追憶 4
ガルバラ島内を歩く二人の男性
「大分森の奥までやってきたな」
「歩くとなると、結構時間が掛るな。妖獣を使えばもっと簡単なのに、船着場に船が停泊したままになっているとは計算外だったよ」
「確かにな。しかし、俺達がここに居ることは知られたくないから、多少時間が掛かっても歩いて移動する方が良いだろうな」
「それはそうだな。ま、きついのは彼らも同じか。今のところ、まだ妖獣は見つけていないようだし、彼らより先に見つけないとな」
「そうだな。取り敢えず、先を急ぐか」
二人の男性は、更に森の中をひたすら進んでいった。
黒い画用紙に黒い絵の具を塗ったような真っ暗な海の中、二艘の小舟が小さなランプに照らされ、ぽっかりと浮かんでいた。
「本当に、方向はあっているのか?」
小舟を漕いでいた、顎鬚を蓄えたがたいの大きい男性が、後ろを振り返った。
「暗くて前は見えないが、方向はあっているはずだ。このまままっすぐ漕いでくれ」
地図と羅針盤をランプの光で確認した、もう一人の男性が答えた。彼は、癖の強い長い髪を後ろに束ねている。
「一体いつまで漕いでいれば着くのかね。もう少し近くまで船で来ても良かったんじゃないか?」
同じ小舟に乗っていた、もう一人の男性が口を挟んだ。
「あんな大きな船で近づいたら目立つだろ。今は夜だから何も見えないが、もう大陸までそんなに遠くないんだ。あっちの国は俺らの国と違って、魔法やら空飛ぶ生き物やらって怪しい物が溢れている事を考えると、近くまで船で近づいたらどんなことが起きるか分かったもんじゃない。日中でも船を簡単に発見されない事を考えるなら、あっちの国の海域ギリギリで停泊させる必要があるんだよ!」
羅針盤を確認していた男性が苛立った口調で、言い返した。
「チッ。そんな言い方しなくても良いじゃないか」
「二人共、そんなにピリピリするなよ。確かに思ったより遠いが、あそこで何か持ち帰れれば、国で大金を手にできるんだ。そう思えば、多少大変でも我慢ができるってものだろ?まずは、日が昇るまでに島に着くよう頑張ろうぜ」
「そ、そうだよな。まずは着かないと話にならないよな」
男たちは、また無言になりながら、漆黒の海の中を島に向かってゆっくりと進んでいった。




