似た者同士は引かれ合う
気が付いたら現実のクリスマスが近づいてます。
今年は何して過ごすのでしょうか
教えて!未来の私!
12月24日 今日はクリスマス・イヴ
子供から大人まで、大体の人達は浮かれ騒ぐ
企業なんかは商戦で忙しい 飲食店も軒並み忙しい
俺の妹も目の前で忙しく動き回ってる
「いやぁ~忙しいね今日は」
何を暢気に!?と思うかもしれないけれど、俺には何もできないの
食べる事なら止められてもやりますが、自分で作るなんて出来ません。
「やっぱりお菓子は食べる側だよね」
カウンターに座り色とりどりの金平糖を頬張る。ピンクが多いね
ドガンッ カウンターのテーブル、つまりは俺の目の前に急に箱が降ってきた
「お菓子なんか食べる暇あったら手伝ってよ!!あと私にも頂戴!」
俺の金平糖をブン取ると妹はホールの中に消えて行った
「怒るかお菓子を取るかどっちか一つにして欲しいよね」
側面に大きく「クリスマス」と書かれた箱を開け
渋々パーティーグッズを取り出す
キラキラした飾りが手品のように出てくる
クリスマスツリーに巻きつけるモールを引っ張り出しているのだが、
...いつまで経っても全部出ないんですけど!?どうなってるのこれ!!
「なっが!ナニコレこんなに長いんだっけ!?ねぇ、チョット、カリン!」
「うるっさいなぁ!飾り付け位黙ってできなっが!何それ!!」
御柱駅裏にある飲食スペース提供店「那to諾」
料理と片付けは自分達で!場所だけ貸しますよ!
っていう体の一風変わったお店である。
お菓子好きで「お菓子が最強だ」と言い張る店主『十路 和恭』
ひたすらにお菓子を求める兄の愚行を見守りながらも、
結局は自分も一緒になって食べてしまう妹の『十路 花梨』
はてさて、先程まで槍の先端のように鋭かった妹君の目つきは
彼女の怒りと共に箱の中に吸い込まれ、
代わりに驚きと好奇心が与えられましたとさ
時刻は14時30分
彼等は気付いてなかったけど、予約客が来るまであと30分を切っていた
御柱駅西口:駅ビル前 14時43分
忙しく動き回り、この数十分でだいぶ人も入れ替わったに違いない
なのに動かない三人がいた
酔っ払いに絡まれ、嘔吐し、ナンパに間違えられる
という奇跡に近い三連撃を起こした三人である
「来ないね」
「待ちくたびれた」
「もう置いていこうか」
待ち合わせ時間から大きく遅れ43分
43分あれば何ができただろうか、ゲームセンターで格ゲーか、
本屋で小説類を物色、ウィンドウショッピングだって出来たに違いない
「ゲーセン行ってきてイイすか」
携帯をいじるのにも飽いたのか、少年は背の高いメガネに単独行動を希望する
「...覚めた」
メガネの横でチェック柄のハンチング帽を被った女性が何か呟いた
頭の上に?を出す男性陣
「テッサは酔いが覚めたぞォー!!」
急にあげられた鈎壘轍叉の雄叫びに、
ドロップキックですら反応しなかった駅構内の人々がバッと振り向く
轍「!?なんで皆こっち見てんの!!?」
男性陣は脊髄反射と以心伝心で即座に決めた!他人のふりをしよう!
「ねぇモクヤ、遅刻組来たら何か罰ゲームを与えないかい?」
睦「いいですね!何がいいですかね」
轍「ネェネェ、モクヤとネコちゃん何の話してるの?」
雄叫びをあげ終えた轍叉は自分に背を向けて話し込んでいる二人に気がついた
睦「ヤバイ!予想以上に早かった!雄叫びモード終わるの早い!」
寝「振り向いたら負けだ。目を合わせても負けだ。」
睦「エェ!?辛いですよそんなの!だって酒臭い息かかってるもの!」
寝「それ、酒抜けてないじゃないか...」
轍「酷いよ!仲間はずれはやめようよ!」
強引に二人の間に割り込んでくるテッサ
これはもう腹を括るしかない。そう思い、ネコは「いいかいテッ」
睦「急に雄叫びを上げる獣に知り合いはいない!」
モクヤに先を越されてしまった
テッサは自分が獣だと言われたことに気づくまで表情はまだ明るい方だった
影が差し始める頃に、ネコは少し距離を置いた
そして小声で「ガードは低めをオススメするよ」
睦「へ?...ゴッ」
テッサのか細い左腕がモクヤの腹部に突き刺さる
後ろに仰け反るモクヤの頭をすかさず右手で押さえ付け、
膝蹴りをかます
睦「ゲホッゴホッ」
突然の事に咳き込むモクヤ
轍「か弱い乙女を...馬鹿にするなぁー!!」
綺麗な回し蹴りが披露され、
寝「あだっ」
咳き込んだ時に屈んでいたモクヤの頭上を通り抜け
少し離れた位置にいたネコの右腕をかすめた
モクヤはまだ咳き込んでいるが、右手を挙げて「タンマ」と言っていた
寝「かすってこの痛さ!?驚異的だよテッサ」
轍「ご、ごめんネコちゃん」
寝「いやモクヤに謝りなよ」
睦「ゲホッゲホッ...うまぐしゃべれだい」
テッサは流石に心配になったのか、謝りながらモクヤの背中を摩っている
「すげー、見た!?今の後ろ回し蹴り見た!?」
「格ゲーでもあんま見掛けないコンボだったな」
感心するところはそこではないだろうに、少年の様に目を輝かせ
ぞろぞろと群れをなして近づいてくる人達がいた
「あ、あの」
寝「ひー、ふー、みー、よー、...」
ネコは眼下に群れる羊を数え始めた。しかし羊は動き回る
寝「ハイそこの集団動かない!」
羊の群れの動きが幾分かスローになった
そして、おずおずと一頭が前に出てくる差詰め群れのリーダーだろうか
リーダーはニット帽を被っており、他より少し身長が高めだった
「すいませんでしたァ!!」
カナトはネコに対し大きく謝罪をすると、遅刻した理由を話し始めた
叶「あ、あの、あのね、電車を間違えまして、その」
轍「もしや君はカナちゃん?」
叶「カナちゃんは止めようか!?誰ですか!?」
主にチャットやSNSでの会話しかしてない彼等は
誰が誰なのか、殆ど解らないままに各々話し始めた
睦「よぉ...ダル」
樽「ダルじゃねぇよ!
