第二十八章 霊薬探しの受難
今年も暑い夏が猛威を振るう中、パソコンが頻繁に熱でダウンして半泣きのredです。
今回はルナたちが触手(植物的な意味で)を相手にバトルします。サービスシーンは思考になかったので実装できませんでした。ご了承ください。
本編は1~6章が起承転結の『起』にあたり、7章~が『章』なので、お話はまだ続くと思われます。
それではしばらくぶりの本編、始まり、始まり。
第二十八章 霊薬探しの受難
はっ、はあ、はあはあはあ。
「凍てつけ貫け細切れになれ!!」
乾いた口で呪詛のように呪文を次々と放つ。相手は【ボム・パサラン】という、可燃性の植物だ。食中植物のような見た目で、体内に生成された液体はガソリンよろしく派手に燃え上がる。電気や炎で引火し、どんなに水圧を込めても、腐っていようとも水であれば成長が促され体力が回復するというヤバい魔物。
その数ある特徴の中でも最も留意すべき危険な性質の一つが、その足(?)の速さにあった。
「はいここで問題です! ボムパサランに視力はありますか!?」
「ないぜ!」
グレンに漫才のノリで質問。目くらましは使えないのね。
「第二問! 嗅覚はどうですか!?」
「(嗅覚は)あるけど、苦手な匂いは一切ないですわ」
絶望的だな。小手先の技が効かないっていうのはキツイ。
「くそ、数が減らねえ! 燃えろおおおっ」
「アホなの!? ウォータ!」
グレンが火種を投げ入れようとするのを、ルナが寸でのところで止める。
「ここは森よ! あれが燃えたら大損害が出るんだから、気をつけなさいよね!」
ルナが叱責を飛ばす。そもそもの始まりを思い出すと、今でも気分が萎える話だ。
件の森に入った俺たちは、通常運転で平和に歩いていた。
「集めるのはボムパサランの葉っぱとツルだな」
「そうよ。気をつける点は可燃性で引火すると激しく燃えるのと、移動速度って言うのかしら? 足が速いわ」
「炎や電気を近づけると簡単に着火して大変危険ですわね。水も効果がないので、注意すべきよ」
女子二人が揚々と前を歩いていくのを、少し気をつけてついていく。ぬかるんでるんですがねえ、地面。
「そいつらは基本、群れで行動するから、狩るときは一匹ずつ引き離して倒すのがセオリーだぜ」
喋っている間にヒポタスが通ったり、ダイルが横切ったりしたが、難なく撃退。これといって障害はなかった。
「お、あれがそうじゃね?」
グレンが唐突に指を指す。一瞬どこか分からなかったが、少し探すと確認が取れた。
食虫植物が肥大化して醜悪になったような異形、とでも表現するような生物が、そこにはいた。
マーブルに散りばめられた毒々しい蛍光色の斑点、全体的な色がみずみずしい緑なだけにその蛍光色は危険を煽っていて、自然界にいたらやはり、目立つだろう。
「なんか、思った以上に恐いんですが」
「しっ、音に敏感なの。黙ってて」
さいですか。俺だけ知識不足というのが苛まれる。
大事を取って音を消す魔法を使っていたのに、不吉は訪れてしまった。
そう。
パキッ
と。
「あ」
どんだけ古典的だよと、ツッコム間もなくグルンと全体像を反転させるボムパサラン達。 全ての元凶の本人は――
「リンネルさあああああん!?」
「――てへッ♪」
こうして冒頭へ戻るのであった。
一向に減る気配のないボムパサランに嫌気が差したので、そろそろ奥の手を使わせてもらう。
「総員、全力ダッシュだ!」
「は? 急に何を言ってるのよ!」
「いいから早く!」
疑問に思いつつ、という感じでルナたちが後退していく。
瞬間を刻みながらタイミングを見計らい、アクションを起こす。
「凍れ!」
バキィィィィイィィィィン
金属のこすれる音よりかは幾分かだけマシ、といったレベルの音が響く。
音源には透明な壁が出現しており、数匹のボムパサランが封印されている。中からは少しずつ霞がもれていて、空気をヒンヤリ冷やしていく。
後ろのボム・パサラン達は目の前の光景に足踏みし、少しずつ距離が開いていくのが見えて滑稽だった。
「時間稼ぎにしかならないから、一旦退くぞ!」
「りょうか~い」
「いや、自分が何をやらかしたか分かってるのかよ……」
「ひどいですわ。こういうときに個人を責めると、場の雰囲気が重くなりまし」
うぐ。ここで正論かよ。
「いや、反省はしなさいよね」
「うぬう」
こうして、逃走劇はグダグダと終幕を迎えた。
今回は久々に前書きがありましたね。
今回から話の節目くらいは入れたほうがいいのでは……? というアドバイス(架空)があったので(いや、そんなものはなかったです。思い付きって好き)、気が向いたときと、覚えていたときは(趣味で書いているのですが、基本自分に甘い残念な性格をしているので)添えていきたいと思います。
P.S. かっこ書き読み難くてすいません。次からはそんなにないはずです、たぶん。




