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祭りの後始末

「お疲れ様ー……………」

「ほんとお疲れ……」

「やべえ、なんもしたくない」

 科学部部室。放課後なだれ込むように他所の部室へ押し入り、僕ら報道部メンバーは三人で机に突っ伏している。

 間借りしているとはいえ、フリーダム?いやいや今日くらい許してほしい。

 なにせ最大の山を越えたところだ。

「とりあえず紅茶でいい?二杯めからは各自で入れてね」

  仏の心の姫島さんが、紙コップに入った紅茶を置いていく。スティックシュガーとフレッシュ、コーヒーメーカーに並々と入った紅茶をピッチャーよろしく中央にセットした。

「昨日はお疲れ様」

「いえ、ほんと遅くまですみません……」

 なんとか顔だけ起こして答える。

 文化祭一日目夜。

 結局オールナイトで編集作業にあたったのだ。

 記事を書き、校正、レイアウト編集。写真の加工に二日目にやることのすり合わせ。

 初めてだらけのことは、好きだとかやりたいだとかの気持ちだけではスムーズにはまわせなかった。

 けれどもみんなでやったから、きっといいものができたと思う。

「おかげで、紙面が出せました。ありがとう、ございます」

 無事に文化祭の特集号は発行・配布ができた。

 そして、同好会ながら文化祭での頑張りを表彰する藤和賞部活部門ではぶっちぎりで優勝。OBからの投票が突き抜けていたそうだ。

 感謝してもしきれない。

「裏の方はどうだったの?」

「上々です。まだ計算はしてませんけど」

 ストレートで紅茶を飲み干した大岡は、かばんからチョコの大袋を取り出す。吉村はスティックタイプの甘い飲み物、僕は大袋のマシュマロとクラッカーを出して渡した。

「これ、昨日のお礼です」

「ああ、別にいいのに。……でもありがとう。嬉しいな。甘い飲み物もいいし、チョコは燃焼実験に使えるし」

 チョコレートは激しく燃えるとかいうやつだろうか。

「じゃあチョコはあけてみんなで食べよう。お金のことは早いうちに計算してあわせたほうがいいと思うよ」

「ですよね、やろっかー」

 分かってはいてもなんとなく先送りにしていたことだ。このままだとずるずる後回しになる。

 吉村はチョコレートを放り込み、フレッシュを入れた紅茶で流し込んだ。

「それしかないか~」

僕は紅茶に砂糖とフレッシュをこれでもかと入れる。

「ちゃんとお金のことが終わったら、マシュマロとクラッカーはバーナーであぶって食べよ。だからファイト」

「っしゃー!やるぞ!」

 大岡はストレートの紅茶をぐいっと飲むとがぜん張り切った。吉村も目をキラキラとさせていた。


違和感に気づいたのは、販売記録をエクセル表にまとめたときだった。

「……そういえばさ、気になることがあるんだけど」

「どしたー?」

金種を数えている大岡は気のない返事だ。こちらの作業を手伝ってくれた吉村が、困ったように首を振る。

「アザミさんの写真、消えてるっぽい」

「………え?」

データを確認したけれど、確かにあったものが消えているのだ。ゴミ箱に紛れ込んでもいない。

「一日目には値下げ交渉とかあったし、実際買った人もいたけど、二日目って出てないし」

「そういえばないよな」

 大岡も手を止めて、記憶を辿っているようだ。

疑惑は確信に変わる。

「……やっぱり、アザミさんのデータだけ消えてる」

「昨日のごたごたで消えたのか?」

あのときは、記事データの元となる取材メモ、そして掲載候補の写真たちの無事を確認することが最優先だった。裏のほうの写真データ確認は二の次だ。

「可能性はあるけど、どうなんだろう……」

 この手のことに詳しいはずの姫島さんがだんまりなのも気にかかる。

姫島さんはガスバーナーを使った実験の準備にかかりきりだ。

「アザミさんの写真って、実際売れた?俺のときはなかったけど」

「俺も問い合わせだけ」

吉村だけがきょとんとしていた。

「あれ、ばらついてるね。女子は結構。男子は…………一人だけ。青柳さんと一緒にきてたよ。先輩かな?」


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