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kyasuvl pafect ~それはきっとDream~

 

『キッチン、作成開始』


 その場に彼女の声が響いた。

 真っ暗な空気が、彼女の中心に集まっている感じがした。

 ここは、夜のトンネルだ。だから言葉が響いたのだろうが、さっきの言葉はトンネルの中の響きとは少し違う感じがした。

「‥‥‥どうする、今なら()れるが」

 俺が連れてきた『仲間』だ。低く、小さい声で俺の耳元にささやいた。『仲間』には、俺によく質問してくる『カンブ』、ムキムキの筋肉を持ち、潜入作戦に似合わない大きい体つきのに何回も成功した、ある意味変人な『ガタイ』、最近このチームに入った、なよなよな『新人』の三人だ。今質問したやつは『カンブ』だろう。

 俺は、このチームの『リーダー』だ。決定権は、俺が持っている。

 覚悟を決めた。

「‥‥‥よし、準備をしろ。俺が合図したら、撃て」

「わかった」

 俺の後ろで彼が、他の『仲間』に命令をしていた。俺以外の全員が(ふところ)から拳銃を取り出す。

 その大きさは、二リットルのペットボトルとほぼ同じだ。すっぽり入るだろう。

 ‥‥‥実際に試してみたから分かる。暇なときにしてみた。

 

 と。


 彼女が動いた。

 ゆっくりと顔をあげ、こちらを向いたのだ。

 笑っている。

 まるで仮面をはめたような、感情のない笑顔。ただの笑い声なのに、トンネルの中で声が反射し、不気味さが増した。

 そして言った。


『作成完了、起動‥‥‥完了』


 彼女が言ったその時、銃声が響いた。

『仲間』が、誤って発砲してしまったのだ。撃った彼―――『新人』はこのチームで一番若い。

 しまった。

 俺としたことが。恐怖を克服する訓練をさせておけばよかった。

「おい!まだ合図してないぞ!」

 大声を出す。しかし、発砲したチームの『新人』は聞いていないようで、驚きの顔で撃った先を指さしている。

 指がさす方をゆっくりと辿ってみた。

 見た。

 目が合う。

 誰と?


 もちろん、彼女とだ。


 彼女から血は出ていない。

 そして、彼女の手には、光る、指先ほどの物体があった。

 そう、

 拳銃の弾だ。


「うわぁぁぁあああ!?」

 そう言ったのは誰だったか。チームの、俺以外の全員が撃ち始めた。

「待て!」

 叫んだが、銃声で聞こえないだろう。

 彼女の足元に銃弾が溜まる。

 同時に、『仲間』の拳銃の弾倉(マガジン) が減る。

 ついに、『仲間』の弾倉がなくなった。

「じゃあこちらの番ね」

 そう言ったのは彼女だ。

 そうして、息を吸った。

 軽く。

()ずはそのなよなよした若い子の存在を『食べる』わ」 そう言った瞬間、

『新人』が消えた。

 音もなく消え、そして『新人』の悲鳴だけが聞こえた。

  あとは、俺と『カンブ』と『ガタイ』だけが残った。


 ‥‥‥、ヤバい。


「逃げるぞ!」

 そう言って走ろうとする。

 しかし、走れない。

 まさか‥‥‥。

「あなたたちの脚力を『食べた』わ」

 勝手に足が座り込んでしまった。力が入らない。

「くそっ!」

 叫び、『仲間』を見た。いや、仲間がいた空間を見た。

 『仲間』は、いなかった。

「『食べた』わ」

 俺は、ズボンの裏に隠し持っていたナイフを彼女めがけて投げた。

 ナイフは、まっすぐ飛んでいき、彼女の腹に刺さる‥‥‥、ことなく、プニっと音を立て地面に落ちた。

「今のは‥‥‥」

「ナイフの<(するど)さ>を『食べた』わ」

 そんなの無茶苦茶だ!

