたいだから、これから降下する」
セドリックがそう叫んで、森に向かって高度を下げていった。
オリヴィア達は、キラキラ輝く場所から少し離れた森の中へと降り立った。
「光っていた所はあっちの方だよな?」
妖獣から降りて、セドリックが目的の場所へ指さした。
「オリヴィア、羅針盤の方向はどこを向いている?」
後ろからフィオナが声を掛けてきた。
「羅針盤も同じ方向を指しているわ!」
フィオナに向かって振り向いた。
「兎に角行ってみようよ!」
気が急いでいるルーファスがオリヴィアを急かす。
目的の方向に向かって歩くと、森の向こう大きな湖が見えた。
「キラキラ輝いていたのは、湖があったからなんだね」
エミリオが目の前の景色を見て呟いた。そこは森の中にぽっかりと作られた空間で、湖の大きさは幅五十メートルくらいある楕円形をしていた。湖の水は透明度が高く青色をして、太陽の光に反射してキラキラ輝いていた。
「普通の湖ってこんなに輝いていないよね?太陽の反射だけでこんなに光るものなのかな?」
ランドルフが不思議そうに首を傾げた。
「普通じゃないんじゃない?ここは妖獣が生息しているような島なんだから」
フィオナがランドルフの反応に切り返した。
「でも湖の近くには妖獣はいないね。湖を回って羅針盤が指し示す方向へ行こうか」
エミリオがオリヴィアに声を掛けた。
「そうね。この近くにいるのは確かだから」
妖獣は湖付近に残して、六人は湖を迂回しながら羅針盤が指す方向へと森の奥へ進んでいった。
「オリヴィア、見て!また森の中に光が集まっているところがあるわ」
森の中を暫く進むとフィオナが目の前の光景を指さして声を上げた。そこは湖程の大きさは無いが、スポットライトを当てたように一部だけ上から光を受けていた。
「本当ね。木が邪魔してよく見えないけど、そこに何かいるみたい」
オリヴィアが目を細めてフィオナが指差す方向をよく見ようとした。光が当たっている場所には確かに何か動いている。
「まずは先に進もう」
セドリックが皆に向かって声を掛けた。
光が指す場所まで歩いていくと、皆一同に驚いた。そこにいた生き物は馬の形をした妖獣だった。真っ白い毛で覆われて、普通の馬よりは若干大きな体を持っていた。皆が驚いたのは色や大きさではなく、背についた大きな羽だった。
「あれ、もしかしなくてもペガサスじゃない?」
ルーファスが皆を見渡した。
「ペガサスって初めて見たわ!噂では聞いたことがあったけど、本当にいたのね」
驚いたフィオナが誰に言うでもなく呟いた。
「オリヴィアの妖獣がペガサスなんて凄いよ!流石だね!さぁ~行っておいでよ」
エミリオが、そっとオリヴィアの背中を押した。オリヴィアは、ペガサスがいる場所へと向かった。近くで見るペガサスは、遠くで見た時は白だと思っていたが、白よりも銀色に近い色で光り輝いていた。オリヴィアの存在に気がついたペガサスは、彼女の方に顔を向けた。それを見たオリヴィアが更に驚いた。
「『紺青の瞳』だわ……」
そのペガサスは、オリヴィアと同じ『紺青の瞳』を持っていた。オリヴィアの声を聞いたペガサスは、そのままオリヴィアの方へと歩みを進め、静かに頭を垂れた。
「あなたが、私の妖獣なのね。同じ瞳を持った、私の妖獣」
オリヴィアもゆっくりペガサスに歩みを進め、眉間に水晶珠を埋め込んだ。すると、『フォルシアン』をいう言葉が頭の中に聞こえた。
「貴方の名前は『フォルシアン』というのね。よろしく、フォルシアン」
ペガサスの眉間に額をくっつけ、頬をゆっくりと撫でた。光の中で行われたその光景をただの妖獣獲りではなく、神聖な儀式の様に五人はただ黙って見ていた。
少し話がダラダラと続いていますが、あと1話で5章も終わりです。




