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第六十六話 日暮れの遭遇

 旅行は人の本性が出るらしい。ウロです。溢れ出るわたしの本性とは? ……ウップ。


 実は、秘かに2日目へと突入している馬車の旅。


 1日目は、馬車酔いに加えて予想外の塩漬け祭り開催の予感に、だいぶゲンナリしてしまいました。


 なもんで、駅宿に着いた頃にはすでにボロボロ状態。


 食事なんて、とても喉を通る訳も無く。せめて、寒さと冷や汗を何とかしたかったわたしは、お風呂だけ頂いて早々にベッドに潜り込んでしまいました。


 そのせいか、今日は心なしか身体が軽い。景色を楽しむ余裕すらあるアリサマです。ウヒヒ。


 王都から丸1日以上移動した事もあって、見える物もだいぶ違って来ている。


 森が切れ、代わりに平原が遠くまで続く様になった。

 その上を、王都付近では考えられないくらいのデコボコ道が延びている。これなら、イムルの村へと続く私道の方がなだらかかも知れない。


 そんなデコボコ道の遥か先に、目的地のダングルド山が悠然とそびえ立っている。


 また、たまにすれ違う旅の商人たちは、山越えをして来た者もいたりして。

 共通語だけれど訛りがひどくて、メニューから字幕を設定しないといけない程でビビった。


 ……ふと。

 こうして長距離を移動する度に、ここがわたしの知ってるゲームとは似ているけれどまったく違う世界なのだと思い知らされる。


 ゲームだった頃なら、ダングルド山麓まで走って1時間くらいだったかな?

 もっとも、ゲーム内では2時間で1日だから半日かかってる事になるのだけれど。


 また、移動には『貸し馬』を使うのが普通だったから、山までなら20分かからなかったと記憶している。


 そう考えると、やっぱりここは異世界で、ゲームだった頃とはずいぶんと違ってる所があるなあ。などと考えてしまう。貸し馬も無くなってたし。


 ……まあ、目的地に着いたら乗り捨てで、乗り捨てられた馬はどこぞへと帰って行く仕様なんて、無くて当たり前なのだけれど。


「どうした、お嬢ちゃん。悩み事か?」


「うおっ!?」


 不意に声をかけられて、変な声が出た。


 声の主はヘンニーさんだった。

 馬車の後ろを歩きながら、護衛の任務を果たしている。


「べ、別に悩んでないですよ?」


「ハハハッ。まあ、あんまり気にするな。お嬢ちゃんも大人になりゃあ、少しはデカくなるだろうよ!」


 そう言って、大きな手でわたしの頭をクシャクシャと撫でたヘンニーさんは、その手をヒラヒラと振りながら前の方へと歩いて行ってしまった。


 むう。

 デカくなるって、何の話しだろ?

 何だか、頭が理解するのを拒否してるみたいだけれど気づかない事にしました。


 そう言えば、今回の旅について仲間のステータスを確認してなかったっけ。


 仲間の強さも解らなくては、もしもの時に守ってもらう事も出来やしません!


 ……どれどれ~。



 名前 ヘンニー(悪名 懸賞金 300金貨)


 種族 人間 男

 職業 戦士Lv10 / 暗殺者Lv5


 器用 23

 敏捷 28

 知力 22

 筋力 48

 HP 77

 MP 21


 スキル


 共通語

 武勇


 格闘 Lv3

 剣の扱い Lv6


 剣技 Lv6


 突き

 薙ぎ払い


 ディザーム


 暗殺 Lv3


 隠密

 暗視



 ……えっ?

 あ、暗殺者? しかも、賞金首!?


 わたしは、慌てて先頭を歩くダムドさんのステータスを確認する。



 名前 ダムド(悪名 懸賞金 200金貨)


 種族 人間 男

 職業 盗賊 Lv10 / 暗殺者Lv4


 器用 29

 敏捷 32

 知力 27

 筋力 33

 HP 59

 MP 35


 スキル


 共通語

 武勇

 追跡 Lv5


 格闘 Lv3

 剣の扱い Lv3



 剣技 Lv6


 突き

 薙ぎ払い


 ディザーム

 カウンター



 暗殺 Lv3


 隠密

 暗視

 軽業

 危機感知




 ふぉおおおっ!!


