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待つ者、待たせる者、誤解を生む者、奇跡に会う者達

雪が降りだした。

そろそろ集合してもいい頃なんじゃないかと、

そんな事を考えていたら酔っぱらいに絡まれた。


待っていたはずなのに、結局私が待たせることに・・・

習慣って恐ろしいなぁ


落ち込んだだけで次元を跨ぐとかwww

俺ってアブナイ状態なのかな?www


特技はドロップキック嘔吐です☆


奇跡満載

さっきまでは、チラホラとしか降っていなかった白い雪

今では大粒になり、放っておけば積もること間違いなし、

「準備する」彼女がそう言ってから

 どれほど時間が経っただろうか?オカシイ…

 「ハヤネ!遅いよ行くよ!?」

勢いよく部屋のドアを開ける 待ち受けているのは散らかった部屋

積み重なったマンガ本、

開いてはみたものの手をつけていないだろう社会の教科書、

今日着るために引っ張り出したであろう服、

そして、最奥に見えるのは盛り上がったベッド

丁度「出たくないよ~」と布団を剥がされまいとしている

冬のある日の小学生の様だ

 「全く…コラ!!起きなさいっ」

掛け布団に掴みかかる彼女の腕には

{級長}と書かれた腕章が付いている

なりたくてなったわけじゃない{級長}と言う役職

誰も手を挙げない教室、その日は大切な用事があった

帰れないよりはマシだ。と、手を挙げたのが運の尽き

担任の手伝い+代表会=大事な用事に遅刻

更にはクラスメイトから呼ばれるのは、

可愛いアダ名、などではなく

「(クラス)委員長」…どこの美少女ゲームだこら!

 「…わんしょー」

 「え?」

 「出かけるのに付けてくの??」

 「あっ」

そうだった。今日は出掛けるから付けなくていいのか…

 「いいんちょーは相変わらずおっちょこちょいだねー」

 「そういうアンタは相変わらずマイペースね…!

 『尾形(おがた) 逸音(はやね)』さん!」

逸「『(たちばな) 柚姫(ゆずき)』ちゃんは短気だなぁ~」

柚「なっ」

ハヤネは布団から飛び出した

以前、「お気に入り」と言っていたワンピースを身に纏っている

逸「僕は既に着替え終わっているのだよ!」

決まった…ビシッとポーズを決めいいんちょーの前に飛び出せた

柚「…またマンガのポーズ??」

このこはいわゆるチュウニ病というやつだ

どんなものなのかは全く分からないが、クラスの男子が言ってた

「尾形はチュウニ病患者だな」「俺達なんて足元にも及ばない」

疾風(しっぷう)吉永(よしなが)バリのチュウニだ」誰よ!?吉永って!!

逸「ブー。これはねぇーとある動画サイトで見つけたのだよ」

柚「いつも見てる、【歌った】とかじゃないの?」

逸「当たらずとも遠からず!」

柚「似たものって事ね」

よく見つけてくるわねこの子…

逸「いいんちょー、その格好で外行くの?

  校則を大事にするのは良い事だけどさー

  流石に相手がビビっちゃうと思うんだけど」

柚「う、ううううっさいわねぇ!!」

逸「逆ギレよくない」

ユズキは部屋をあとにする

逸「どこ行くのー?」

柚「着替えるのっ、10分で戻るからッ!起きてなさいよ!?」

逸「はいはーい。んーマンガでも読むか・・・」

ハヤネは、読みかけだった「桜の丘」を手にした・・・



フラレた・・・もうどうしましょ

がっくりと肩を落として、もうかれこれ15分位ここに居る

動く気力がない。動きたくない。死にたいでゴザル。

虹嚶(こうよう) 睦疾(もくや)』は死にかけの顔をしている

昨日今日は久しぶりにバイトが休みだったから、

「これはデートのチャンス!!」とばかりに声をかけたものの

「え?未成年は無理(だって酒飲めないでしょ?

 てか何処行くの?ん?モクヤ?おーい)」

※ショックが大きすぎて()内は聞こえていません。

睦「あー、もう嫌だ」

どうしてこんな気持ちになるんだろう?べ、別に失恋したわけじゃ・・・

睦「いや!ヤメだヤメだ!!暗いこと考えてても仕方ねぇ!」

今日の約束で何かが変わるかもしんないし・・・うしっ行くか!


