46 弱点
黒服の男はジョーと名乗った。
サイバーデビルの平社員&パシリ役だとか。
実は召喚士のシャルアが召喚したパペットマンに、かつらとサングラスをかけて人間のように見せているだけだった。
そして呼び出した召喚士のシャルアは、アリサを探しに行ったとゴンザから聞いた。
パペットマンのジョーはどうも話が飲み込めていない様子である。
「お客様は暗黒神様で、悪いことをするのがお仕事なことは分かりました。でもどうして悪行ptが高いのに、先ほどは戸を蹴りあけて悪党共、成敗してくれる! なんておっしゃったんですか?」
めんどくせぇ。
そもそも根本から違うし。
それに、このジョーとかいうモンスターを納得させて、俺に何の得があるんだよ。
わりとしゃべるのが好きなのか、しつこく聞いてくる。
「ところで暗黒神様。
さきほどアイテムボックスに抹消したいゴミが一体あるとおっしゃいましたが、あれはもしかして偽計だったんですか? この会社の悪事を暴くための」
「ウソじゃねぇよ。ホントだ。俺のアイテムボックスに燃費の悪い粗大ごみが一体いる」
『ゴミゴミ言うな! だせよー!』
うるせぇ。
あんたを出したら俺がぷちっと抹殺されちまうだろうが。
さっき暴露していたし。
ジョーは首をかしげている。
「なんでそんな粗大ゴミをアイテムボックスに保管しているんですか? 取り出して捨ててしまえばいいのではないでしょうか」
「簡単に言うけどな。
そういや、お前らモンスターもアイテムボックスがあるのか?」
「はい。ございます」
「例えばこういう時はどうするんだ?
誤ってゴミを入れてしまった。
出したら爆発する。そうなったら巻き添えをくらう。
出したら危険。
保管しようにも、ゴミにはおしゃべり機能もあって結構うるさいんだ。それに動くこともできて、他のアイテムともすぐに喧嘩をしてよく食っちまう。もしそんなのをぶっこんだとき、いい対処法がないのか?」
「簡単ですよ」
「マジか。あるのか?」
「おしゃべり機能に、他のアイテムと喧嘩をする。察するに、おそらくそれは機械のようなものですよね?」
「機械じゃねぇけど……。まぁいいや。どうやるんだ?」
「一回リセットすればいいんです」
「そんなこと、できるのか?」
「はい。他のアイテムもすべてダメになりますが。海水とかを入れて、機能停止にまでもっていけばいいのです」
そっか。
その手があった。
おい、ビッチ。
お前は泳げるのか?
『あーん。あーん。やめてちょーだい。怖いよー』
通じる!
さすがのビッチにも、水攻めは通じるようだ。
コロシアムでビッチをこき使い、稼ぎまくった後、たらふく海水をぶち込んで浄化させてやろう。ククク。あははははは。
なんか長年の疲れと目の上のたんこぶと、一カ月続いた便秘が一気に解消された感じだぜ。
『私、犬かきしかできないよー。わんわん怖い』
そっちかよ。