 ふ、2人とも『暗殺者』なんですけれど!?


 暗殺者アサシンは、ゲームだった頃にもあったジョブの1つ。

 盗賊の上位職の様な位置にあって、探索にも戦闘にも便利なスキルが揃っている人気のジョブだった。


 ただし、ジョブを取得するには専用のクエストをクリアする必要があり、その難易度の高さと、ジョブ取得後に漏れなく付いてくる『悪名』のステータスがかなり厄介だった。


 悪名が付くと、まず、街に入れなくなる。

 入った途端、衛兵が飛んできて捕まってしまう。

 抵抗すれば戦闘になり、負ければ監獄行き。勝てば、悪名が高まって賞金がかけられてしまう。


 ジョブを替えれば、一時的に悪名のステータスは消えるのだけれど、ジョブを替える事の出来るセーブハウスは街の中にしか無い。

 それに、せっかく取得したジョブが使えない不具合ですよ。


 この状態を脱却するには、暗殺者クエストの最終試練『裏切り』をクリアしなければならない。


 暗殺者専用シナリオは、進めて行く事で、組織の仲間たちと数々の危機を乗り越えて行く必要が出てくる。

 助け合いながら信頼を深め合ったその結末は、組織の壊滅と言う鬼仕様。


 これを成し遂げれば、暗殺者のジョブを残しつつ悪名だけを消す事が出来るのである。


 わたしは、この仕様が怖くってジョブは取得したけれど育ててはいない。

 チームの1人が暗殺者になった時、賞金目当てのプレイヤーにあんまり狩られ続けるので、みんなで護衛しながらレベル上げした懐かしい思い出。


 くどい様だけれど、ここは異世界だし。ゲームとはだいぶ変わっている。

 だから、2人がわたしの知ってる暗殺者かどうかは解らないけれど。ぬう。


 ま、まあ、ジョブが暗殺者なだけだし。

 現に、わたしたちは誰も殺されてないしね。


 き、気を取り直して、今度はアルバートたちのステータスを確認。馬車の中を見渡します。



 名前 アルバート・タヴィルスタン


 種族 人間 男

 職業 王子 Lv8 / 妖術師 Lv1


 器用 16

 敏捷 20

 知力 21

 筋力 26

 HP 38

 MP 25


 スキル


 共通語

 礼儀

 武勇

 カリスマ


 格闘 Lv1

 剣の扱い Lv1

 槍の扱い Lv1


 剣技 Lv1


 突き

 薙ぎ払い



 魔界魔法 Lv1




 名前 ジーナ・ティモシー

 種族 人間 女

 職業 商人 Lv5 / 妖術師Lv1



 器用 15

 敏捷 18

 知力 22

 筋力 9

 HP 20

 MP 29


 スキル


 共通語

 古代語


 交渉 Lv3

 鑑定 Lv3



 魔界魔法 Lv1




 名前 エセル


 種族 人間 男

 職業 近衛騎士 Lv13


 器用 20

 敏捷 36

 知力 28

 筋力 46

 HP 82

 MP 33


 スキル


 共通語

 礼儀

 武勇


 格闘 Lv5

 剣の扱い Lv9

 槍の扱い Lv5


 剣技 Lv8


 突き

 薙ぎ払い


 ディザーム

 渾身の一撃(剣使用時のみ)

 武器破壊(剣使用時のみ)




 名前 ニードルス・スレイル (状態異常:貧血)


 種族 エルフ 男

 職業 付与魔術師 Lv11 / 妖術師Lv1


 器用 12

 敏捷 13

 知力 23

 筋力 11

 HP 36

 MP 48


 スキル


 共通語

 古代語

 エルフ語


 錬金術 Lv15

 鑑定 Lv5

 薬学 Lv2

 裁縫 Lv1


 付与魔法 Lv8

 魔界魔法 Lv1

 生活魔法 Lv2



 ……え、えーと。

 イロイロありすぎて、どこから処理すれば良いのか解りませんよ!


 じ、ジーナは普通みたいね。

 でも、中学生くらいで商人レベル5ってスゴイのかな? などと。


 ……さて、現実を見ましょうか。


 アルバートなんですけれどね。


 まず、名前が違うじゃん!

