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すべては会議で明かされる  作者: 一ノ瀬紅
5章 現場は大混乱
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2 - 色々遭遇

「今朝になってなんだよ、この霧は。これじゃ視野が狭くて妖獣が見つけられないじゃないか」

「昨日は、あんなに晴天だったのに、何でまた今日に限って。忌々しい」

 二人の青年は、深い霧の中、文句を言いながら歩いていた。

「本当だよな。ま~逆に考えれば、俺達の姿も見つけづらい筈だから、行動はし易くなるはずだよな」

「それはそうだが……。こう視界が悪いと方向を見誤りそうだが、方向はあっているのか?」

青年が、手元にある地図と羅針盤で方向を確認した。

「初めに彼らが言っていた方向を考えると、方角は合っているはずだ」

「そうか。じゃ~、俺達の方が彼らよりは近い場所に居るはずだから、そろそろ現れるか……」

 昨日、オリヴィア達がガルバラ島に到着した時に、船着場の近くで彼らの様子を伺っていた、そこから彼らが目指している方向を突き止め、先回りをするべく進んでいた。

「妖獣が使えたら、こんなに苦労することは無いんだがな、この霧じゃ妖獣を使えたとしても、視野が悪くて無理か」

「文句を言っていても仕方がない。もう進むしか無いんだ、先を急ごう」

そう言って更に青年二人は、島の中を進んでいった。

数時間程歩いていると、砂利の多い道から岩場の目立つ景色へと変貌していった。その先には、大きな物体の影が、視界に入ってきた。

「見てみろ!あれじゃないか?」

 男性の一人が、前方に指を指した。

「あの大きさは……。やっと見つけたな」

 二人が勇み我先にと前へ歩き出そうとしたところ、後ろから声がかかった。



 昼を過ぎた辺りで、漸くセドリックの羅針盤が”赤”に変化した。

「やっと妖獣とご対面できるんだね」

「そうだな。霧のせいもあって、思ったよりは時間が掛かってしまったな」

「この霧だもの仕方が無いわ。どんな妖獣なのか楽しみね」

 霧の中を歩いて行く中、段々と足場の悪い岩場の道へと変動していた。昼になっても霧は晴れず、数メートル先は白い霧で覆われて行く道の視界を遮っていた。

 暫く、他愛のない会話をしながら歩いていると、

「ちょっと待て」

 セドリックが、二人の前に腕を伸ばして、行く手を遮った。

「何かあった?」

 セドリックの態度から、異変を感じたエミリオは、小声で質問した。

「何か気配がする。妖獣なら良いが、少し気をつけた方がいいな」

 エミリオと同じく小声で答えた。

 三人は、周辺の様子を伺うべく、周辺の大きな岩に隠れるように身を寄せて、周りの様子を伺った。暫くすると岩場を踏みつける音が僅かに聞こえてきた。

「確かに、何かいるみたいだね」

「でも、ここからじゃ何も見えないわ」

「しかし、距離感が分からないから、このまま先に進むのは危険だな」

「じゃあさ、迂回して様子を見てみない?あそこなら少し高い崖になっているし、そっちから進んでいけば、きっと鉢合わせはしないと思うし」

 三人が進んでいる道の左手には、二メートルは有にある高い段差があった。そこから進めば安全ではとエミリオは提案してきた。

「確かに、ここで様子を伺っているだけじゃどうにもならないな。まずは気配の正体を確認しないと。オリヴィア、少し足場が悪いところを進むことになるが、大丈夫か?」

「私の事は気にしなくて大丈夫よ。二人の意見に合わせるわ」

「じゃ~早速移動しよう。僕達の気配に気づかれるとまずいから、足音には十分気をつけて」

 三人は、迂回をしながら、前方の気配を確認するべく進んでいった。暫く足音に注意しながらゆっくり進んでいくと、先ほどの足音以外に、人の話声が聞こえてきた。

「やっぱり、妖獣じゃ無かったみたいだね」

 小声でエミリオが、二人に話しかけた。

「他の人達が妖獣を探しに来たのかしら?」

「その可能性も否定はできないが、安易にそう考えない方がいいな」

「もう少し近づいて、様子を見てみようよ」

 三人は、話し声がする方へと足を進めた。すると会話の内容が明確に聞こえてきた。

「なんなんだよ。この霧はよ~。全く前が見えないじゃないか」

「まさか、こんなに視界が悪いところだったとは予定外だったな」

