1 - 皆に相談
翌日。
オリヴィアは、早速トスターナと今後の予定を調整した。昨日エドモンドが言っていた通り、既に話は通っていて、話し合いの結果、事前に準備も必要だろうということで、来週始めからガルバラ島へ行く準備に時間を貰い、今週まで朝会議に参加行することとなった。朝会議の後、トスターナと打ち合わせをしていた為、第三閲覧室へ移動したのは、昼前くらいになってしまった。
「おはよ。オリヴィア。今日もお疲れ様~。いつもより来るのが遅いみたいだけど、朝会が長引いたの?」
いつもの通り、フィオナが部屋に入ったオリヴィアに気が付き声を掛けた。
「朝会はいつもの同じ時間には終わったんだけどね。昨日父からお願いされたことがあって、その事でトスターナ様と話し合っていたの」
「国王様から依頼?」
「そう。その事でフィオナ達にも相談したい事があるのだけど、今時間取れるかしら?」
「今は、ランドルフとエミリオが居ないけど、彼らには後で説明すればいいわよね」
オリヴィアは、第三閲覧室にいるフィオナ、ルーファス、セドリックに昨日エドモンドから言われた話を話始めた。
「なるほどね。っで、来週私達にも妖獣を使役しに共にガルバラへ行って欲しいと言うわけね」
「そういうこと。急な話で申し訳ないのだけど……どうかしら?」
「今居ない二人には後で確認するとして、ルーファスとセドリックはどう?」
会議机に、ガローシャの地図を開いたルーファイルが、
「僕は行くよ。一緒に。来月から始まる研修まで特に予定も入れてないから。元々研修期間中には妖獣の確保はしておいた方が良いとは思っていたし、それが今に変わったとしても全く問題ないよ。それにこのタイミングだったら皆で行けるしね。研修期間が始まってからじゃ、皆所属が変わってしまうから予定を合わせられないかもしれないし」
行く気満々の回答が返ってきた。それを聞いたセドリックが、
「俺も行く。来週に用事は入れていたが、特に緊急では無いから予定を変更するよ。オリヴィアの説明だと来週王都を発って、再度戻ってくるのに十日位だよな」
「そう。でもそれは三人で妖獣を見つけに行ったライナス兄様の経験談を参考にした場合だから、今回もその通りになるかは分からないけど……」
「六人全員で行動を共にすると確かに時間が掛るわよね。残り二人の意見も聞かないとダメだけど、ガルバラ島がそれなりに広いのであれば、羅針盤で指し示した位置が近い者同士で組んで妖獣を見つけたほうが早いかもね。因みに私も行くわよ」
「ありがとう」
フィオナ、ルーファス、セドリックは一緒に行ってくれることが決まった。
「あと、今日ニ時位になったらお兄様達がここに来ることになっているの。マーシャル兄様は、妖獣を捕まえるときに使用する魔道具の説明をしてくれることになっていて、ライナス兄様は経験者として質問があれば答えてくれるって言っていたわ」
「え!『太陽の王子』と『月光の王子』が来るの?」
この呼び名は、王都では一般的に呼ばれているライナスとマーシャルの二つ名だ。勿論『太陽の王子』がライナスで、『月光の王子』がマーシャルの事を指している。因みに、姉フローリアの二つ名は『大地の女神』だ。
「もしかして嫌だった?」
ルーファスの反応に驚き、オリヴィアが質問した。
「いやいやいや。嫌って訳じゃないよ。オリヴィアの兄さん達って、それぞれに迫力あるじゃない。だから近くに居ると緊張しちゃって。えへへ……」
「ちょっと失礼よ。ルーファス。一応二人共この国の王子なのよ。ちょっと変な教団作っちゃったり、妹愛のために犯罪ギリギリの魔道具作っちゃったりしても、そんな態度取ってはダメよ!」
「フィオナ~。お前が一番酷いぞ。な~セドリック」
「ライナス様には信奉者が多く、確かに信者の様な人達が居るのは知っているが、特に教団は作ってないだろ。フィオナ」
「本人が認めていなくても、実際信者がいて、崇められているのだから立派な教団よ」
「それは、お前個人の意見な。因みにマーシャル様の魔道具ってなんだ?」
「マーシャル様の魔道具開発の情熱は、かなり、オリヴィアに向けられたものが多いのよ。まだ、私達が寮生活をしていた頃に、マーシャル様から『部屋に置いてね』と言って送られてきた置物があったのよ。悪いものからオリヴィアを護るものだからって手紙には書いてあったから、オリヴィアも私もてっきり魔除けの様な魔道具なのかと思っていたのよ。暫くして、どうも近くに居ないのにオリヴィアの状況をマーシャル様がよく知っていると思って、原因を考えたらマーシャル様が送ってきた置物が原因だって分かって……」
「その置物って世間では盗聴器と呼ばれるんじゃ……?」
「そうよ!どういう魔道具が分かったから、オリヴィアからマーシャル様に返して貰ったけど、その後も色々私達の寮には送られてきたわ!毎回送り返すのも悪いってことで、部屋に置かずに、違う所に置いたりもしたけどね」
「…………」
「本当にあの時は迷惑かけたわね。フィオナ。本人悪気は無いんだけど……」
あの頃の事を思い出し、オリヴィアは申し訳無さそうな顔をしてフィオナに謝った。
「いいわよ。オリヴィアが悪い訳じゃないし。悪気が無いって事も知っているし。それに盗聴されていてもマーシャル様の興味はオリヴィアだけだから、その横で私が何を話していても問題は無いでしょうしね」
「……取り敢えず、マーシャル様の事も分かった」
セドリックはこめかみを押さえながらポツリと呟いた。




