第二十章 続・武闘会準備
推敲・添削しました。
第二十章 続・武闘会準備
「さて、また集まったわけだが……実は何も予定がない」
昨日に引き続き依頼解決所に来たのだが、情報も集まり、特にこれといった予定がなかった。
「じゃあ手軽なクエストでもこなすか?」
「明日は前夜祭があるそうだから、もの凄く手軽なやつよ」
「前夜祭があるのか……俺、酒飲めないんだけど……? どうしよう?」
「それは始まってから考えればいいわ。それよりもこれからどうするかの方が先でしょ?」 それもその通りだったので、飲み込む。一日で済ませる“取り敢えず準備運動”みたいなクエストあるだろうか?
「じゃあ、これにしようぜ!」
グレンが自信満々に指したのは『王都周辺区域の魔物討伐』のクエストだった。
「それ、そんなに簡単に終わるかしら?」
「報酬が安いってのが残念な特徴だけど、指定された魔物を適当に倒すだけだから、手軽に出来るぜ?」
そんな都合の良いクエストがあるか、と思いながら見てみると、本当にそんなクエストがあった。
「じゃあ、それで決まりですね」
「そんじゃ、行くとしますか」
…………。
「グ~~ッ、ピュルルル」
今回の討伐対象は、ネイル・ドラゴン、ヒポタス、ワニとトカゲの入り混じったような風体のダイル、四つ足の鳥のような風体のギリム、だった。今回は取り敢えずギリム狙い。蛇足だが、この世界では魔力を蓄えたり、肥大化したギリムをグリフォンと呼ぶらしい。
「おら、おらおらッ、おらッ!」
掛け声を上げながら、ブラックランスでギリムを突く。
「やあっ、はあっ、せいっ!」
エルはこの前はよく見ていなかったが、棍で戦っていた。アイアンメイスらしい。殴打されたギリムは怯んでされるがままになっている。
(そういえば“連続魔法”だっけ・・・)
少し試してみたかったが、どうすれば良いのかが、いまいち分からない。
「(連続…連続…)」
しかし、武闘回の土壇場でやるのはあまりにもあれなので、やってみることにした。
意識を集中させる。
「“氷”よ!」
…………。
「ピィィィィィィァァァァァァァ」
二本の氷柱がギリムの上に生えるかのように突き刺さる。
それを見たギリムたちは恐れるかのように逃げ出した。
「おい、今のって……」
「連続……魔法?」
「これで成功、かな?」
始めてやってみたが、上手く出来たみたいでよかった。
「あれ、グリモアって、前から出来たっけ?」
「出来なかったし、そんなもの知らなかったよ。」
「初めてで出来たのかよ……」
「グリモアの名前は伊達や酔狂なんかじゃなかったの……?」
「ま、取り敢えずクエストとチャレンジは成功ってとこかな」
「そうだな。そろそろ帰ろうぜ」
あっさりとしていたが、課題の一つ、クリアだ。
…………。
「よう、お疲れ。結構倒してきたみたいじゃないか」
「おう。十匹越えたんじゃねえかな?」
「ご苦労さん。ほれ、報酬だ」
「サンキュー」
…………。
「今日は遅いし、もういいか?」
「そうだな。疲れたし」
「明日は?」
「明日は前夜祭とか色々あるし、各自で聞き込みをしてきて欲しい。最終的には多分合流することになると思うから、その時打ち合わせしよう」
「分かったわ」
「おう」
「じゃあ解散だ」