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アホ毛な俺の一日

作者: ゼタ

転生というのを知っているだろうか?

小説でよくあるソレだ。

異世界に転生したりドラゴンに転生したり虫に転生したり。

まぁそんな感じのやつだ。

そして俺は15年前転生した。


その転生先は――


「えへへ、ありがとうです先輩!」


『ピコピコ』


―――後輩キャラのアホ毛である。


前世の自分に関する記憶はあんまりないが一般常識とか勉強の内容だとか小説とかの記憶はしっかりと残っている。

唯一残っている自分に関する記憶は死に際である。

友達とふざけて酒を飲みまくりその帰り道に何故か蓋の開いていたマンホールに落ちたのが死因だった気がする。

まぁ良い。

そしてふと意識が戻るとそこは病室だった。

あー…これが転生なんだなと痛感して赤ちゃんからやり直すのかー…とか色々思っていたんだがある日、気がついてしまったのだ。


意識してないのに勝手に体が動くし、腹も減らない…


そして何より俺が動こうとしたら鏡に写る赤ん坊のアホ毛がピコピコと動くのだ。


ここで俺は悟った。




あぁ……俺、アホ毛に転生したのか




……何で?

そもそもアホ毛って生き物なわけ?

いや、確かにアホ毛キャラのアホ毛ってどうやって動いてるのかなーとか思ってたけど、なるほど!別の生き物だったのな!納得納得!


いや、無理!納得出来ないからぁああああ!


と叫んでいた時期もありました。

今はご主人(アホ毛の持ち主)のラブコメっぷりを見て楽しんでます。

勿論、ご主人が楽しそうならばピコピコと動き悲しければしおれるという高度な技術をもって全力でご主人の恋を応援する。

妹キャラなんかに負けるな!お姉さんキャラなど打ち倒せ!ツンデレ幼馴染みなど蹴散らせ!謎の美少女転校生など消し去れ!不思議系も無口系も全て追い抜け!ご主人、あんたのキャラが一番だ!さぁ!さっさとあの鈍感野郎をメロメロにしに行こうじゃないか!


「よしっ!今日も頑張るぞぉ!」


そう言って鈍感野郎のためにヘアーをセットするご主人健気すぎてカワユス

小さく握り拳をつくり意気込むご主人に合わせて俺も『ピコピコ』と揺れる。

ご主人は携帯の待受にされている鈍感野郎の写真を見てにへらと顔を緩ませニコニコ顔で家を飛び出した。


家を飛び出した五分、前方に鈍感野郎を発見。

俺はレーダーの如く『ピーン』と体(?)を鈍感野郎の方向へ思い切り伸ばす。

それに合わせご主人は地面を駆け鈍感野郎にダイブする。


「せんぱーーーいっ!!」


「んぁ?」


ガシッ


「ぁう」


鈍感野郎はご主人を避けると俺を掴んでそのまま持ち上げた。

痛い!めっさ痛いから!ご主人には痛みいかないように頑張ってるけど俺は痛いから!めっさ痛いから!やめろこの鈍感クソ野郎ぉおおおおおおおおおお!!


「いきなり飛びかかってくんな、危ねぇだろ」


「うぅ…すみません先輩…」


パッと俺を離しご主人に注意する鈍感野郎。

瞬時にご主人が落ち込んだので俺も『しおれる』。

本当は『ブンブン』振り回して怒りを表現したいのだがそこはご主人のため我慢する。


「あー…いや、別に謝ることねーよ」


ナデナデ


「ぁう///」


やめろぉおおおおおお!俺ごと撫でるなぁああああ!揺れるから!脳ミソ揺れるからぁああああ!脳ミソないけどな!というかご主人マジ萌えぇええええええ!!!


「カイトーー!!」


ちっ、来やがったかご主人の恋敵にして良きライバル的なポジションにいるけど結局は最初に主人公とキスしそうな幼馴染みめ!

だが甘いな、俺がいる限り鈍感野郎のファーストキスはご主人のモノだ、諦めな


「おはよ、カイト!」


ハッ!ツンデレでない幼馴染みなど所詮主人公を謎の美少女転校生に奪われるんだよ!ご主人の敵ではない!

まぁ謎の美少女転校生ではなくて奪うのはご主人だけどね、むしろ最初っからご主人のモノだけどね


「はよ」


「むぅ……先輩!早く行かないと遅刻しちゃいますよ!」


そう言って左腕に抱きつくご主人。

そのままその必殺のちっぱいを押し付けるのですご主人!もう、そりゃグリグリとムニューと押し付けるのですよぉおおおお!

そうすれば鈍感野郎も意識するに違いない!

何故なら俺が鈍感野郎の立場なら意識しまくりだからな!頑張れご主人!


「あ、アカリちゃん!ダメだよ!抱きつくなんて!」


「そう言ってるてめーも抱きついてんじゃねーか……」


「そうですよ!何ちゃっかり抱きついてちゃってんですかサヤ先輩!」


「……どうでも良いから離れてくれ歩きにくい…」


鈍感野郎爆ぜろぉおおおおおおおおおお!!

