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66 さらばビッチ アイテムボックスよ、永遠に

『あーん、あーん』


 またビッチがビービー泣いている。

 うるせぇな。


『あーん、あーん(ねーねーボッチ君)』


 邪神でなくてビッチの方か。

 こいつ、封じ込められていたんじゃねぇのか?


『あーん、あーん(当分、エタっていてあんまり暇すぎるから邪神さんは寝ちゃっているよ)』



 そうか。



『あーん、あーん(そうそう、バレンタインはちゃんと貰えた?)』


 

 その間、ずーとエタっていたから、物理的に考えても貰えるわけねぇーだろ?


『あーん、あーん(いろいろ大変だね?)』


 そもそもこの物語は、あとどれくらいミッションがあるんだ?

 どうせ作者も忘れているんだろうから、ちゃちゃっと終わらせて解放されてぇーわ。このままだとずーとここに待機しておかなくちゃあならないからな。


『あーん、あーん(えーとね、まず邪神を倒すには、このお話を書籍化させてあたしの知力を上げなければならないの)』



 無理。

 却下。



『あーん、あーん(駄目だよ。あたしが邪神に浸食されちゃうじゃん)』



 でもいつまで経っても浸食されねぇーじゃん。

 それにこの話を完結させたら、邪神はずーと俺のアイテムボックスの番人をしておかなくてはならんのだ。一人だと、暇だろ。

 やることがないからこうやって、俺達を脅してミッションを無理やり作っているだけだし、物語が完結したら、わりと親切な性格になってお前と遊びだすぞ。きっと。


『あーん、あーん(なんだよ、そのやり投げな言い方。ねーねー邪神君。あんたも何か言ってやりなよ)』


『あーん、あーん(ククク、ボッチよ。よくぞ見破った)』


 よし。

 じゃぁこの件はこれで終わり。


 後、何の仕事がある?


『あーん、あーん(うーん、えーとね。子泣き爺のお孫さんが復讐の為にあたしを倒そうとしている)』


 めんどくせー。

 それも却下。

 そもそもビッチはアイテムボックスから出られないのだぞ。

 もうすでに倒されている。

 これでこのミッションも終わり。はい、次。


『あーん、あーん(コロシアムで戦う)』



 あ、それ、簡単そうだ。それくらいは頑張ろうか?



『あーん、あーん(あ、でもね。なんか男装したヒロインぽい元奴隷の子がいてね、おそらくその子とちょっとラブコメ展開しなくてはいけないっぽそうよ? ボッチ君、良かったね)』



 なんかビッチがはぶてたぞ。まぁどうでもいいけど。


 それよか作者め。

 どうせ何も考えずに5話くらい引っ張ろうとしたんだな。

 ラブコメお断り。

 コロシアムも却下。

 次。


『あーん、あーん(アリサちゃんは?)』


 ラブコメお断り。

 アリサも却下。



『あーん、あーん(でもいいの? そろそろシナリオがなくなっちゃうよ)』


 元々シナリオなんてあったのか?



『あーん、あーん(あるわよ! 打倒閻魔)』



 あ、それをやっつけたら、何か終わったぽい感じになるな。

 それする!

 どうやればいいんだ?


『あーん、あーん(閻魔大王のおにーちゃんを倒すには、その前にはだかる死神のおえーねちゃんを倒さなくてならないの。その為は邪神のおにーちゃんと手を組んで、記憶をなくした賢者の力を借りる必要があるけど、その二人に合うには邪神のおにーちゃんのフィアンセと合流しなくてはならないの)』



 わりと面倒だな。

 まぁいい。

 ちゃちゃっとやれば5分でできるだろう。

 邪神の兄貴にフィアンセは何て名だっけ?


『あーん、あーん(忘れちゃった。数話前を見たら?)』



 それがめんどーなんだよ。

 それにあっちやこっちをウロウロしていると、作者が気付いて帰ってくるかもしれない。そうなったらまたエタるじぇねぇか。


 くそったれ。どうしたらいんだ?

 まぁいい。名前なんて知らなくてもいい。兄貴のフィアンセと表記しよう。兄貴のフィアンセ……長いから兄Fと呼ぶか。



 それよか兄Fはどこにいる?



『あーん、あーん(ボッチ君がおまわりさんにチクって牢獄に入れちゃったんだよ)』



 じゃぁ会えないじゃねぇか。

 そもそもどうして俺が兄Fに会わなくてはならないんだ?



『あーん、あーん(神クラスにならなないと、あの世に転移できないからだよ)』



 そうか。

 じゃぁ子泣き爺のお孫さんでもいいいなじゃないのか?



『あーん、あーん(妖怪クラスだと無理だと思う)』


 ちょうど子泣き爺のお孫さんもいるから聞いてみよう。


「ねーねー。あの世の行ける? 死ぬ以外の方法でね」


「簡単ですわ」



 なんだよ。行けるってさ。



『あーん、あーん(イベントすっ飛ばすな!)』



 いいだろ。面倒なんだからさ。



「あの世に行きたいんだけど。死ぬ以外の方法でね。閻魔の真後ろがいい」



 子泣き爺のお孫さんはニッコリ笑って俺の手を握った。

 ドキッとした時には、おどおどした空気が漂っているあの世っぽいところだ。


 大きな椅子があり、おっさんが座っている。あ、亡者の行列もある。


「次、地獄。次、地獄」


 おっさんは片っ端に地獄に落としているな。



 俺は手をかざした。そして念じる。

 ――入れ!



『ム!? ここはどこだ!? お、お前、ビッチ!?』


『あーん、あーん(おにーちゃん、あそぼー)』


『近づくな。お前は見栄えなく食べる悪癖がある! 寄るな、来るな!』



 よっし。

 閻魔をぶち込んだぞ。

 これですべてのミッションをコンプリートした。

 世界は平和となった。多分。



 


 子泣き爺のお孫さんとこれからゆっくりと暮らしていこう。

 で、ところで、君、なんて名前なの?



「作者さんがつけてくれませんでした? 帰ってくるまで待ちますか?」



「い、いや。

 なら、いい。

 もう作者なんて帰ってこなくていいよ。折角全ミッションクリアしたんだ。腐ってもあいつは作者だから、ちゃんと色々と面倒なプロセスを踏まそうとするから。すぐにエタる癖してさ」



「そ、そうですか……。でも不便ですよ。名前がないと」



「子泣き爺のお孫さん。略してコナマゴと呼ぶ」


「……命名ありがとうございます」


 コナマゴの顔はなんかひきつっているが、これですべての問題を解決したぞ!!

 やった―――!!!\(^◇^)/



 おしまい

最後までお付き合いいただきまして本当にありがとうございます。

これからも何卒宜しくお願い致します。<m(__)m>


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