第十二章 成功の余韻
推敲・添削しました。
第十二章 成功の余韻
「いやぁ、三人でやれば何とかなるもんだな。」
「私は今でも信じられないわ」
「でも、その手の中にある鱗が、何よりの証拠だろ」
帰り道、他愛の無い話をしながら歩いていた。
「この鱗、綺麗よねぇ。嬉しいから、余計そう思うのかしら」
と、蒼い鱗を夕日にかざしながら言った。
「さぁ。っていうかドラゴンの報酬とか貰えんのかな?」
「貰えるでしょ。何てったってBランクのドラゴンよ?」
「Bランクってどれくらい強いの?」
「あれくらい」
「否、そうじゃなくて、全体的に見て。」
「普通、素人の手には負えないくらいよ。一番下がEランク。Eランクのドラゴンは鱗が無い奴ばっかりよ。そこからアルファベット順に上がっていくと、どれくらい強いか分かるでしょ?」
「Aの下だから……滅茶苦茶強い?」
「まあね。で、Aランクの次にはSランクが在ってその上にもSSランクが在るわ。」
「噂では、Aから上は他とは比べモンにならんとか。Bはまだ、アイス・ドラゴンみたいに炎とか弱点があったけど、Aから上はそれすらないらしい。」
「うえぇ。アレがまだ、マシな方だとか……」
「でも私達だって強くなるし、その内『Bランクなんて余裕ね!』みたいになるわよ。」
「そんなモンかな」
「そんなもんだろ」
う~ん。敵は強くなるばかり、壁は多いし、課題も山積み。ま、考えすぎも良くないかな。
…………。
カランカランッ
「あら、いらっしゃい」
「ちわー」
「こんにちは」
「ただいまー」
三者三様の返答。グレンは分かるが、ルナは自宅に帰るようなノリだった。
「お帰りなさい。鱗は取れたの?」
「バッチリ。ほら」
と言って、ルンが蒼い鱗を取り出す。
「蒼い鱗……?まさか、アイス・ドラゴン?」
「そのまさかよ。竜の洞窟で、倒してきたの」
「凄いじゃない! ……でもなんで竜の洞窟に行ってきたの?」
「冒険者の資格のために鱗狩り。……っていうか……ドラゴンっていったら、竜の洞窟でしょ?」
「わざわざ? 弱いのなら草原に幾らでもいるじゃない」
俺とルナは、グレンを見る。
「あら、誰だったかしらね、ドラゴンなら竜の洞窟だって言った人は」
無言でグレンを見る
「わ、悪かったよ。俺も知らなかったんだよ」
「ま、何はともあれ手に入ったんだし、向こうで見せに言ってらっしゃい」
と、フォローが入った。
「そうね。済んだことで言い合っててもしょうがないわ」
後ろでグレンが、ふうぅ、とため息をついていた。
…………。
「鱗、とってきたわよ」
「どれどれ………………ふむ、アイス・ドラゴンか。初心者に倒せると思わないが? 鱗だけ盗ってきたのか?」
「それなんだけど、倒して獲ってきたのよ。討伐報酬貰えるわよね?」
「マジかよ、嬢ちゃん。でも証拠がなぁ―」
「証拠ならここに有るぜ。」
と言ってグレンが取り出したのは、
「ほう。眼玉か。どれどれ」
「あんた、以外にチャッカリしてるわね。」
「いや、お守りにしようかなって、取ってきたんだけど」
「センス疑うわ。」
「っていうか、鱗じゃ駄目なのか?」
「鱗より目のほうが保存状態がいいし、倒さないと取ってこれないだろ? それに、後で役人に竜の洞窟に行ってもらってからなら分かるが、そのドラゴンには目が無いから、すぐに本当だと分かるんだ」
「へぇ。良くできてんなぁ」
「私も知らなかったわ。」
「よし、じゃぁ鱗は返すぜ。……そして、これが冒険者の証だ!」
「「ありがとう」」
「いよっしゃ~!成れたぜ!」
「「グレン、はしゃぎ過ぎ。」」
「チェッ、冷めてんなぁ」
「ま、なれてよかったとするよ。」
「早速だけど、何かクエスト受けねぇ?」
「今何時だと思ってんの?」
「う~ん……? 鐘五つ(五時)くらい?」
「午後のね」
「まぁ、今日受けて明日やればいいんじゃないか?」
「おう、そうしようぜ!」
…………。
向かいにある、これまた歪な形をした建物が、依頼解決所らしかった。
カランカランッ
「は~い、いらしゃ~い」
と、何か間延びした声で、若い女性が挨拶してきた。
「「「こんにちは」」」
「こんにちは~。クエストを受けに来たの?」
「「「はい、そうです」」」
何故かまた、綺麗に声がそろう。
「うふふ。ゆっくりしていってね」
…………。
「さぁて、と。何を受ける?」
「簡単なのにしよう」
「これとか?」
と言って差し出したのは、レグオス王都周辺で現れる盗賊団の討伐のクエストだった。
「人だし、ドラゴンより簡単だと思わない?」
「じゃぁ、これにしよう――」
「待ちな、坊ちゃん」
「?」
急に青年らしき男から、声をかけられた。
ルン→ルナにしました。
細かいようですが、気になったので。
直っていない箇所があれば、こっそり教えてくださいませ。