第十七．五話 夢の中にて
夢見てるなう。ウロです。たぶん。かなりたぶん。
気がついたら、何やら白い世界にいました。
空も、地面も白い。
真っ白って言うよりは、少しだけ灰色みたいな？
黒いってゆーより暗い気味？
……えと、何してたんだっけな？
おぼろ気な記憶をたどるけれど、ぼんやりしてて思い出せない。
てゆーか、ここドコ？？
……おお、そうじゃ！！
わたしは、自分の左手の平を見た。
「うん、ある。これは夢だ！」
そう、わたしは確信する。
小さい頃から、〝夢の中で自由に動きたい！〟と思っていた。
でも、どうしても出来なくって、フワフワした気分で目覚める事が多かった。
ある時、わたしはお姉ちゃんに、夢か現実かを確認するキッカケの作り方を教えてもらった事がある。
「何か、約束を決めておくと良いよ？」
なるほど！
わたしは、〝自分の左手の平を見る〟を決めた。
わたしの左手には、手の平に小さいけれどホクロがある。
だから、これを確認したら夢かどうか気がつくためのキッカケになる。
でも、今は見ただけで判るよ。
今のわたしは、ウロの身体だからね。
イマージュ・オンラインを始める時、必ずキャラクターメイキングをする。
わたしは最初、デフォルトでキャラを作ってみた。
デフォルトだと、プレイヤーの見た目をそのままトレースする事になる。てゆーか、なった！
なので、デフォルトで作られたウロは、見た目にはわたしそっくりだったり。
でも、細かく見てみると違ってたりします。
顔に関しては、かなり忠実なのだけれど。
身体に関しては、大体こんな感じ？ になるらしい。
なので、ウロの左手の平にはホクロがなかった。
だから、きっと夢。たぶん。めいび～。
そんな事を考えていたら、何か〝声〟が聞こえた気がした。
誰かが、呼んでるみたい？
どこからか聞こて来る声に導かれて、不思議な空間をポチポチ歩きます。
やがて、その声の主が見えてきましたよ。
「……ヴァルキリー？」
それは、ヴァルキリーだった。
白い鎧はそのままだったけれど、兜はかぶっておらず、羽根つき帽子だった。
おかげで、兜に隠されていた顔が今はハッキリと見える。
……やっぱり、ため息が出る様な綺麗な顔だよ。
何となく薄暗いこの場所で、まるで、スポットライトでも当たっているかの様な存在感だった。
「よく来ました。ウロ」
うおっ、なんか口調が違う！？
「今日は導き手では無く、我が主の使いなのです」
……なるほど、上司の前では気味なのですね？
「……ウロ、貴女は見事、我が試練を乗り越えました。
我が主、戦いの神エルダの御名において貴女に私の祝福を授けます。……さあ、ひざまずきなさい！」
イロイロ思う所はあるけれど、まずは祝福をもらわなくちゃですよ。かなり切実だし超絶大変だったんだから！！
わたしがひざまずくと、ヴァルキリーは、何やら複雑な呪文の様な言葉を唱え始めた。
今は、ウロじゃないから翻訳出来ないけれど。
どのくらい時間が経っただろう。
……長くね？
ってゆーくらいに長い！
足は痺れたりしないし、疲れたりもしないのだけれど、なんか恐いんですけれど？
あと、少しずつ思い出して、何かモヤモヤしてきたし。
アレだ、後でニコルさんにイロイロ教えてあげよう！
そんな感じにぐふふ～なんて考えてましたら。
「……汝、ウロに我が祝福を授けん」
あ、終わるかな？
そう思ったのも束の間、
「……くらえ！」
ファッ！？
今、くらえって言った！？
慌てて顔を上げたわたしの眼に、満面の笑顔で巨大なハンマーを振り上げるヴァルキリーの姿があった。
「ギニャー！！」
「ホホホホ、おめでとうウロ！」
瞬間、ヴァルキリーがハンマーを振り下ろした！
ぜ、絶対ニコルさんに言いつけてやるんだからー！！
……夢の中でも、わたしの記憶は途切れたりするのでした。
名前 ウロ
種族 人間 女
職業 召喚士 Lv3
器用 11
敏捷 15
知力 36
筋力 14
ＨＰ 5/23
ＭＰ 0/34
スキル
ヴァルキリーの祝福 ← New！
知識の探求
召喚士の瞳 Lv2
共通語
錬金術 Lv30
博学 Lv１
採取(解体) Lv１
魔法
召喚魔法
《ビーストテイマー》
コール ワイルドバニー
生活魔法
灯り
種火
清水
