2、衝突!?
ユキとの出逢いから1週間。
今ヤツは俺の家に住みついて……いや住み憑いている。
俺が学生で独り暮らしだからって…ありえん…何勝手に住み憑いてんだよ〜コイツ。
でもかわりに食事の用意をしてくれてるから文句は言えないんだけど…弁当まで作って貰ってるし。
一緒に過ごしているうちにユキのオムライスが絶品ってこと以外にわかったことがある。
ユキは俺以外の人間には見えない。
「お前で良かった…」
いつかのユキの言葉が蘇る。
俺で良かった?
どういうことなんだ?他人に見えないってのも引っ掛かるし…
…わからん。
でも…何か…
「ハルっ危ないっ!!」
「ほぇ?……っでぇえ?」
前から迫ってくるトラック。
背中で騒ぐユキ。
あっそうだ俺……バイクで走ってるとこだったんだ……。
「ぶっぶつかる…絶対ぶつかる」
「曲がれ曲がれって」
「曲がったら別の車とぶつかるだろ!!あっか〜〜ん」
「だぁあ!!」
次にくる衝撃にギュッと目を閉じた……
鼓膜を破る程のクラクションと破壊音。
何故か痛くなくて
これが死なんだと勝手に思い込んだ。
俺の人生なんも良いことなかったな…なんて思ったりして。
ユキはどうなったんだろ…アイツは死神だったんかな?
「ハルっ…」
あ〜まだ俺にとり憑いてるんだな。
「ハル…ッ…路上で寝るな!!」
「えっ!!…あっ生きてる!?」
「生きてるに決まってるだろ〜?」
ニカッと笑うユキを見てホッとした。
そしたら急に…泣きそうになった…
「ユキ」
「何?」
「怖かった……」
ホントに怖かった…
ちびるかと思った。
「……もう大丈夫だから落ち着き…バイクは……お釈迦だけど…まぁしゃーないよな!!」
大きい手でワシャワシャと頭を撫でられる。
そうだ助かったんならバイクの一台や二台壊れたって……
………壊れた?
「はぁ!?バイク壊れたんかっっ!!」
「しゃーないやんお前助けんので精一杯だったんだから!!助かっただけでも有り難いと思え!!くそ野郎」
「あのバイクいくらしたと思ってんだよ……ってお前が助けてくれたん?」
お〜見掛けによらずいい奴じゃねぇか!!
友情って素晴らしいね♪
「そりゃこんな格好だけど
一応天使だし?」
「………天…使?」
困った様に微笑むユキの顔を見つめ硬直した。
天使って………
空想上のもんだろ?
あっなんだろ眩暈がする…
「ハル?ハルっ!?寝るのはベッドと授業中だけにしろって!!」