12月24日、今日はクリスマスイヴ、聖なる日だな

いつもだったら店を手伝うんだが、さっきも言った通り

今日は大事な「約束」がある

半年前から決まってた事だ。楽しみで仕方がなかった。

それは、どこにでもあるチャットだった。

規則や仕様こそあるものの、何ら変哲もないチャット

ただ違うのは、特定の人達が同じ「夢」を観ていた事

夢の中で俺らは「鍵」を手にしてる

立場は違うけど同じ世界に居る。そんな気がした

だからだろうか?いつの間にか来る人は減って、

気がつけば、「夢」を観ると言っていた人達だけが残った

そしたら掲示板に『クリスマスに逢いましょう』ってスレが立って

皆書き込んでって、意外と近場に住んでて、

「ネコ」が企画して「樽足(たるたる)」が友達呼びたいって言って

SHOW(ショウ)」が知り合い参加OKにして

「K-nt(カナト)」が場所と時間「ルイ」が店を決めて

最終的な参加者が、

{ネコ・樽足+1・K-nt・木屋(もくや)・ルイ・SHOW+2・ASH(アッシュ)早寝(はやね)+1}

の総勢12人 数えてみると結構多いなw

何人かは知り合い同士だったってのもあって、話は進んで今日に至る。


てか、約束の時間なのに誰も居ないってどういうこと・・・?

睦「結局俺が一番乗りか?皆ルーズだなぁ~」

腕時計を確認するが、集合時間の10分前。

周りを見渡しても誰も居ない・・・人が居ない!?

睦「いやいやいやwwwクリスマスだぞ!?繁華街のある西口になんで人がいないんだっ!?」

辺りを見回しても結果は変わらず、ちょっとウロチョロしてみる

あ!駅員さんだ!

睦「あのー今日は12月24日ですよね?」

駅員は無反応だ

睦「あれ?あのー聞こえてますよね?」

 「・・・・・・・」

なんだこの人・・・反応っつーか微動だにしない

睦「おーい、生きてるー?聞こえてるー?」

ペシペシと叩いてみるが、やはり反応は無い

何か気味悪いな・・・

立ち去ろうとしたその時

 「虹嚶・・・睦疾」

睦「!?」

名前を呼ばれた!?なんで・・・!!