 ローウェルじゃなかったっけな?

 そして、タヴィルスタンって王家のお名前だったと思うゲームの記憶。


「ウロや、もっと世界設定や公式マニュアルを良く読みなさい!」


 チームの先輩方の言葉が、今頃になって効いてきた気がします。後悔、先に立たズーン。


 更に、ジョブの『王子』ってナニ!?


 王子なの?

 王子って職業だったの??

 王子だとしたら、何してんのよ!?


 そう言えば、前に「兄弟で9番目」とか言ってた気がするけれど。


 む、むう。

 タヴィルスタン王って、結構なお爺ちゃんだった様な。スゲェ。


 続けて、エセル。


 職業『近衛騎士』って!


 なるほど、王子様付の護衛騎士なのですね。


 あれ?

 だとしたら、何で連れて来た冒険者が揃って暗殺者なの!?


 まさか、今回の旅の間に王子を!?


 ……いや、それは無いと思う。

 だってあの2人、言葉使いや立ち居振舞いは主従関係だけれど、ふとした瞬間のソレは、まるで兄弟みたいだもん。


 で、でも、一応気をつけておこうかな? はふう。


 最後に、ニードルスです。


 基本的には、わたしの知ってるニードルスだと思います。


 が、何この『状態異常:貧血』って??


 わたしのステータスには、『状態異常:乗り物酔い』があるけれど。貧血って。


「に、ニードルス?」


「……」


 わたしの呼びかけに、宙を見詰めて無反応なニードルス。

 良く見たら、貧血らしく顔色真っ青なのに、何だかほっぺだけ赤い気がする。


「ニードルスくん!?」


「ふあ!?」


 間の抜けた声と共に、我に返ったニードルス。だけれど、どこか上の空な雰囲気だよ。


「大丈夫、ニードルス?」


「だ、大丈夫ですよ。ウロさんじゃあないんですから、馬車に酔った……ブフッ!!」


 ギニャー!!

 ニードルスが鼻血を吹き出した!!


「に、ニードルスくん!?」


「キャーッ、ニードルスさん!?」


 慌てるわたしとジーナ。


「ほほう、エルフは馬車に酔うと鼻血を出すのか。興味深いな!」


「アルバート様、鼻血など珍しくもありません。ご要望があれば、私がいつでも見せてさしあけますよ?」


 サラッと変な事を言うエセル。やっぱり怖いよ。


「だ、大丈夫です。大丈夫……」


 鼻血をダクダク流しながら、虚ろに呟くニードルス。だけれど、その顔は幸せそうで何故かムカツク!


 多少のドタバタはあったものの、馬車の旅は滞り無く進んで行きました。


 それに最初に気づいたのは、恐らくはダムドだったと思われる。


 すっかり陽の暮れた頃、馬車は急に歩みを緩め始めた。


「何だ? 何ご……」


 アルバートの声を、エセルが手を挙げて制した。


「……何か、声が聞こえます」


 目の下に隈を作って、ニードルスが呟いた。


 その直後、馬車の後幕が開いてヘンニーが顔を覗かせた。


「旦那、来てくれ。ダムドの奴が、魔物の声が聞こえると言ってる!」


「解った、直ぐに行く。

 アルバート様、ウロ様。馬車の中をお願いします。私たちに何かあった場合、即座にお逃げください!」


 そう言ったエセルは、スクと立ち上がる。

 外套を外し、黒色の革鎧が露出した。

 つや消しで解りにくいけれど、鎧の表面に丸いボタンみたいな物が見て取れた。て事は、スタデッドレザーかな?


「解った。気をつけてな!」


 エセルの背中に、アルバートが声をかける。

 馬車から飛び出して行く瞬間、エセルの横顔が見えたけれど。飛び切りの笑顔だった。こ、怖いよう!


 気を取り直して、わたしも剣を用意しつつニードルスに確認。


「ニードルスくん、何が聞こえるの?」


「……何かの悲鳴みたいです。女性か子供でしょうか、何と言ってるかまでは解りませんが」


 わたしの問いに、ニードルスは少し目を閉じていたけれど、ゆっくりと目を開けて答えた。


「ジーナちゃん、聞こえる?」


 わたしの言葉に、ジーナは無言で首を横に振った。


 むう、腐ってもエルフ。

 伊達に長い耳してないね!


