第八章 仲間との出会い
間違えて(寝ぼけて?)先にこちらの章を載せてしまいました。申し訳ありません。
取り替えましたので、また読んでください。
楽しんでいただけたら幸いです。
追記 推敲・添削しました。
第八章 仲間との出会い
「? 俺?」
軽くカマをかけて応じる。人違いだったら困るし。
「そう、そこのあなた」
「何の用?」
まさか、因縁をつけられてる……? 分けないな。疑いすぎだ。
「あなたも、冒険者を目指してるんでしょ? なら、私と組まない? 一人より二人。二人より大勢。パーティーを組んだほうがずっといいわ。」
目の醒める美少女に、そう誘われた。
しかし、それは怪しい。一応紳士の嗜みで、質問する。
「そんなことより。君の名前は……?」
「おっと。忘れるところだった。私の名前はルーナント・ヴェイル。ルナでいいわ。」
「俺の名前はグリモア・スティングス。好きに呼んでもらってかまわない。」
「へえぇ。グリモアねぇ。まあいいわ。よろしく。」
「ああ、よろし――」
「ちょっと待ったぁぁぁああああああああ!」
「!?」
そこに元気の塊のような男がこちらに叫んだ。背中に大きな斧を背負っていたので恐い。 ギョッ! とした。こちらに来るなり男は、
「俺もまぜてくれ。」
と、言った。ルナが冷たく拒絶する。
「嫌よ。暑苦しい」
「な……! そこを頼む! 一人より二人、二人より大勢だろ!」
「盗み聞きしてたの? たち悪いったらないわ」
「うぅっ。その件については悪かった。でも俺も冒険者目指してるんだよ。頼むよ。なあグリモアからも言ってやってくれよ。」
何か、急に慣れなれしくされた。下に見られている? まあでも、彼にも悪いので弁明してみる。
「そうだな。確かに人数が多いに越したことは無いし。でもとりあえず、まずは名前を名乗ってくれないか?」
不振すぎるし。
「おっと、忘れるところだった。」
こっちでは名前を名乗るのを忘れることは定石なのか?
「俺はグレン・ディーラーだ。気軽にグレンって呼んでくれ。」
「さっきも言ったように俺はグリモア・スティングスだ。よろしく。」
「ああ、よろしく。話を戻すが俺もまぜて欲しい。ドラゴンの鱗ならドラゴンの洞窟に入らなければならないだろう? あそこには他にも強い奴が山ほどいる。最初だし大人数で行ったほうが安全だ」
え? 鬼門だろう、それは。冒険者の資格は難易度が高いのか?
「そういえばそうね。まぁ目的も同じだし、三人で行きましょ」
「グリモアもいいよな?」
正直、鬼門は避けたいが、文句は言わない。下手に衝突するメリットはないからな。
「もちろん。これからよろしくな」
「おう、よろしく。よし、そうと決まれば今行こうぜ!」
「あなたには仕切らせないわ。グリモアがやって」
「な、何故!?」
「それには理由があるは。私たちの誰よりも落ち着いて行動できそうだもの」
「そうか? それなら俺がやるが」
普通、場の進行は勢いで決まると思ったが。冷静なヤツを所望ですか。いいけど。
「そういうことならグリモア、任せたぜ」
「そういうことよ。よろしく」
「ああ。任された。……おっと、肝心なことをまだやってなかった。武器が無いんだよな、俺。ルナ……さんは?」
「ルナよ」
「ぬう……。ルナは武器、持ってる?」
「私にはこのシルバーナイフがあるわ」
そういって剣というには小さい、ナイフというと少し大きめな刃物を取り出した。」
「俺にはこのグレートアックスがあるぜ。」
と、後ろに背負っている斧を指差す。
「悪いな。先に武器屋に寄らせてくれ」
二人は勿論、と言ってくれた。
・・・。
・・・・・。
・・・・・・・。
「ヘイ、いらっしゃい」
「攻撃力が高めの剣を頼む。」
「それなら……っと。これなんかいいんじゃないか。」
そういって大振りの剣を取り出す。
「こいつはファルシオンっていう大剣だ。攻撃力は保障する。」
「ふむ……しかし、俺にはでかすぎる様だ。もう少し扱いやすい剣で、攻撃力の高い武器を頼むよ」
「それなら……このツヴァイハンダーはどうだ?」
そう言って、先ほどより少し細長い、切れ味のマシマシ(贔屓目)な剣を取り出した。
「こいつは結構希少な金属で出来ていて、中々いい剣だ。だが、値は張る」
「それはいくら?」
「5万S。」
ふむ……5万Sか……資金の三分の一を消費するが、中々どうして強そうだ。買って損は無さそう。
「じゃあ、それをもらうよ」
そう言って5万Sを取り出す。
「え……? あなた、そんなに持ってたの?」
「そうだが?」
貰い物です。
「実はボンボンなのか?」
…………。まあ、多少は甘やかされた、かな。
「何だっていいだろ」
誤魔化す。この先も、もちろんのこと考えて使わないといけない。
それを頂こう。
そう言って5万Sを渡す。
「まいどあり。はいよ」
ツヴァイハンダーは見た目より少しだけ軽く(充分重かったが)、使いやすそうだった。
「よし、武器もそろったことだし、そろそろ行きたいが、準備することがあるんだ。昼になったら表門で集合でいいか?」
「なんだよ……。まだなんかあんのか?」
「嫌なら抜けてもいいのよ?」
ルナの横だし。これには予想外だったようで、グレンも動揺し、取り繕う。
「分かった。分かったよ」
しぶしぶながらも了解を得た。
・・・。
・・・・・。
・・・・・・・。
「お、あった、あった」
すること、というのは魔法に関する書物、魔道書を探しに来たのである。今図書館に来ていて、早速、元素魔法の基本、という本を見つけた。
「え~っと?この世界には元素があり、それぞれ 火・水・土・氷・風・雷、の六つがある。それらの力を行使することを元素魔法といい、この書にその元素魔法に関する基礎を記す。まずは使い方だが、‘火’の魔法を使うならその火を具現化させた形を想像する。これだけで魔力が反応し実際に起こる。」
つまり、想像すればその魔法を使える分けだ。
「ポイントはイメージなので、火の魔法を使うなら“炎よ”などといった風にささやけば、具現化させやすい」
ほう。口で言った方が使いやすいのか。言霊効果ってやつ?
「魔法の基本はそんなもので、癒しの魔法なども傷口を回復させるイメージをすれば、ある程度の傷が治せる」
魔法はイメージが重要なんだな。
大方の情報を仕入れた。知りたいことはそれだけだったので、本を閉じて、表門に急いだ。
…………。
「あら、遅かったじゃない。」
「悪いな、遅れた。」
「まぁいいわ。まだ一人遅れているもの……。」
いい終わりとほぼ同時。
向こうから何かが走って来た。
「待ってくれぇぇぇえええええ!?」
ゼェゼェ、と肩で息をしながら
「わ、悪い……はぁ……はぁ……。遅れたぜ。」
「どうせそんなことだろうと、思っていたわ。」
「「?」」
何はともあれ、ようやく竜の洞窟に向かうことに。