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第三十章 魔性の錬金術師

 今回で素材採取マテリアルサルベージの話は一区切りつきます。と、同時に次の話から起承転結の『転』になり、後半戦へ突入です。

 しかし書き溜めがないので、またしばらく更新できそうにないのが本当に痛いところ……。前の轍を踏まないようにだけ気をつけたいです(汗

 それでは本編をお楽しみください! 

 第三十章 魔性の錬金術師




 依頼者も、ボムパサランのいた森に住んでいるらしい。

 色々疑問が頭をよぎり、解釈しては消えていったが、とりあえず後で聞く事にして、依頼者を探す所から始めた。

 この森の小屋に住む老婆で、見た目に関する情報は無し。小屋の特徴は、煙突や水車、突き出たアクリル色の二重窓。それが外見的特長で、周囲に異臭が漂い始めたらそれを目印に探せ、とのこと。劇薬や毒とかだったらどないするの(不自然ななまり)?

「どう? グレン。どんな匂いがする?」

「俺は犬か」

「豚や猪は鼻を頼りに珍味のキノコを探すというけど?」

「動物から離れようぜ」

 ススッ、とグレンから距離をとるルナ。

「だああああ! 俺は疲れてんだよ! 茶々入れてねえで、小屋を探せ!」

「グリモアはどう? 何か気づいた?」

「かすかに紅茶のような匂いがする。たぶん、袋の中のこれと同じ」

 背にかけた袋を後ろ指で指す。

「どっちから?」

「風がないけど、薄いし分からない。でも、川沿いに行けば水車のある小屋は見つかると思う」

「上流? 下流?」

「本人の性格からして、上流かな。生活廃水はなくても、清らかな水で回したそう。リンはどう思う?」

「リーダーに任せまし」

 ないわー。もちろん口には出さない。

「ほら、ちょっとづつ強くなってきてるよ、匂い」

「もう少しかしら」

 動物扱いの件でグレンが落ち込んでいることにようやく気づいたが、ただの食あたりだと思って気にしないことにした。




 川沿い、水車、煙突のある目的の小屋に到達したときには、グレンとリンネルが既に相当疲れていた。俺も同じ気持ちだったが、ルナが割りと平気そうなので、グチは自重しておいた。

「ここが、依頼された場所ね」

「ムシムシ、ジメジメ、立地条件は最悪ですわ?」

「疲れた、早く入ろう」

「二人とも、ルナを見習え」

 ノックすると、返事は意外にも若い女性の声で返ってきた。

「想像と違うわね……」

「同感。さて、入るか」

 ドアノブを回すと、これまた以外にそごなく滑らかに開いた。油を差してあるとか、そういう次元じゃないスムーズさ。新しく作られたばかり、という感じなのだ。

「あいヨ。坊やたちが、材料を取ってきてくれたのかイ?」

 うら若き声の女性は、見た目も驚くほど若かった。髪はヒスイで、瞳は金色。身長はルナより少しだけ高く、俺にほんの少し届かないくらいで、スタイルはそれこそ群を抜く体型だ。年齢は俺と二、三個しか違わないくらいなのに、気迫というか、にじみ出る力が同年代のそれとは明らかに違うことに戸惑いが浮かぶ。

「そうです。この袋の中に入ってます」

「へぇエ? 火傷の跡やコゲとか見当たらないけれド?」

「ぼうはつはさせてませんから」

「本当だとするとなかなか優秀さネ。ほれ、報酬」

 シェル金貨が一人一枚放られる。

「こんなに貰えるんですか?」

「優秀さを称えて色をつけたのサ。若いもんが遠慮せんでもいいヨ」

「若い? 年はそんなに違いませんよね?」

 グレンの素朴な疑問は、ニヤニヤした笑顔で返される。

「そう見えてるかい?」

「え? 見えてるも何も、事実――」

「はっはッ。まだまだ坊やだねエ」

 その言葉で、察した。グレンも、リンネルもルナまでも困惑していたけど、俺は分かった。

「貴女が調合している霊薬の力ですか?」

「さとい子もいたのかイ。まあ、坊やたちが持ってきた材料とは違うが、概ねそうだ」

「どちらが存在するのですか?」

「両方。いや、全部かナ」

 全部? 不老・若返りと、後何がある……? ――そしてそれは、いくつあるんだ?

「知らないようだネ。それでこの聴取は花丸もんだヨ」

「出来れば、教えていただけませんか?」

「教えてもいいが、その必要はないさナ。強い者・賢いものはいずれ手にするのサ」

 それは見込みがある、ということだろうが、質問の答えとして不適切だと思った。だが、聞いても教えてくれないだろうから、にごさないようにそのまま黙った。

「それでは私たち、用が済んだので帰ります」

「充分にもてなせなくて済まないネ」

「お気になさらず。ではまたクエストで来るときまで」

 遠巻きに来ないかもと言っている様なものだが、気を悪くした様子でもなかった。

「次に会うときはまた楽しませてくれるのかネ」

 うひひ、と悪い笑い方だが、不思議と不快ではない笑みの見送りで、小屋から帰った。報酬も手に入れたので、今日は街に帰って解散の流れに。




 謎の錬金術師さんですが、当初はロリバ(ピチューン な設定にしておいたんですが、大人の魅力は残しておいたほうがいいという懇願(都合のいい架空設定)があったので、いたずら好きのアネキ設定です。

 次の投稿がいつになるか分かりませんが、応援メッセージなどがあれば早くなる気がします(願望)。

 それではまた次の章でお会いしましょう!

 


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