8 - 捕縛
オリヴィアとランドルフは、お互いに今までの経緯について報告し合った。途中でセドリックも妖獣を無事使役でき、話に参加してきた。
「じゃ~フィオナとルーファスは、合流するのにもう少し掛るのね」
「そうだね。でも、俺がここに来るまでの距離よりは、フィオナの妖獣の方が近い所に居る筈だから、もう妖獣とは対面しているかもしれないね」
「彼奴等は放おって置いても、後で合流できるから、俺達はエミリオの所へ戻らないか?」
セドリックの提案で、失神で倒れた男を含めた五人は、エミリオとマーシャルが居る場所へと移動した。
先程エミリオと別れたところまで戻ってくると、先程まで岩場だった場所に、無数に木が生えており前の印象を一変させていた。その中で、国王騎士達が不法侵入者に縄を掛け、一箇所に集めている。オリヴィアは、その中から見知った顔を見つけ、駆け寄った。
「エミリオ!マーシャル兄様!大丈夫?怪我はない?こちらは無事、セドリックの妖獣を使役することは出来たわ!」
「正直、結構ギリギリだったけどな」
オリヴィアの後ろから、ライナスが言葉を補足した。
「ギリギリ?」
マーシャルが眉を上げて、ライナスを見た。
「彼等の残党が、残っていたようで、錯乱状態で、こっちに一人来ていてな。危うく妖獣に接触しそうだったんだよ。その危機を救ってくれたのが、ランドルフだ」
後ろに控えていた、ランドルフの肩に手を掛け、もう一つの手でグシャグシャと髪をかき回した。
「ランドルフ。どうしてここに?」
居るはずのないメンバーに驚いたエミリオが、呟いた。
「さっき凄い爆音がしただろ?あの時、既にルーファスと俺の妖獣は手に入れていてさ、フィオナの分を探している最中だったから、俺達は二手に分かれて、俺だけオリヴィアの所に合流したんだ。残りの二人も妖獣を使役したら、直ぐこっちに合流する事になっている」
「そうだったんだ」
「それにしても、さっきの爆音凄かったけど、原因は何だったんだ?」
ここに居なかった皆が思っている疑問について、ランドルフは問いかけた。
「上手く説明出来ないんだけどね。僕らが妖獣を探している途中に、あそこで掴まっている彼等と遭遇してしまって、彼等を足止めしようと、マーシャル様からもしもの時の為にって、預かっていた魔道具を使ったら、ものすごい音と、地響きが起きてね。僕も驚いたよ」
エミリオは困ったような顔をして微笑んだ。
「先程まで、ここに木なんて生えていなかったけど、それも魔道具が原因なの?」
周りの景色が変わってしまった原因に、オリヴィアも問いかけた。
「そうみたいだね。魔道具を地面に突き刺したらさ、突然地面から木が生えだして、彼等に絡みついたんだよ。正直、僕もかなり驚いた。それにしても、てっきり全員捕らえられていたと思っていたけど、一人逃してしまっていたんだね。ごめん」
「そんな。謝る必要なんて無いわ。元々何人居たのかさえ私達は知らなかったんだもの。それよりも、エミリオに怪我がなくて本当に良かった」
エミリオの両手を掴み、心底安心した表情を見せた。
オリヴィア、エミリオ、ランドルフが話している間に、ライナス、マーシャル、セドリックは、国王騎士団と話していた。
「こいつらの残党な」
ライナスが言っている横で、セドリックが先程捕まえた男を国王騎士団達の前に投げ捨てた。
「お手数お掛けして、申し訳ありません。助かります」
国王騎士団のリーダーと思われる男性が、頭を下げた。
「父上の命令だって?」
マーシャルから話を聞いたライナスが、質問を始めた。
「はい」
「船で待機していたってことは、元々ここに盗賊がいることを知っていたんだよな」
「居る可能性が高いという事は知っていました」
「父上は何を考えているんだ……。因みに彼等がどうしてここに来たか、理由は分かっているのか?」
「それは分かりません。連行後、騎士団内で尋問する予定です」
「そうか。あとは、父上に聞くしかないな……。分かったありがとう」
騎士団のリーダーは、頭を下げ任務に戻ろうとしたところ、
「連行する前に、盗賊の人数確認しておいてね。残党が残っていると危険だから」
マーシャルがにっこりを微笑んで、騎士団のリーダに釘を刺した。彼はしっかり頷いて、持ち場に戻っていった。
縄を掛けられた盗賊達は、次々に国王騎士団の妖獣に乗せられて、遂に最後の一人が乗せられた後、再び騎士団のリーダーが、オリヴィア達の所にやってきた。
「それでは、私達は彼等を連れて、王都へ戻ります」
そこに居る全員に向かって、頭を下げた。
「残党の有無は?」
「確認したところ、今回島に入ってきたのは、あそこに居る者達のみとのことです」
「了解。確認ありがとう」
マーシャルはにっこりと微笑んだ。
「それでは、失礼します」
再度頭を下げ、他の騎士団と共に、上空へと飛び立っていった。