「景色は悪いし、足場は悪いし、こんなんじゃ見付けるまでに一体どのくらいかかるんだよ」

「あんまり長いことこの島にいて、ガローシャの人間に見つかったんでは意味が無いからな。珍しいものを見つけてさっさと戻らないか?」

「と言っても、この辺岩しかないじゃないか!」

 数人の男達の声が、岩場で響いていた。

「妖獣を探しに来た訳じゃ無さそうだね」

 エミリオが囁くように言った。

「それに、ガローシャの人間でも無さそうだな」

「他の国の人が、この島に入り込んで来たってこと?何の目的で……」

「今聞こえた話からだけでは分からないけど、この島で妖獣以外の何かを探しているみたいだね」

「だな。この島に目的の物があるようだな」

「そんな物、この島にあったかしら?聞いたことはないけど……」

 三人は、彼らに気付かれないように、小声で話し合った。

「妖獣を探しに来た訳では無いとすると、この近くに妖獣がいるってこと、彼らは知らないのよね」

「そうなるとまずいな」

「彼らが先に誤って妖獣に遭遇した場合、妖獣が暴れ出す可能性が高くなるね」

「それは危ないわ。彼らに事情を話して近付かないように、注意した方が良いんじゃないのかしら?」

「それは避けた方がいいな。彼奴等は、この国に不法侵入して来たんだと思う。そんな人達と直接話しをするのは危ない」

「僕も同意見。それよりは、彼らより前に妖獣を見つけて使役した方がいい」

「それはそうだけど、私達が先に見つけられるとは限らないでしょ?」

「それはそうだね」

「気付かれないように迂回して進めば安全だが、だと時間が掛るよな」

「妖獣を早く見付ける事を優先するなら、迂回して進むのは得策じゃないわ。その間に彼等が妖獣に遭遇してしまったら、私達だけでは興奮した妖獣を制御できるか分からないもの」

「となると、少し危険だけど、迂回せずにこの道を真っ直ぐ進むしか無いね」

「選択肢はそれしかないか。何かあれば俺達が守るが、オリヴィアも十分気をつけて」

「分かったわ」

 三人は、足音に気をつけながら、妖獣がいる方向へと足を進めていった。

 暫くすると、三人は、早く妖獣を見付けることに意識がいってしまい、足音に対して注意が散漫になってきていた。不法侵入者達の声が聞こえなくなってきたところで、岩場の段差から降りようとしたところ、岩場の石が崩れて大きな音を立てた。

「まずいな」

「気付かれたかしら」

 三人は、気配を消して様子を伺った。

「何か向こうから音がしたぞ!」

「ちょっと様子を見てこいよ」

 数人の声が聞こえた。

「やばいね。こっちに来るよ」

「仕方がない!皆走るぞ」

 三人は妖獣のいる方向に走り出した。

「おい!そこに居るのは誰だ!」

「逃げるな!」

 男たちの声が、次第に鮮明に聞こえてきた。

「距離が縮まっているな」

「このままだと、掴まってしまうね。仕方がない。僕がここで彼等を足止めするよ。その間に二人は先に行って」

 エミリオは、走りながら、二人に言った。

「え!」

「大丈夫か?」

 二人は驚いて、エミリオを見た。

「彼等を倒せって言われたら無理だけど、足止め位はできるよ。それに、何かある時に備えてって事で、マーシャル様から預かっている物もあるし、どうにかなるよ」

「本当に大丈夫なんだな」

「流石に、この状況で嘘は付かないよ。だから、早く妖獣を捕まえて戻って来てくれると助かる。それまで持ち堪えるから」

「エミリオにそんなの危険な事をさせられないわ」

「そんなに心配しないで。大丈夫だから。それより、三人が一緒に掴まったり、先に妖獣を見つけられて、暴れ出される方がまずい」

「でも……」

「オリヴィア、気持ちは分かるけど、ここはエミリオに任せる方が、得策だと俺も思う。エミリオ、悪いが後は頼む。こっちも早く応援に駆け付けられるようにするから」

「分かった。早く妖獣を使役して戻って来てくれよ」

「オリヴィア、行こう!」

「エミリオ、呉れ呉れも無理はしないでね!」

「大丈夫!心配しないで!」

 セドリックとオリヴィアの二人は、エミリオを置いて、妖獣の方向へと走って行った。その時セドリックが、懐から何かを取り出し、空に目掛けて投げたのを、オリヴィアは横目で確認した。


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