 とは言え、既に陽が暮れて辺りは真っ暗。

 平原は終わり、高低差のある山道に入りつつある現状、女性か子供が魔物に襲われていたとしても見つけるのは難しいかも知れない。


 下手に捜索に出れば、今度はわたしたちが危なくなる恐れすらある。


 ゆっくりと進む馬車の、きしむ音がやけに大きく聞こえる。


 剣を抱えるわたしの腕に、ジーナがしがみついている。少しだけ震えているみたいだよ。


「大丈夫だよ、ジーナちゃん。いざとなったら、守ってあげるからね?」


「う、うん!」


 コクコクとうなずくジーナの目には、少しだけ涙が溜まっている様だった。


「……ウロさん、私もお願いします。まだ、頭がクラクラするんです」


「……あいあい」


 青白い顔で、だけれど、マーシュさんから貰った杖を握り締めたニードルス。


 根性あるじゃん!? などと。やや上から目線。


 その時、馬車の後幕が跳ね上がった。同時にエセルが現れる。び、ビビってねーし!


「この先に灯りが見えました。先行したダムドが村を確認しました。

 ダムドが言うには、声は村の中から聞こえる様です」


「良し、行こう。

 灯りがあるなら、人がいるだろう。必要なら、加勢しろ!」


「ハッ!!」


 うおい!?

 などと思う間も無く、エセルが去って行く。

 馬車も、少しだけ速度が上がったみたいだった。


「ちょっと、アルバートくん?

