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俺のアイテムボックスに、ビッチな女の子をぶち込んでみました  作者: 弘松 涼
第一章 伝説は始まる……破壊神と創造神の物語
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17 嵐の前の静けさ

 俺のアイテムボックスに二体の神が格納された。


 ――お、俺はどうしたらいいんだ!?


 とにかく勇者を取り出さなくては。

 だが、下手をすると一緒にビッチまで出てきちまう。



 相打ちだけは避けたい。

 俺のアイテムボックスが弱体化しちまう。

 とにかく考えねば……。




 アイテムボックスの中で、熾烈な睨み合いが続いているようだ――


『スライムおいしくないよー』


『当たり前だ! スライムなんて食い物じゃない! もちろん俺もだ! よ、寄るな、ビッチ! 邪神覚醒! ぬおおおおおおお!!』



 お、おい!

 俺のアイテムボックス内で、最終戦争だけは止めてくれ!






 そして目の前では、アリサがたまげている。


「た……旅人さん。勇者ルーンベルク様は一体どこへ!?」


 アリサの視線の先は、俺の手の平。その延長線上は、ルーンベルクがさっきまでいた場所。

 見方によれば、俺が魔法で消し飛ばしたようにも見える。




「あ、いや……。その……。

 あ、そうそう、きっと転移魔法で移動したと思うよ。うん。そうだよ! 助けを求める声を聞いて、急いで駆けつけたんだよ!」



「そ、そうですよね」


 アリサは『うん、きっとそうよ。旅人さんが、まさか……』と胸に手をあてて小声で繰り返した。

 その仕草は、まるで自分を強引に納得させているかのようだった。





 数メートル離れた木陰から、何やらヒソヒソ話が聞えてくる。

 一人はゴンザのようだ。

 もう一人はゴンザの仲間である腕利きの召喚士なのだろうか。


 きっと二人は、俺の実力を確認する為にずっとつけていたのだろう。



「あの旅人、勇者ルーンベルクではないようだな。そうと分かれば、あいつは用無しか。さてどうする、シャルア?」


「お、おい。違うぞ、ゴンザ」


「何が?」


「あれは転移魔法なんかではない。それを証拠に、今、勇者ルーンベルクの生命エネルギーが完全に地上から消えた」


「マジか!?

 キメラをたった一撃で倒したルーンベルクを、旅人はこれまた一瞬で倒しやがった……。そういう事なのか!?」


「あぁ。そうだ。勇者ルーンベルクに勝てる奴なんて存在しねぇと思っていたが、いやがった。あの者は、恐らく最強だ」


「……ゲェ! ど、どうしよぅ……

 最強の旅人様に、俺はお魚のお骨を食わしてしまった。

 そ、そ、それだけじゃないんだ。

 割れたお皿まで片付けさせたし……おつかいまで頼んじまった……。

 ……ま、俺なんて小物、相手にしないわな……。あははは」



「ゴンザ! 

 お前、そんな事をしたのか?

 やばいぞ。

 だって、あいつ、

 助けてくれた正義の勇者を、躊躇なく抹殺しやがったんだぞ!?

 きっと獲物を横取りされただけで、イラっときて殺したに違いない。

 あいつは限りなく悪だ」


「なんと!」


「おい、おちつけ。気を失うな!

 帰ってきたら盛大にご機嫌を取ろう。

 な~に。悪とハサミは使いようって言うじゃねぇか。俺に考えがある」


「た、頼む……シャルア。

 俺はもう、頭が真っ白になっちまって、何も考える事ができねぇ……」

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