1 - 翌日
「起きた?オリヴィア、おはよう」
オリヴィアの目が覚めた事に気がついたエミリオが、声を掛けてきた。夢と現実の狭間で揺れているような目をしたオリヴィアは、声のした方に視線を動かし、声の主が友人であることを確認すると、柔らかい笑みを浮かべて、ゆっくりと体を起こした。
「おはよう。エミリオ。ん~。ぐっすり寝てしまったわ。起きたのは私が最後かしら?もしかして寝坊してしまった?」
周りにセドリックが居ないことを確認したオリヴィアは、エミリオに問いかけた。
「大丈夫。まだ、十分早いよ。セドリックは、ちょっよ周りを散策してくるって、少し前にここを出たんだ。そんなに遠くまでは行かないと思うから、直ぐ戻ってくると思うよ。それよりも、外に出てみない?きっと驚くよ」
そう言って、天幕の幕を開き、外に出るよう促した。オリヴィアは、エミリオに促されるように天幕の外に出てみて、その景色に驚いた。昨日夜天幕に入るまでは、森の中だったはずなのに、周りには木々が数えられる程度して生えていず、湿り気の帯びた土は、砂利や、砂の混じった乾いた地面へと変貌していた。また、昨日と異なり深い霧が辺り全体に立ち込めていたのも、印象を大きく変える原因となっていた。
「驚いたでしょ?」
「ええ。ガルバラ島は、景色が変わるとライナス兄様が話していたけど、ここまで変貌してしまうなんて驚いたわ」
「今朝、僕達もこの景色を見て驚いたよ。それでセドリックが、念のため少し周りを見てくると言って出て行った訳。と言っても、こんなに霧が深いから、あまり遠くまでは行かないって言っていたから、少し周りを確認したら戻ってくるんじゃないかな。これでセドリックが僕達と逸れてしまっては意味が無いからね」
「そうよね。それじゃ~セドリックが戻って来るまでに、ここの片付けをしておいた方が良いかしら」
「そうだね。じゃ~僕は幕を片付けるから、オリヴィアは毛布片付けて貰えるかな」
「分かったわ」
そう言って、二人は寝床の片付けに取り掛かった。
片付けもそろそろ終わろうとした頃、セドリックが散策から戻ってきた。
「セドリック、お帰りなさい」
セドリックの帰りを先に気が付いたオリヴィアが、声を掛けた。
「ただいま、オリヴィア。よく寝られたか?」
「ええ、流石に疲れていたみたい。ぐっすり眠れたわ」
「それは良かった」
セドリックは優しい笑みを浮かべて、小さく頷いた。
「セドリック、お帰り。どうだった?周りの様子は?」
外した幕を片付け終わったエミリオも、オリヴィアの声で気が付き、セドリックに声を掛けた。
「この辺一体の景色は、似たような感じだな。ただ、遠くなるに連れて、岩場が多くなっている気がする。それと、ここからだと霧が深くて見えないが、歩いて数分のところに、小さな滝があったから、後で皆で行こう。水の確保もしておきたいし」
「それはいいね。こっちも丁度片付終わったし、先に皆で行かない?できれば、顔も洗いたいから」
「もう片付け終わってしまったのか。こっちが散策している間に悪かったな」
「そんなこと気にしなくていいよ。大変な作業じゃないし。ね、オリヴィア」
「そうね。そんなに荷物があった訳じゃないから、大した事はしていないわ。私も顔を洗いたいから、今戻ってきたところ悪いけど、私達をその滝まで案内して貰えるかしら?」
「分かった。じゃ~荷物を持って移動しようか」
それぞれの荷物を持ち、滝の場所まで移動し、各々水の確保や朝の準備を行った。
一通りの準備が終わったところで、持参してきた軽食を取りながら、今日の行動について話あった。
「景色が変わったからと言って、妖獣の居場所が変わってしまう訳ではないかもしれないけど、念のため方向確認しておいた方がいいよね。セドリックの羅針盤は今は何色?」
「少し待ってくれ、確認する。……やっぱり“橙”だな」
二人に見えるのよう羅針盤を傾けた。
「じゃ~やっぱりお昼ごろかな。セドリックの妖獣に遭遇できそうなのは」
「そうだな。ただ、この先も霧が深いようなら、移動は少し注意した方が良いかもな」
「そうね。急ぐ必要は無いし、注意するに越した事はないわ。それにしてもここは霧が深いわね。フィオナ達の所もこんなに霧が深いのかしら」
「正直ガルバラ島には詳しくないから分からないが、ここからフィオナ達の居場所はかなり離れているから、同じとは限らないな」
「オリヴィア、三人のことが心配なのは分かるけど、ルーファスの妖獣の場所は、セドリックよりかなり近いところに生息していたから昨日中に一体は見つけている可能性が高いと思う。妖獣を使えば、空を飛ぶ事だってできるから、僕達よりは危険な少ないと思うよ。それに、他の二人の妖獣の距離も僕達よりは近い位置を指していたから、効率よく見つけられれば夜には三人と合流できると思うし、そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
「それに三人共適応能力は高いから、霧が深いくらいで狼狽えることはないさ」
「そうよね」
「一日中霧が出ているとも限らないし、僕たちは僕達の目的地に向かって出発しますか」
「そうだな」
三人は、各自の荷物を持ち、羅針盤が示す方向へと歩き出した。
「二人共、羅針盤の色は”橙”だね。どっちを先にしようか?」
フィオナ、ランドルフの二人が見せた羅針盤の色を確認したルーファスが二人を見た。
翌日、三人は、早速次の妖獣を探しに行くべく話始めた。フィオナ達の居るた場所は、オリヴィア達の所とは異なり、空から降り注ぐ暖かい光が洞窟の入り口に降り注いでいた。
「どちらも同じ位の距離があるってことね」
「どちらが先でも構わないけど、どうせなら、オリヴィア達が居る方向から遠い方から行かないか?」
「オリヴィア達と合流する時に、少しでも距離が短くなるようにって事ね」
「そういうこと。ま、妖獣を使って移動するとなると、あまり意味は無いかもしれないけど、少しでも移動が早く出来た方が良いだろ?」
「それじゃ、方向からいくと、ランドルフの妖獣が先だね」
「そうなるわね。それじゃ、行き先も決めたし、荷物をまとめて、さっさと移動しましょう」
「そうだね。今日中には、オリヴィア達と合流できるように頑張ろう!」
三人は、各自の荷物を片付け、ランドルフの妖獣がいる方向を目指して、山を下山していった、




