50 あーん、あーん、あーん、あーん ^0_0^
『あーん、あーん』
またビッチがビービ―泣いている。
うるせぇな。
そういや、こいつ、知能が落ちまくって、もはや、あーん、あーん、しか言えなかったんだっけ。
翻訳してみるか。
『あーん、あーん(あーん、あーん ^0_0^ )』
なんだ、素で泣いているだけか。
なら、最後の顔文字はなんだ?
おい、ビッチ。
^0_0^はどういう意味だ。
『あーん、あーん(あーん、あーん ^0_0^ )』
だから、^0_0^ は、なんだと聞いている。
『あーん、あーん、あーん(あーん、あーん、あーん ^0_0^ )』
もしやこいつ、更に知能が減ったのか!?
それにしてもどうしてこれ程までに急速におバカになるんだ。
なんか嫌な予感がしてならねぇんだ。
このままビッチの知能低下が進んだら、大変なことになりそうな気がする。
とにかく俺はアイテムボックスを確認した。
【アイテムボックス】
破壊神 × 1 (邪神侵食率 41.5%)
――邪神侵食率?
なんだこれは?
そいうえば、ビッチは勇者ルーンベルクをかじっていたな。
もしかしてルーンベルクの細胞が、ビッチの体内で増えているということなのか。
『あーん、あーん(ククク、よく分かったな。小僧)』
そうか。
良かった、良かった……
って、……なんかルーンベルクってかなりの紳士だった気が。
さっき聞いた声は、どちらかというと典型的な悪役っぽかったぞ。
も、もしや!?
『あーん、あーん(ククク、そうだ。俺は元々悪の塊よ。そもそも邪神とはそういうものだ。だが、もう一人の俺は、どういう訳か本来の自分自身を体内の奥深くに封じ込め、正義の為に戦いだした。
俺は辛かった。
だがある日のことだった。
どういう訳か、体が分離されていくではないか。ビッチが俺をかじっているようだ。ククク。愚かなビッチよ。俺を締め付ける元の肉体などいらぬ。
ビッチの肉体に移動すればよいだけ。
ビッチの低い知能なら、抑え込んで、その肉体を意のままに動かすことができる。
付け加えるとな、ビッチが俺をかじっていたのは、俺自らが邪神の肉体に、ビッチの好物であるチキンの匂いを分泌させていたからよ)』
な、なんだと!?
そんな壮大な伏線があったのか!?
『あーん、あーん(そしてボッチよ。ビッチとだから知恵比べで勝てていたが、俺がこの肉体を自在に動かせるようになったら、どうなるか分かるな!
キサマの名など簡単に聞き出せる。
ここから脱出することなどいとも容易いわ。このままビッチの知能をさらに削ってやるぜ! フフフ、アハハハハ!!)』
『あーん、あーん……(ボッチ君、た……す……け……て……)』
やばいぞ。
ど、どうすれば!
と、とにかく、だ。
邪神に抵抗するには、ビッチの知能を上げるしか方法がないのだ。




