episode2
一応連載ですが一話一話は短いので気軽に読んで下さい。
おかしい。明らかにおかしい。
重さが全くないなんて生き物として有り得ない。
それに何だ?抱いているはずなのに腕には何の感覚もない。
「お前何者なんだ?人.....ではないよな?」
俺の首に手を回してそいつは言った。
「わらわは神じゃ。」
俺は言葉を失った。
自分が抱いている者が人じゃない事だけでなく、そいつは自分を神様とか言い出したんだから無理もない。
「わらわの名は桜と姫と書いておうひめじゃ。お前の名は?」
「早坂.....春って書いてしゅん。」
「そうか、春か。」
そう言うと桜姫は嬉しそうに笑った。
見た目は子供にしか見えないがこうして見るとやはり神様っていうのは冗談かも知れない。
じゃあ何故重さがないのか説明がつかない。
やはり本当なのだろうか。
「お前疑ってるな?」
考えを読まれていたのか桜姫は俺を不機嫌そうに見つめていた。
神様かどうかはさて置き、こいつは人ではない。
甘く見ていると何があるかわからない。
とりあえず大丈夫なように常に警戒しておこうか。
「わらわはちゃんと神なのじゃ。」
口調はともかくだだをこねている姿はやっぱり子供だった。
こんな所でサボっていて今更なのだが今は真冬、流石に寒さが身に滲みる。
そろそろ帰ろうと思い、立ち上がった。
歩き出そうとするといきなり金縛りにあった。
恐らく犯人は桜姫だ。
「明日もお前はここに来るのか?」
「......多分な。」
それを聞きたいが為にわざわざ金縛りをかけたのか、こいつは。
怒ろうと思ったその時桜姫の笑顔が目に飛び込んできた。
「待っておるぞ。」
俺はそれには返事をせずに家に帰った。
.......お供え物はいるのだろうか。