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第十六章 解決・和解

今回も続きだったので載せました。

ぜひ読んで楽しんでください。

追記 推敲・添削しました。

第十六章 解決・和解


「くっ……!」

「もう一回聞こう。さっさとやられてくれないか?」

「調子に乗るなよ、小僧!」

 仲間をやられ、男が怒りをあらわにして突進してくる。

 俺は、ツヴァイハンダーを抜いて迎えうつ。

 キンッ、ギギギ、カァン

「なんだ、お前、素人じゃないか!」

 カッ、キンキン

「くっ……なんて、ね!」

 地面を蹴り、後ろに下がる。

「“サンダー”よ!」

ルナの放った電撃が男に当たる。威力が若干抑えられている。

「ぐあああぁぁ、が……はあ……」

 細い煙を上げながら、男が倒れこむ。

「チェックメイトだ。負けを認めてくれると嬉しい。」

 ツヴァイハンダーを向け、そう言い放った。

「そうだな、負けを認めよう……と言いたいところだが……見逃してくれ。頼む」

「駄目だ。今、ゆるすと、そういう輩が後を断たなくなる。」

「なら、せめてあいつらは、見逃してやって欲しい。」

 と言って、後ろの盗賊たちを見た。

 俺はとりあえず、ルナとグレン、後から追いついてきたエルとディノにも視線を向ける。

「どうする?」

「あなたはどうしたいの?」

「とりあえず、事情を聞こうかなって」

「それがいいと思うぜ。」

 他のメンバーも納得してくれたので、そうすることにする。

「おいオッサン」

「誰がオッサンだ!?」

「話の流れからしてあんただろう」

 やはり、怒ったか。見た感じそうだと思った。

「真面目にやって欲しいんだけど?」

「悪い悪い」

 客観的に見ると、向こうが状況を分かってないように見えるが、措いておくことにする。「意見がそろった。取り敢えず理由を聞くよ。」

 しばしの沈黙の後、男が口を開いた。

「実は……あいつら全員、環境が厳しくて生活が大変だったんだ。元は商人や、僧侶なんかをやってて、うまくいかない奴らを、俺が集めただけだったんだ。最初は小さい規模で、万引きなんかを繰り返していたが、それでも生活は苦しくてなぁ……最終的には民家を襲ったりして、迷惑をかけちまった。だから、原因は俺にある。あいつらを赦してやって欲しい。頼む」

 やっぱり、なんにでも理由はあるよな。でもだからこそ、どこかで修正しないと、どこかで取り返しがつかなくなる。世間は苦い。

「尚更だと思う、俺は。口出しを出来る立場かどうか知らないけどさ。でも、罪は罪として、受け止めなくちゃならない。悪いと思ってるなら、尚更。だから、真正面から、辛くても受け止めなきゃいかない事実だろ? お前に何が分かる? って、ひねくれずに、素直にやってきたことを清算しなきゃ駄目だ。そうしないと、ずっとそんなことを繰り返さなきゃいけないだろ。さぁ……ここで終わりにしようぜ」

 俺は伝えたいことは伝えた。どうするかも俺たちが決めるわけだが、納得はさせてやりたかった。

 そして、俺も罪を受け入れる生き方を、一緒にここから歩んでいこう。

「………………。お前の言うとおりだな。俺たち全員が浅はかだったよ。王都に連れていってくれ」

 俺はニヤッと笑って言ってやる。

「へっ、自分の意志で動いてこそ、だぜ……」


…………。


「いや~。大成功、大成功」

「あんたは何もしてないじゃない。私もあまり人のこと言えないけどさ」

「俺が一番がんばったよなぁ? エル」

「私も頑張りましたが」

「ま、あそこまで丸く収まったらよかったじゃねぇか、っておもうよな? な?」

 相変わらずグレンはグレンだった。

「そうだな」

「お、着いた、着いた!」

「はしゃぐなよ、みっともない」

グレンはやはりそういうことばっかりだな。


…………。


「おう、盗賊団倒したんだってな。報酬が届いてるぜ。」

「やりぃ!」

「それと、アイス・ドラゴンの報酬も届いてる。宛先は……グリモア・スティングス、グレン・ディーラー、ルーナント・ヴェイルの三人だな」

「お前ら、そんなん倒してたのか……。」

 お、やっと届いたか。期待しちゃうぜ。

「どおりで……強いわけですね」

「まあな!」

 グレン、浮かれすぎ……。

 声には出さなかったが、内心つぶやく。


…………。


「機会があったら、また!」

「おう、そうしよう!」

 軽い夕食の後俺たちは分かれた。今回のクエスト、初めてにしては上出来だったんじゃないかな。


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