wish for09:放課後の始まり。 -プロローグ-
時間は飛んで、放課後。
本人が言ってた通り、あの後、龍偉は秀統に連れて行かれた。
龍偉の手前、秀統も俺とは話出来ねぇみたいだったな。
ほんと、龍偉に感謝だわ。
んで、南音が来て。
そのまま6限目も受けさせられて。
掃除もさせられて。
今に至る。
俺は生徒昇降口に居る。
何で、さっさと帰らないのかって?
俺もそうしたいんだけどなー…。
つーか、由李んトコ行きたい。
けど、誰かさんのせぇで…。
「憂灯君?何百面相してんの?」
「はぁ?誰が百面相してるって?南音ぉ」
「憂灯君だってば。それより、皆遅いよねー…」
南音はそう言うと、時計と昇降口を交互に見た。
そう、俺らは待ってんの。
アイツらが降りてくるのを。
俺はどうでも良いんだけどー…。
どうでも良いから、さっさと由李んトコ行かせてくれ…。
「なぁー…何で汰河達待ってんの?」
「酷っ」
「はぁ?」
いきなり、酷いって何だよ。
俺からしたら、お前らの方が酷いっつーの。
さっさと俺を帰らせてくれよ…。
「久しぶりに憂灯君が学校来たから、このまま遊びに行こうと思ってたのに。てか、いつもそうしてるでしょ?」
「そうだっけ?」
「そうだよっ。酷いなぁ、ホントに」
…だって、俺、今遊びたく無ぇもん。
寧ろ、さっさ帰りたい。
お願いだから、帰らせろー…。
俺がよっぽど嫌な顔してたんだろうか。
南音は少し眉を顰めて言った。
「…どうかした?気分でも悪い?」
チャンスだ。
これ口実にして、帰れるかも―――――…………………………………
「南音ぉ!!」
俺の淡い期待は砕かれた。
士…いつか絞める………。
「士君。汰河君。他は?」
「もうすぐ香と臣も来るんじゃない?」
「そっか。じゃ、何処行くか決めとく?」
「カラオケが良い!!」
「はぃはぃ。士君はカラオケね。汰河君は?」
「俺は何処でも良いよ。カラオケ以外なら」
「酷っ!!」
「じゃぁ、カラオケは却下ね。憂灯君は?」
「南音までぇ〜」
士が嘘泣きし始めた。
南音と汰河は、楽しそうにその様子を見てる。
ったく、コイツらは…。
士も士だけどな…。
「あー…悪い。俺、パス」
「はぁ?」
「えぇ!?」
「マジ?」
三者三様の反応。
南音は呆れてるし、士は普通に驚いてる。
つーか、焦ってる。
汰河もちょっとは動揺したみたいだな。
…俺が、遊ばないって言うのがそんな珍しいのか?
「お待たせー。ごめん、担任に呼び出されてた…って………」
「あれ?どしたん?」
香の声と、臣の不思議そうな声がする。
俺は、皆を置いて、先に歩き出した。
また前回掲載分にミスがありました。
申し訳ございませんでした。