 「この次元に貴様が居るハズがない。」

駅員は透き通るような声をしている。

脳みそに直に話掛けられてる様なエコーかかってる感じ

 「他次元の者よ。虚ろなる心は調和を乱し、均衡を破壊する。

  ここを立ち去れ。できぬのなら私が還してやろう。」

正直何言ってんのかサッパリだ。難しい言葉でケムに巻かれた気分

睦「アンタ、一体何者なんだ?」

 「私に名は無い、それが名前でもある。

  持つ必要が無い、知る者は居ないのだから・・・」

ドンッ

駅員に背中を押された俺は、いつの間にか出来ていた足元の穴に落ちた

睦「うおっ!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・

 「御柱~御柱~お出口は右側にかわります」

睦「んお!?」

いつの間にか眠ってたみたいだ・・・

睦「なんだ夢か・・・よかった」

それにしても妙にリアルな夢だったなー

駅員とかホラゲのゾンビみたいだったしw

いつかの「夢」と似た感覚もあったけど、まぁ気のせいか

改札を出ると、人でごった返していた。

そうそうこれこれ、これがクリスマスイヴってもんでしょ

睦「時間も14時10分!ハハッやっぱり10分前に」

バッともう一度時計を確認するやはり時間は14時10分

睦「やっべ!!」

人混みの中をなんとか走り抜ける、

「前」どころか「後」だったのは言うまでもない

睦「西口駅ビル前!あったアソコだ!!」

人混みの切れ目を抜けると、急にスペースが空いており

モクヤは急ブレーキをかけた

駅ビル出入り口前で背の高い男性が酔っ払いに絡まれている

 「おい兄ちゃんよぉ~俺のぉ財布見なかったかぁ~?」

 「はい?いえ、見てませんけど」

 「嘘吐くんじゃねぇよ!!俺ぁ~なぁ確かァに見たんだよ!!」

 「はぁ、何をですか?」

 「兄ちゃん、アンタがよぉ!!俺のポケットから財布盗るとこをだよ!!」

 「えぇ!?そんな、僕はずっと此処に立ってたんですよ!?」

 「知るかぁ!そんな事ぉ!!金返せ!!ほら、だせよ!!」

酔っ払いが怒鳴っているのにも関わらず、周囲の人達は無視を決め込んでいる

睦「なんだアノおっさん・・・」

俺も関わらないでおこう。そう決めた時だった

おっさんが男性に殴りかかった

 「うわわわわわっちょっと!アブナイ!ヤメてくださいよ」

 「避けるってこたぁ認めるんだなぁ!?」

睦「スゲェ・・・紙一重で避けてる」

男性はどう見ても喧嘩なんてしないように見える

酔っぱらいだからか、おっさんのパンチは一度も当たらない

 「僕は人を待ってるだけなんですよ・・・

  うわっ・・・だから勘弁してくださいよっ・・・と」

おっさんは疲れてきたようで、ヘロヘロになっている

そういえば、「ネコ」は確か{長身で細身、メガネ}

「つったって待ってるから直ぐ分かると思う」って言ってたけど

アノ避けてる人がそうなのかな・・・

 「あの、そろそろ、ホントに困るんですけどっ」

 「うるせぇ!一発当ててやる!」

 「・・・趣旨が変わってませんっか?」

おっさんがサイドステップから右ストレートを繰り出した時

駅のエントランスから誰かが走ってくる

 「ネコちゃんに何してんだオッサーーーーーン!!!!」

彼女のドロップキックは華麗に決まり、

左腕に食らったおっさんはその場に撃沈した。

睦「轍叉(てっさ)ァァァァァ!?」

轍「ははは、どうだオレのドロッ・・・オロロロロロロロロ」

決め台詞の代わりに口から溢れたのは、酒臭い何かだった・・・



逃げたい・・・今直ぐこの場から!!

蒼月は思った。何をすれば俺はこの地獄から抜け出せるのか。と

答えは出ない。出るはずもない。そう、無理だから・・・

瑠「ねぇ蒼ちゃん、御柱で誰と会うの?」

蒼「友達」

瑠「どんな人?」

蒼「人間」

瑠「それはわかってるよ」

なんでこんな状況なのかというと・・・

結局、全力疾走をしたにもかかわらずコイツはついてきてて

そのことを「樽」にも「ネコ」にも連絡していないからである

御柱まではあと3駅・・・なんとかそれまでに解決しないと

蒼「なぁ、ホントに帰ってくれないか?」

瑠「ヒドイ・・・蒼ちゃんボクの事嫌いなの?」

蒼「図々しく付いてくるとことか、人の話を聞かないとこは嫌いだな」

瑠「・・・」

蒼「・・・」

向かいの席に座っている女子高生がこちらも見て陰口を言う

 「ねぇ、あの人サイテーじゃない?」

 「カノジョに向かって嫌いとかないわー」

これだよ、一番ムカつくのがこれだ。

なんで俺が悪いみたいになってんだよ・・・いや、

客観的に見れば言ってることは酷いのかもしんないけどさぁ

何事にも事情があるんだよ?わかるでしょう?

だいたい、彼女じゃねぇよ!?

蒼「はぁ、ついてない」

瑠「何が?」

蒼「言わんでも分かるだろ」

瑠「ううん、わかんない」

蒼「はぁ~」

取り敢えずこの車両にこれ以上いると

向かいの席に怒鳴り散らしそうで嫌だな・・・移動しよう

瑠「蒼ちゃん何処行くの?」

蒼「移動すんの」

瑠「なんで?」

蒼「なんでも」

瑠「ここでいいじゃん」

蒼「じゃそこに居ればいい」

瑠「ヒドっ」

蒼「酷くねぇよ」

瑠樺は放置して2車両移動した

えらく空いている 優先席に死んだような顔をした男の子が一人、

男女の二人組が2組と男の子が一人・・・か

何だか和気あいあいで楽しそうだな、俺と違って

瑠「蒼ちゃん待ってよ~」

付いて来たし・・・

テキトーに席に座る。隣にルカが座る。・・・離れろよ

しかしこのまま付いてくるとなると非常に厄介だな

ハァ、説明しとくか

蒼「ルカ、ついてくる気なのか?」

瑠「何を今更w」

蒼「(ウゼェェェ)」

~~数分後~~

瑠「大体分かった!ASHってHN(ハンネ)でチャットしてて、

  チャット仲間と会う。と」

簡単に理解してくれた。聖夜の奇跡というやつか

 「「ASH!?」」

2組居た男女のうちの男の子2名が立ち上がった

声の方を見てみると、驚いた顔をしている。

蒼「ASHですけど、何ですか?」

 「スゲー、集合場所行く前に仲間に会っちゃったwww」

 「え?まさか・・・樽君って「樽足?」」

樽「はい。そうですよ。あ!じゃあショウさんは・・・」

正「オレ「SHOW」」

ガタッ

 「遅刻したの俺だけじゃなかった~良かった。

  ホント良かった携帯貸して下さいお願いします」

樽「アナタは?」

 「俺は「K-nt」です」

正「なんで携帯?」

叶「「ネコ」さんに遅れます。って連絡しようと思ったら電池切れでwwww」

海「じゃ、この人達がショウちゃんの言ってた人達だったの?」

正「うん。なんかそうみたいだねw」

彰「世間は狭いな」

潤「集合場所、電車にすれば良かったんじゃない?」

海「ウルちゃんwそれじゃあ車両違ったら会えなくなっちゃうよwww」

彰「そうだな。なんだかんだ今日は奇跡が多いな」

蒼「こんなに重なると奇跡も安っぽい感じがするwwww」

電車の窓にはうっすらと雪が張り付いている・・・

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