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49 あーん、あーん、あーん

 さっきは何だか和んでしまって気にも留めなかったが、俺はビッチの中で進行している衝撃的な事実を知ってしまった。



 ビッチは言った。

 言葉の半分くらいを忘れた、と。



 冷静に考えてみたら、それは異常な現象だ。

 たった数日で言語機能に障害を負っている。

 奴の言葉は、もはや『あーん、あーん』なのだから。



 元々知能の低かったビッチは、急激な速度でおバカになっている。

 いや、実際のところ、おバカなんて生易しいものではない。奴は退化……いや、これを果たして退化と呼んでよいのだろうか。もしかしたら進化しているのかもしれない。



 このままビッチが、完全に知性を失ったらどうなるのだ?

 アイテムボックスにぶち込んだモノを何でも食らう化け物になってしまうのは、もはや明確だが、万が一奴がアイテムボックスから出たらどうなる?

 マジで大変なことになる。

 辛うじてあった言語機能や理性は綺麗さっぱり消滅しているのだから、マジで動くものなら何でも食っちまう問答無用な破壊神になってしまう。



 まぁ出さなければいいのだが、このまま知能低下させることは危険なことなのかもしれない。



「おい、ビッチ」


『あーん、あーん(何?)』


「ちゃんと言葉を使え!」


『あーん、あーん(ヤダー)』


「おい、良いのか? このまま行くと、お前はすべての言葉を忘れてしまうぞ。つまり何も分からない超おバカになってしまう。それでも良いのか?」


『あーん、あーん(ヤダー!)』


「じゃぁ、なんでもいいからしゃべれよ!」



 待つ事、5分……。



 どうしたんだろう?

 確かにこうやって言葉を選べと言われると、何をしゃべろうか迷うもんな。そういった時は、簡単に答えられる質問を投げかけた方が早い。


「おい、ビッチ、1+1=?」


『あーん、あーん』


「いや、お前の頭では、簡単な算数すらできないことくらい分かっている。分からないなら分からないでいいから、言ってみろよ」


『あーん、あーん(分からないという言葉が分からないよー)』


「でもお前、俺の言葉を理解できているんだろ? だったらおうむ返しでいいから言えよ。分からないって」


『あーん、あーん(ボッチ君があたしの言葉を感覚的に理解しているように、あたしもボッチ君の言葉を感覚的にこうかなって思っているだけだから、うまく発音できないの)』




 なんだと!?

 もうそこまで進行していたのか。

 つまり赤ちゃんが、親の表情やら声音やらで何となく理解しているあの状態か。

 ビッチの脳は、もうベイビーにまで到達していたのか。

 やばいぞ、ビッチ。

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