どうしたwww声が嗄れておじいちゃんみたいだぞww」
潤「おじいちゃん!?wwwおじwwwおじいwww」
睦「どうじだんじゃい?おじょうぢゃん」
潤「ふふふふふwwwww」
樽「やめたげて!その子ツボが浅いから!」
既に互いの顔を知っているタルとモクヤは
早くも笑い声を上げていた
彰「あのコンボどうやったら出せんだ?カイ判るか?」
海「さぁ?本人に聞いてみたら?」
正「え?使う気なの?できたとして使う気でいるの?」
彰「分からん。でもさ、使ってみたくね?」
正「いや...思わないよ」
海「ちょっと!聞きに行くよアキラ」
正「え!?カイ!!?」
彰&海「「格闘技っていいよな!」」
正「おい、待てってば」
自他共に認める不良のアキラと
年末辺りにやる格闘技のTV中継をこよなく愛するカイト
そもそも暴力があまり好きではないショウ
蒼「何だこのカオスな状況は...」
十人十色で話も十色 ついて行けそうな話もなければ、
初対面で馬鹿笑いができる程肝っ玉が座っているわけでもない蒼月
寝「お?その声はASHじゃないかい?」
蒼「デカイ...何食ったらそうなるんですか」
寝「んー主に乳製品かな」
ようやく声を掛けてきたのは目印役をかって出たネコ
樽「あ、巨人さん!」
寝「このちっこいのは誰の知り合い?誰か紹介してー」
樽「すいません!間違えました。大きなお兄さん」
寝「誰も知り合いがいないってことは迷子か。
ちょっと待っててね~駅員さん呼んでくるから」
樽「本気でヤメテ!!」
叶「あ、俺呼んでくるよ☆」
樽「オイこらハゲ予備軍!」
叶「失礼だな君は」
年上をちっとも敬うことのないタル
まぁネットの仲間だからそれも正しい事だと思う
寝「はいはいはーい。全員注目!場所移動するよー」
正「ちょっと待ったァー!
ハヤネが居ないよ?」
睦「あーそれはな、さっき逃げられたんだよ」
轍「だから、左腕を引っ込める時の反動で左膝を突き上げるの
重心は右手で相手の頭押さえてるから、自然に取れるでしょ?」
彰「俺、回し蹴りができねぇんだよな」
轍「コツ覚えれば簡単だよ。後で教えてやろうか?」
海「あ、私にも教えてもらえますか?」
潤「格闘家さんなのかな?」
睦「格闘技マニアだと思うぞ?
ナンパと間違われたんだよな~ネコさん」
叶「逃げ、え?ナンパ?」
寝「その話も含めて場所を一旦変えよう。
人数多くなったし、誰がどれのツレだか判らないからね
それと、そこの格闘技大好き三人組は
もう少し声を抑えなさい物騒だから」
列を成して十数名が移動していく。
中には知り合いが居ないせいか、
話すこともできない人もちらほら居たようだが...
「居ないね~ノッポ」
「...」
「やっぱりさっきのメガネの男の人が」
「ゴメンナサイ」
「よし!戻ろっか」
小動物は先程の場所に駆けて行くのだった
彰「デカイな」
海「おっきいー」
正「会ってみると確かにデカイ」
樽「だから言ったでしょ?会ったらデカイって言うって」
叶「うん。相変わらずデカイ」
寝「皆して僕を目印扱いしたり、
デカイ!おっきい!とかなんなのさ!」
蒼「乳製品ってすごいんだなぁ」
睦「ぜってぇ別の要因だってw」
轍「そんなデカイかな?」
潤「鈎壘さんもおっきいですもんね」
悠「凄いな~いいなぁ~」
瑠「ケーキ美味かった」
ロ「ホールケーキを一人で食べるのが夢です」
樽「その幻想を」
瑠「え?誰?」
樽「おい!」