第九章 仲間との共闘
推敲・添削しました。
第九章 仲間との共闘
「ここが竜の洞窟か……」
見た目はよくありがちな、普通の洞窟だった。軽い獣臭で、緊張が走る。
「ここは見た目も地味で、強いドラゴンは滅多に出てこない」
「さっき強敵が出てくるとか言ってなかったか?」
「奥のほうはやばいが、入り口付近は雑魚ばっかりだ。あまり奥に入らなければ大丈夫だ」
「つまり、普通の洞窟だと」
「言っちまえば、まあ普通だが、ドラゴンが出てくるだけで、需要と危険度が上がる。」
「ほう。ようは新人の腕試しってとこね」
「気を抜いたらやばいとは思うがな」
「そうなのか。まぁとりあえず、中に入ろう」
「グレン、帰るなら今よ?」
「はっ、誰が帰るかよ。そういうお前達はどうなんだ?」
「勿論行くわ」
「此処まで来て、帰るわけないだろ?」
「だよな」
と、話しつつ、中に入った。
「何もいないな……。」
「もう少しすると道が開ける。そこに魔物もいるし、ドラゴンも数匹はいると思う。勿論強いドラゴンじゃない。」
そこで、ルナが唐突に言った。
「それにしても、ここまで魔物が出ないとは思わなかったけど。何か変じゃない?」
「そうか? こんなもんだろ」
「グレンは来たことがあるのか?」
「子どもの頃に、親父に連れられて来たことがある。その頃も、ここは静かだった。」
「何はともあれ、道が開くまでか……。うん……?」
その時、向こうから何かが走ってくる。
「“ヒポタス”か」
ヒポタスと呼ばれた、魔物であろうカバのような生き物が、こちらに一目散に走ってきている。
「よし、迎え撃――」
「待って! 様子がおかしいわ」
こちらに走ってくるヒポタスは、どれも何かから逃げるかのように走り去っていった。
「…………? ……向こうに、何かいるのか……?」
強大な力を持つ、やばい生き物が。
「どちらにしても危険だろうな。ここはいったん引き返して、明日出直そう。」
「あ……ああ。そうしよう」
と、グレン。意外にも少し動揺したみたいだ。
「そうね。深追いは危険だわ」
俺たちは仕方なく、来た道を引き返した。
「ん? あれ? あれあれ?」
先に洞窟から出たグレンがおかしな声を上げる。
「どうしたグレ――なっ!?」
「なによ……これ……!」
外には先ほどのヒポタスを含めた魔物がたくさんいた。
見つかれば危険だろう。数が数だ。
「慎重に――」
逃げよう、と言う前に、
「!? やばい!?」
見つかってしまった。あっさりとしたものだが、相手は少し殺気立っている。
住処を追われて怒っているのか、恐怖心に対抗する生物の本能か。
いずれにせよ、獰猛な気質を纏っていた。
「グゥグググ……」
「グググゥ……グワァ!!」
「くっ!」
「「グレン!?」」
最初に狙われたのはグレン。
「ふっ!」
俺たちは内心ドキドキだったが、グレンはグレートアックスで横から薙ぐ。
「俺も……やるしかないか」
「ええ、やりましょう」
俺も、ツヴァイハンダーを取り出し、ヒポタスに切りかかる。
ズシャッ
ヒポタスを切り伏せ、次に向かう
しばらく攻撃が続いた。
ルナが、突然。
「キリが、無いわ、ねっ!」
そう言って、手をヒポタスにかざしたかと思うと、手から火球が飛ぶ。魔法だ。
「そうだな、っと!」
グレンがグレートアックスの先から雷を飛ばす。
「俺もやってみるかな……」
氷塊をヒポタスの上に落とすことをイメージする。
「“氷よ”!」
初めてやってみる魔法に、緊張したが成功したようだ。
……のだが、威力がおかしかった。イメージよりはるかに大きい
「うそだろ……」
他の魔物も氷の下敷きになっていた。それに怯えたのか他の魔物も逃げていった。
自分自身驚いている。
「すげえな、グリモア……最初からそうしてくれよ」
「全くだわ。苦労する方も考えてよ」
「え? ええっ?」
「なにはともあれ早いとこ行こうぜ」
「そうね。いきましょ」
腑に落ちなかったが、その場を後にした。