謎丼
徹夜仕事のてつやあけ
朝の5時
今日は休みだ
あとは帰って寝るだけだ
いつもと違うルートを歩いてみた
いつの間にか知らない店が出来ていた。
丼物屋だ。
早速入って、爆睡前の朝食をとる事にする。
カウンター席に座り、注文用の冊子を開く
牛への丼
豚への丼
鳥への丼
そして
謎への丼
なんだこれは?
俺はそう思って、早朝からいるであろうバイトに肉の種類を聞いてみた。
「…さぁ?聞いてませんが、問題ない肉だそうです…」
バイトは答えをはぐらかす
「じゃあ、牛への丼を」
俺は無難な選択をした。
後日
乗せられたトラックの荷台から見下ろした先に、例の店が見えた。
だが、看板を残して店はすでに閉まっていた。
耳に開けられた穴の痛みが、トラックが揺れると共に何度も蘇る。
トラックの横には「製肉店」の名が書かれていた。
謎丼の答えは永遠に失われた
多分、提供できない名前を持ってた肉なのだろう
俺の外見はいつの間にか牛になっていた。
こんなことなら鳥丼を食べておけばよかったと後悔した
わかってても謎丼は頼めないだろう
あれを食べていたら、俺はまだ人間で居られただろうか…
いや、あれはきっと人間が食べるものじゃない
注文を見て俺の本能が悲鳴を上げていたからだ。
あれは、ニンゲンの姿をしたニンゲンが食べればいい…。
俺は、逃げもせずに中途半端に注文したことを、後悔した…。