第六章 新たな始まり
この章から主人公の冒険が始まります。
ここまでお付き合いして下さった方、ありがとうございます。
冒険パートからは面白くなってくる予定ですので、どうぞお楽しみください。
追記 推敲・添削しました。
第六章 新たな始まり
「うわぁぁぁあああ!!」
突然地面が無くなって落ちたかと思ったら、草原に無事(?)着地した。
「いってて……」
しりもちをついたが、幸いにも傷は見当たらなかった。
「しっかし……。やっと着いたんだな《俺》……」
その時ふと、見覚えの無いポーチが腰についていることにきずいた。
「あれ……。なんだろ、これ」
名前などは記されていないようだ。
誰の物かは分からなかったが、とりあえず中を見てみることにする。
そして…………。
中には紙幣と金貨(恐らくシェル紙幣とシェル金貨だろう)がぎっしりと詰っていた。
「うわぁ……」
大金を持っていた。俺が。誰のものかも分からないのに。
ふと中を見ていたら紙切れのようなものがはいっていた。
「えぇっ、と……前略、中には15万シェル入っています。最初は何かと必要になると思うので入れておきました。ポーチもあげますので、上手く使ってください。後略」
……うわぁ。……っていうかなんか雑だな。まぁいいか。
驚いてばかりでも始まらないので、辺りを見渡す。
すると、前方100mほどのところに人の往来。規模からして王国のようなものが見えた。
「とりあえず、行ってみるか。」
・・・。
・・・・・。
しばらく歩いてみると、すぐに辿り着いた。……のだが、王国に門番さんがいたよ。どうしよう。まぁ門番さんはいるよね。普通。
悩んでいても仕方が無いので素どうりしてみることにする。
「そこの君。身分証明書を出しなさい。」
と、真面目そうな顔の門番さんがお決まり?の文句を聞いてきた。
「あ……。いやぁ、旅の途中で落としちゃったんですよ。有体に言って、そう。無くした?んですよ。」
などと、いいかげんに嘘ぶいてみる。
「ならこの町の役所で身分証明書を発行してきなさい。出来上がったらすぐに見せに来て確認をさせなさい」
「ああ、はいはい」
身分証明書ね・・・意外に簡単に作れるんだなぁ。
というわけで作りに行くとするか。
・・・。
・・・・・。
・・・・・・・。
「では、これからいくつかの質問をします。その質問に正直に答えなさい。」
「はい」
「では質問をします。まず、あなたの年齢・血液型・誕生日を答えなさい。」
「6月8日で、17歳と一ヶ月、O型です。」
「よろしい。では次の質問。あなたの出身は何処ですか」
う……。初っ端からつまづく。どうしたもんかな……。
よし記憶喪失の設定で行こう。
「それが……記憶が無くて、ふらっとしていたら、運良くこちらに辿り着いたんですよ」
「そうですか。まぁ旅をしていたりするとよくあることですね。ではここ“レグオス”と書いておきます。思い出し次第、更新しに来てください」
「わかりました」
この王国、“レグオス”っていうのか……。覚えておこう。
「よろしい。では次の質問。あなたの身内の人を可能な限り答えなさい……。っとと、記憶喪失でしたね。ではパスで、次の質問……もパス、次もパス、パス……。ざっとこんなものですかね。では次、この石に手を置いてください」
「? はい? ……うわっ!?」
パシャッ
「では出来上がった写真を……失敗ですね。もう一度手を置いてください」
「あ、はい……」
前置きくらいしてくれたってなぁ……。
パシャ
「これで出来上がりです……。 あ、名前を聞くのを忘れていました。お名前は? 覚えていますか?」
「……何とか。そう、確か……。グリモア・スティングスです」
「!? ……なんと……? グリモア……!」
「?」
なんだか知らないが驚かれた。
「そうですか……。まぁいいでしょう。はい。これが身分証明書です」
「ああ、ありがとうございます」
軽く会釈をし、門番さんのところに向かった。