マジ爆ぜろぉおおおおおおおおおお!!

何が「……どうでも良いから離れてくれ歩きにくい…」だ!ふざけんなよ!なめてんじゃねーよ!全国の年齢=彼女いない歴の奴に謝れ!!

いや、謝らなくて良いその右腕もらい受ける。

ご主人が悲しむからしないけどね!というかアホ毛だから出来ないけどね!命拾いしたな鈍感野郎め!


ご主人と幼馴染みキャラが言い争いながらもなんとか学校に到着し、別れを惜しみつつもご主人は自分のクラスに向かった。

因みに鈍感野郎の姿が見えなくなるまでその場に待機して控え目に手を振っていた。

勿論鈍感野郎はそんなご主人に一ミリも気づかない。

ご主人、健気すぎる!可愛い!早く幸せになってください!


ご主人がクラスに入るなりそれまで騒がしかったクラスが余計に騒がしくなる。

ご主人はクラスどころかこの学校で五本の指に入るほどの可愛さがあるのでやはり人気があるのだ。俺はご主人が1位ですけどね!


「おはよアカリ!」


「おはようですミユちゃん!」


このツインテールはご主人の親友キャラだ。

本当にこの子は良い子でご主人をバックアップしてくれるのだ。

めっさ良い子である。

俺の中ではこの子は2位だ。

良い子すぎるのだ。

因みにこの子は鈍感野郎の妹でご主人の兄に恋をしている。

要するに親友として支え合って一緒に頑張っているのだ。

やばい、この子達良い子すぎる、お兄さん泣きそう。

ということでやはり鈍感野郎とご主人がくっつくのが一番だ。わかったか幼馴染みキャラよ、諦めな。

そしてこれといったことも無く昼休み。

ツインテールとご主人は速攻で鈍感野郎のクラスに向かった。

その早さは凄まじく俺へのダメージも半端ないのだがご主人のためだ、そこは我慢する。

そして鈍感野郎とご主人、ツインテール、幼馴染みキャラ、無口キャラ、転校生キャラの六人は屋上に向かった。

その道中ご主人の機嫌も良かったので俺も『ピコピコ』と動く。

屋上に手際よくレジャーシートを敷くご主人、何て気のきく子なんだろう。

何故惚れないんだ鈍感野郎。

ご主人達女性群は自作のお弁当を鈍感野郎に差し出す。

羨ましすぎる。俺なら発狂して喜ぶに違いない。

それにしてもどれも美味しそうなお弁当ばかりだ本格的に鈍感野郎と立場を交代したくなってきた、おい変われよ鈍感野郎。

あ、ご主人の玉子焼き美味しそう。


食事後ご主人とツインテールはクラスに戻り五、六限を終えご主人はさっそく鈍感野郎のもとへと急ぐ。

当然俺は『ピコピコ』と揺れる。

しばらくして前方に鈍感野郎を捕捉する。

朝と同じように体(?)をピーンと張り、レーダー役をこなす。


「せんぱーーーいっ!!一緒にかえ――」


元気いっぱいに叫ぼうとしたご主人だったがその途中で口を閉じた。駆け足だった足は徐々に重くなりニコニコ顔も段々と悲しそうな顔になる。

可愛らしいご主人の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。


そしてその瞳には―――


「……。」


――幼馴染みキャラを抱きしめる鈍感野郎がうつっていた


ご主人は歯を食い縛りながらその場を後にしようとした。しかしその時に躓いてしまいこけてしまう。

その音で鈍感野郎と幼馴染みキャラがご主人の存在に気がついた。幼馴染みキャラはそれを見て何かを言おうとしたがご主人はそれを聞くこと無くこの場から去った。




家に帰るとご主人は携帯の待受画面を眺めて悲しい表情になった。その顔はどんどん崩れていき涙でぐしゃぐしゃになっていた。

慰めたいにも慰められない。

歯痒い…。

何か、何か俺に出来ないだろうか……


そう俺が思った瞬間、泣き声だけが存在するこの空間にご主人の携帯の着信音が響いた。そこには一通のメールがきていた。

それを見たご主人の顔には段々といつもの笑顔が戻ってきていた。

俺はそこで気づいた。

この物語には不幸せは存在しない。みんなが幸せになる。

俺は忘れていたのだ、この物語が


















――――――――ラブコメだってことを










なんとなく思い付いたので書いてみましたが、最後らへんは適当です。

超展開すぎてワロタwwwとか思っても心に留めておいてくださいね。

もしくは『鈍感野郎爆ぜろぉおおおおお!!』と感想欄にでも殴り書きしておいてください。

ゼタでした。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  アホ毛の魅力が存分に書かれた攻めの一作。 [一言]  鈍感野郎爆ぜろぉおおおおお!!
2012/10/06 00:03 退会済み
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