wish for16:幸福の陽光。
欲を言えばきりがないので
望みは言わないけれど
きっと
今の私には あなた以上は 居ないでしょう
「ん…」
陽光が眩しくて、眼が醒めた。
後、何か唄が聴こえた気がして…。
けど、1番に思ったのは由李の事。
俺、ヤバいんじゃね?
今の俺から由李盗ったら…俺、何するか判らねぇなぁ…?
「生きてゆく力が…その手にある内は…笑わせてて…いつもいつも…唄っていて欲しいよ…」
由李はもう起きていて、俺の隣で唄っていた。
由李がよく唄うから、俺の耳にも自然とメロディーが残る。
俺は、由李の歌声に耳を傾けていた。
すぐに、由李は唄うのを止めた。
「おはよう、憂灯君」
「おはよ。今日も由李は可愛いなー」
「冗談」
ふっと笑って、由李は窓の外に顔をやった。
まだ、何も映してない瞳。
由李…?
俺、頑張るから…。
だから、待ってて…?
待っててな…?
「そう言えば、憂灯君家帰らなくて平気?昨日からずっと此処に居るでしょ?」
「平気。家には、あんま帰ってなかったし。それに、帰った所であんま人居ねぇしな」
「んー…でも、家には帰った方が良いと思う。家の意味が無くなっちゃう…」
「由李と一緒に居たかったから。それじゃ、ダメ?」
すぐに、由李の白い頬がバラ色になった。
大人っぽいのに、マジで、可愛いよな…。
昨日も、ほんと可愛かっ…あ、これ以上言ったら由李に殺される。
「そ、それよりっ。学校!!そう、学校は?」
「あー…今7時かぁ…。だる…」
「行きなさい」
「判ってるって。由李に心配かけたく無いし。行くよ」
「ホントに?良かったぁ…」
「んじゃ、一旦帰って来る。シャワー浴びたいし…。学校終わったら、また来るから」
「うん、ありがと。待ってる。あ、でも、来るのはちゃんと家に帰ってから来てね?」
「由李がそう言うんだったら、そうするわ。お姫様」
「なっ…私、姫じゃないもん!!」
「俺からしたら姫なのっ。そんな怒ってたら、可愛い顔が台無しだぞ〜?」
「〜〜〜っ憂灯君、絶対性格悪くなったよね…」
「これが俺の素じゃーん。由李は、受け止めてくれるだろ?」
「出来るだけ…」
「何でそんな弱気なんだぁ?」
「ちょっと…恥ずかしいのっ。良いから、学校!!遅刻するよ!?」
「由李ちゃん可愛いぃ〜っ」
「憂灯君っ!!」
「うわ、由李が切れたっ。じゃぁ、行ってきます!!」
「行ってらっしゃい」
俺は由李に見送られて、病室を後にした。
…ん?
待って待って。
何か、これって新婚さんみたいじゃね!?
だったら、ちゅーしてもらうべきだったな…。
……………って、違うし!!
俺のキャラ、変わってねぇ?
何か、アホキャラになってる…。
学校行くまでに戻しとかねぇと…。
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