4 - 準備2
「もう他には無いかな?」
一通りライナスからガルバラ島についての話を聞いた後、ライナスから最終確認をした。
「皆一通り質問は出来たみたいね。ありがとう。ライナス兄様」
「役に立ったのなら良かったよ。ガルバラ島はちょっと癖はあるけど危険ではないから皆気をつけて行っておいで。捕まえた妖獣は、あとで見せてくれよ」
そう言って、ライナスは部屋を出て行った。
「それじゃ~僕も他に無いなら戻るよ」
マーシャルは、荷物を整理して部屋を出る準備をした。
「帰られる前に、最後に一つ教えて貰いたいのですが」
フィオナがマーシャルに声を掛けた。
「何かな?」
「ライナス様とマーシャル様のお陰で、ガルバラ島の事や魔道具の使い方は、かなり理解できました。今回私たちは六名でガルバラ島に行こうとしていますが、効率良く妖獣と捕まえる為に、グループに分かれて動こうと考えています。また、先に終わったグループが、もう一つのグループと合流できれば更に効率が良いと考えています。そうなると、お互いの位置を把握することが必要となるのですが、何か良い魔道具はあるでしょうか?」
グループで動こうとすると、ガルバラ島では必要となるだろう魔道具について質問した。
「お互いのグループがどの方向にいるのかが分かればいい?」
「そうですね。最低限はそれが分かれば。もし可能であれば、ある程度の位置関係も分かると更に助かります」
「特に個々の方向とか位置情報ではなくて、グループのでいいかな?」
「そうですね。グループの位置が分かれば十分かなと思います」
「分かった。そんな魔道具があるかと言われると、僕には思いつかないけど、羅針盤を応用すれば、方向を知る程度の機能であれば、そんなに難しくなく作れると思うよ。位置関係については、どうやったら実装できるのかちょっと考えてみるよ」
マーシャルは、左手を顎の下に置き右手を左肘を支えた状態で、一人「あれならできるか?」とブツブツ言い始めた。
「マーシャル兄様?大丈夫そうですか?」
オリヴィアは心配そうな顔をしてマーシャルに尋ねた。
「心配しなくても大丈夫だよ。いくつか案はあるから、まずは試してみるさ。皆がグラバラードを立つ前には、用意できるようにしておくよ」
マーシャルは、大した問題では無いと言ったふうに、ニッコリ笑ってオリヴィアに答えた。
「よろしくお願いします」
フィオナは、二人のやり取りを見て、マーシャルにそう言った。
「妖獣を使役するために必要な情報は得られたかしら?」
マーシャルが第三閲覧室を去った後、オリヴィアが皆に確認した。
「聞いておいて良かったよ~。でも、想像していたよりガルバラ島って面白そうなところだよね。行くの楽しみになってきた」
ルーファスからの返事が返ってきた。
「本当だよな。知らずに行っていたら、大変だったかも。それにしてもさ。やっぱりライナス様とマーシャル様って迫力あるよな。久々に近くでお話させて貰ったけど、いや~緊張した」
ソファーに座り直したランドルフが口をついた。
「オリヴィア。結構お二人には時間を割いて頂いたと思うから、後でお礼言っておいて貰えるかな。とても参考になりましたって」
「分かった。そう伝えておく」
エミリオは、「じゃ~僕は、紅茶を入れなおそうかな」と言って、バーカウンターへ移動した。
「さっきフィオナも言っていたけど、ランドルフとエミリオが居ないときにさ、六人で最初から一緒に行動すると効率が悪いからって、グループに分かれて行動したほうがいいんじゃないかって話をしていたんだ。その辺の意見と、グループの分け方どうするか決めないか?」
セドリックが、話を切り出した。
「グループに分かれて行動するっていうのは、俺も賛成。それにライナス様の話だと、最初の方は移動も大変そうってことだから、グループを二つに分けるなら、フィオナとオリヴィアの女子二人は別のチームにした方がよいと思うよ」
クッションを抱えたランドルフが、セドリックに振り返って返事をした。
「確かにな。緊急事態が発生した場合に、女子二人だと対処が厳しいことも考えられるし、二人は分かれた方がよいと俺も思う。それと、俺は念のため帯剣して行こうと思っているけど、ランドフルはどうする?俺たちの中だと剣術の腕に覚えがあるのは、俺とランドフルだから、もしお前も持っていくなら、俺たちは別のグループの方がいいだろうな」
セドリックはランドフルの意見に賛同し、ランドルフとセドリックも別のチームにした方がいいと言った。
「となると、エミリオと僕が別のチームになればいいんだね」
机に置かれている魔道具をいじっていたルーファスが、会話に参加してきた。
「そうなるね。セドリックとランドルフが、帯剣して道を作ったりしてくれるなら、僕たちは羅針盤を使った現在地の把握とか、魔道具の使い方を熟知するようにしておこうか」
紅茶の準備をしながら、ルーファスの言葉に続いた。
「グループでのそれぞれの役割を明確にしておくのは良いかもね。だったら、フィオナと私はガルバラ島に滞在している時に使えそうな軽食を調達をしておこうかしら。ガルバラ島内で調整可能な食材については、後で兄様たちに聞いておくわ。フィオナどう?」
バーカウンターでエミリオの手伝いをしていたオリヴィアが、フィオナに話しかけた。
「一つ方向性が決まると、相変わらず皆話をまとめるのが早いわよね。食料担当ってことね。了解。それと、問題ないとは思うけど、ガルバラ島で何もないとは言えないみたいだから、念のためセドリックはオリヴィアと組んで貰えないかしら?」
フィオナが、セドリックに話しかけた。
「危険な場合ってことなら、フィオナだって同じでしょ?それは特に考慮に入れなくても・・・」
「ま~そうなんだけどね。オリヴィアの方にセドリックが居るって思えると私が安心できるし。一応ランドルフはこっちにいるんだし大丈夫よ」
「一応ってなんだよ。俺だって結構強いんだぞ」
フィオナの言い分にランドフルが割り込んでた。
「でもセドリックと比べたら、弱いじゃない」
「そりゃそうだけど。比べる相手がおかしいだろ。現役の騎士だって、セドリックに敵う人は少ないんだ。そんな人間と比べて弱いと言わないでくれよ」
「おいおい、話が脱線してきたぞ。話を戻すが、俺はオリヴィアと一緒に行動するっていうのでいいんだな。だとすると、ルーファス、悪いがランドルフとフィオナのグループに入って貰えるか?」
ランドルフとフィオナのやり取りに呆れたセドリックが、話に割り込んでルーファスに話を振った。
「この組み合わせだとそうなるよな。セドリックがいないんじゃ~、二人の言い争いの仲裁は僕がやらせていただきます」
ルーファスは片手を挙げて頷いた。
「ということは、僕はセドリックとオリヴィアと一緒ってことだね。取り合えずグループ分けが決まってよかったよ」
紅茶を注いでいたエミリオが、にっこり笑って皆を見た。
グループ分けも決まったということで、ガルバラ島に行くまでに準備するものなどを皆で話し合った。一通りの認識合わせが終わった後、
「大体必要な話は終わったわよね。じゃ~出発は三日後ということで、移動手段の準備のお願いをお父様に伝えてくるわ。もし他にも相談する事ができたら明日話し合いましょう。それじゃ~、皆また明日」
皆を見渡して、オリヴィアは、妖獣を見つけに行く日程を報告しに第三閲覧室を出た。
3章はここまでです。




