wish for17:2度目の気まぐれ、という名の日常。
俺は家に帰るとすぐにシャワールームへ向かった。
うちは、風呂とシャワーは別になってんだよな。
勿論、風呂場にもシャワーは付いてるけど。
親が不規則な仕事してるから、風呂とシャワーは別にしたらしい。
シャワールームは、玄関からすぐ。
俺や家族の部屋から1番遠いトコにある。
シャワーを浴びて、制服を洗濯機に放り込んで、俺は新しい制服に袖を通した。
俺、制服2着持ってんだ。
別に、シャツが複数あったら良くねぇ?
…まぁ、今はどうでもいっか。
財布と携帯を掴んで、俺は家を出た。
遅刻をしないで正規の時間に登校するなんて、何ヶ月ぶりだろう。
また南音達が煩いんだろなぁ…。
そんな事を考えて歩いていると、俺はふと足を止めた。
南音…士…汰河…。
どうしてやろうか…。
特に、士…。
…ま、俺は今最高に機嫌良いし?
今日1日俺の事怒らさなかったら、何もしないでやんよ。
俺は止めた足をまた動かして、学校への道をゆっくりと歩き始めた。
学校に着いた。
昨日とは違う意味で注目浴びてる。
別になぁ〜?
良いじゃん?
つーか、普通学校って遅刻したらダメなもんだろ?
俺が普通に学校来て、何が悪いんだよっ!!
廻りの視線を無視して、靴箱へ向かう。
始業10分前。
まだ、生徒はまばら。
いっつも予鈴鳴ってから、皆来るんだよな。
俺も、中坊ん時はそうだったわ。
朝から中坊ん時の事を思い出して浸っていたら、いきなり嫌な奴に逢った。
…否、嫌ではないんだけど。
つーか、寧ろ感謝してるし…。
ソイツは、俺に気付いたみたいだった。
けど、普通にこっちに歩いてくる。
「…あ。憂灯」
俺からの距離が2mんなったトコで、ソイツはやっと反応した。
まぁ、龍偉らしいっちゃらしいか…。
「うぃっす」
「おはよ」
「今日も学校来てんの?」
「うん」
「何で?」
「んー…呼ばれたから」
俺の頭ん中で、芸人が揃ってコケてる場面が浮かんだ。
当たり前だけど、俺はコケねぇよ?
龍偉は、こういう奴なんだよ。
拒絶する奴は、マジ嫌いなんだろうな、こういうタイプ。
俺は別に。
こういう奴には、同じように返すし。
俺は再び龍偉に質問した。
「卒業式の用?」
「うん。何かー…総代の事とか」
「龍偉、総代なんだ?」
「うん」
「………秀統も昨日居たけど。秀統も何かすんの?」
「秀統は答辞読む人。ちなみに…送辞は憂灯と同じクラスの子」
「俺と同じクラス?誰?」
「あれ。樋野 南音」
南音?
南音か。
アイツ、そんなの一言も言ってなかったけどなー…。
あ、気ぃ遣ってたのかもな。
秀統が答辞すんだし。
「龍偉は、大学そのまま?」
「うん。エスカレーター」
「ふーん…。弁護士なるんだったら、法学部?」
「うん。けど、心理学の勉強もしたい」
何か、今日は龍偉口数多いな…。
何かあったのか?
あー…でも、龍偉は絶対ぇ訊いても言わねぇしなぁ…。
「心理学?何で?」
「やりたいから。………あ」
龍偉が俺から視線を外した。
俺を通り越して、俺の後ろに焦点が合ってる。
「あ?」
俺も、龍偉が見てる方を見ようと振り返った。
感想などいただけたら嬉しいです。
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