「最後はあなたね、どう調理してやろうかしら」

 早く逃げたいのに足に力が入らない。

 多分、脚力を『食べ』られたとしても、恐怖で足は動かなかっただろう。

 彼女の顔が近づく。

 まだ、笑顔だった。不気味な、笑顔。モナリザの向かい側にこの顔を置いたら、きっとモナリザはしかめっ面をするだろう。

 すると、彼女は不思議なことをしだした。

 彼女は、自分の(あご)を親指と人差し指でつまんだ。そのままグイッと上に持ち上げた。

 何を持ち上げた?


 そう、仮面だ。


 彼女は、その仮面をポイッと、俺の足元に投げた。

 仮面は、先程の不気味な笑顔を浮かべていた。まるでピエロのようだ。

 俺は、元々仮面があった場所、つまり、彼女の顔を見た。

 そこには、笑顔は無かった。怒った顔も、悲しんだ顔も無かった。


 つまり、顔が無かった。


「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ぉ、ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおぉぉぉぉぉおおおおおお化け?」

「‥‥‥」

 無口で答えが帰ってきた。というか、彼女を見る限りホントに『無口』である。本来、顔があるはずの場所には、口どころか、顔までもが無いのだから。

 では、一体どこから声が出ていたのだ?

 そう思っていた。

 思っていたから、気付かなかった。


 ドサッ。


 音がした。彼女からだ。

「‥‥‥」

 まあ、あれだ。俺は絶句した。

 何故か。

 例えるなら、『マトリョーシカ』と言えばいいのか。

 彼女の胴体が、地面に落ちていた。血は出ていなかった。その中には、小学生(ぐらい)の小さい女の子がいた。

 ちゃんと顔はあった。

 足は、大人のサイズのままなので、アンバランスすぎる。

 ヒョコヒョコとこちらに来た。俺は逃げたかった。が、脚力を『食べ』られたので動かない。

 少女は、あと少し顔を動かしたらキスできそうな距離まで来た。


 いや、キスした。


「‥‥‥」

 こ、こいつ‥‥‥。

 俺は思いっきり少女を蹴り飛ばした。

「何すんじゃボケエエエエエェェェェェェェェ!!!!!」

 吹っ飛ばされたからなのか、大人のサイズの足(?)が取れていた。転がっている足、ある意味恐怖だ。

「もぉ~~~何よ?」

 声がした。先程の笑い声を発した口から出た声とは思えなかった。小学生のような、陽気な声だった。

「よっこらせ‥‥‥っと」

 ヒョコっと起き上がった少女。ワンピースと言うのだろうか、足がスッポリ隠れるまで長いスカートだった。その服が黒いので見づらい。さらには靴も黒い顔だけが浮いてるように見える。

 その暗さとは裏腹に、目の色は水色だった。

 恐怖の女の服装とあまり変わりはないが、雰囲気は明るくなった。

「ふぅ」

 一息ついたのは、恐怖の女ではなく、小さい子供だ。

「いいじゃない、『KP(ヴァルクプファー)』があるのかどうか知りたかったし」

「ばるくぷはー?」

ばるくぷはーって何だ?

「それに‥‥‥」

「何だよ」

「‥‥‥い、言わないっ」

 暗闇の中でも分かるぐらいに、顔が赤くなる。何だこいつ。

「そろそろ時間ね。じゃあ最後に」

 小さな女の子は、小さい口を空け、言った。


「あなたの‥‥‥を『食べる』わね」


 その時、俺は聞こえなかった。急激に眠たくなった。


 そして‥‥‥。








 朝 7時半 ベッド


 俺は




 俺は、夢から覚めた。

どうも、五月雨度巳です。


私、『神とあなたがいる世界』という小説を書いております。是非、そちらもどうぞ。

今回、読み終わって『夢オチかよっ』ってつっこまれた方も多いかもしれません。

が、

実はウフフフフフフフフフフフフフフ。

という訳なんですっ!!!!!

分かんないって?

まあ、続きをお楽しみに。


この小説を読んでくださった皆様、ありがとうございます。

読んでくださった皆様に幸運を。

それでは。



新作登場で、血祭りじゃあ!!!!!

(意味不明)


五月雨度巳(たくみ)

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