 何がいるか解らないのに、何を考えてるの!?」


「大丈夫だよ、ウロくん。

 エセルが否定しなかったのだから、我々に危険はあり得ない。

 それに、エセルはそこいらの戦士など問題にならんくらいに強いからな!」


 腕を組み、ウンウンとうなずくアルバート。

 確かに、エセルは強いけれど。ぬう。


 馬車が速度を上げて直ぐ、わたしの耳にも何かが聞こえて来るのが解った。

 それは、ジーナも同じ様だった。


「聞こえる!」


「あ、あたしにも聞こえます! これって、女の子!?」


 それは、確かに悲鳴だった。

 女性と言うより、女の子と表現した方がしっくり来るみたいな。

 何だか、やたら綺麗な声に感じる。


 それがハッキリと聞こえる様になったのは、馬車が村に到着する直前の事だった。


「……何、これ?」


「これは、人でしょうか?」


 ジーナとニードルスが、明らかに動揺している。


 それは、叫び声には違い無いのだけれど。

 人とは思えない、もしくは、発声器官に異常がある様な声だった。


 少女の様な幼さを含んだ声だけれど、まるで動物の鳴き声のみたいな絶叫。

 にも関わらず、その声は歌声の様に美しい。


 その矛盾が、2人に恐怖を与えているのだと思う。


 わたしはと言えば、動揺と言うより困惑していた。


 叫び声が聞こえる度、切り忘れた字幕が、絶叫を見事に翻訳しているからだったり。


「……助けて? ここから、出して?」


 確かに、この絶叫はそう言っている。


「……ウロさん!?」


「まさか、また解るんじゃありませんよね?」


 ジーナが困惑し、ニードルスがため息を吐く。


「……うん、解っちゃたよ。どうしよう?」


「どうしよう? じゃあ、ありませんよ。解るなら、調べるべきでしょう!」


 ……言うと思った。はふう。


 いつの間にか停まっていた馬車から、わたしたちは外に出た。


「アルバート様!」


 エセルが、慌てた様子で近づいて来る。


「どうした? 何事だったのだ?」


「アルバート様、ハーピィです。ハーピィがいました!」


 おおう。

 どうやら、声の正体はハーピィだったみたいだよ。


 エセルの話しによると、村に馬車が着くなり、村人が群がって来たらしい。

 そして、「あんたら冒険者だろ? だったら、アレを何とかくれ!!」と騒いでいるのだとか。


「それで、ヘンニーとダムドが村人を押さえているのだな? ならば、我々も行こう!」


 そう言って、颯爽と歩き出すアルバート。

 それを先導する様に、エセルが前を行った。


「私たちも行きましょう」


「うん」


「あい」


 人だかりが出来ているお陰で、迷う心配は無かった。


 村の中央らしき広場に篝火が焚かれ、周囲を明るく照らしている。

 その只中に、鉄の檻があった。


 村人とヘンニーたちが、何やら値段交渉をしている。


 その横をすり抜けて、わたしたちは檻の前へと進んだ。


「……これが、ハーピィ?」


「ハーピィの子供ですね。実物は、初めて見ました!」


 ジーナとニードルスが、驚きの声を上げる。


 それは、確かにハーピィだった。


 少女の顔と人の上半身。

 ただし、両の腕は巨大な翼になっている。

 下半身は、腰から下が羽毛に覆われており、ふくらはぎから先は、鷲を思わせる様な鳥の足だ。


 頭や胸にも羽毛があって、一見すると髪の毛やワンピースの水着の様だった。


 見下ろすわたしたちの顔を、大粒の涙を溜めた瞳で睨む様に見上げている。


「村の連中は、俺たちにこいつを殺せって言って来てる」


「なのに、死体は渡せねえとか抜かしやがる。話しににもなりゃしねえ。

 たかが、魔物のガキじゃねーか。テメーらで殺りやがれってんだ!」


 村人との交渉が決裂したらしく、ヤレヤレと言った表情でヘンニーとダムドがやって来た。


 2人の姿を見て、ハーピィは再び騒ぎ始めた。

 同時に、村人たちも騒ぎ始める。


「ギャギャッ! ギャーギャーッ!!」


「また、暴れ出した! あんたら、早くコイツを殺してくれ!! もう、3日も夜通しこの調子なんだ」


 ぬう。

 殺すのは、きっと簡単なんだと思う。


 〝村を守る〟って観点からなら、必要な事かも知れない。


 そうじゃなくても、最終的には、ヘンニーかダムドのどちらかがするだろうし。……わたしがやらなくてもね。


 でも、まずは調べなくちゃですよ。


 わたしは、メニューから言語を翻訳に設定する。

 途端に、ハーピィの叫び声が言葉に変化した。


「ギャギャ……助けて! ここから出して!!

 どうして、誰も話を聞いてくれないの? このままじゃあ、姉さんたちが!!」


 翻訳成功!

 やっぱり訳アリでしたよ。


「大丈夫、落ち着いて。

 わたしが話を聞くから、詳しく話して?」


 ハーピィの目が、カッと見開いた。

 同時に、みんなや村人たちが絶句する。


「こ、言葉が解るの!? 話、聞いてくれるの!?」


「解るよ、聞くよ! だから、落ち着いて?」


「良かった。やっと、話を聞いて……」


 見開いた目から、大粒の涙をボロボロ溢したハーピィは、安堵の表情のまま、崩れる様に眠り込んでしまう。


 きっと、安心したせいで緊張の糸が切れたって感じだろうか?


「この子、何か話があるみたい。ニードルスくん、どこか休める所へ運びたいのだけれど?」


 わたしの言葉に、小さくため息を吐いたニードルス。


「ハーピィの言葉まで解るのですね。

 もう、驚くのも疲れますよ。皆に話して、どこか落ち着ける場所に行きましょう」


 この夜、わたしたちはハーピィの子を保護する事が出来た。


 わたしの説得はダメだったけれど、ジーナの「もう、ティモシー商会はこの村に立ち寄らない!」の一言で。やるね、ジーナ。


 みんなビックリしたりでイロイロ聞いてきたりしたけれど、わたしとニードルスは、この子の目が覚めた時に始まるだろう出来事に、不安しか抱けずにいたりするのでした。

名前 ウロ(状態異常 乗り物酔い:弱)


種族 人間 女

職業 召喚士 Lv9



器用 22

敏捷 29

知力 48

筋力 26

HP 29/36

MP 44/52


スキル


ヴァルキリーの祝福


知識の探求

召喚士の瞳 Lv2

共通語


錬金術 Lv30

博学 Lv2

採取(解体) Lv1


魔法


召喚魔法


《ビーストテイマー》


コール ワイルドバニー


《パペットマスター》


コール ストーンゴーレム(サイズS)


《アーセナル》


コール カールスナウト



魔界魔法 Lv1


魔法の矢




生活魔法


灯り

種火

清水

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